どんぐり1号のときどき日記
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2010年04月14日(水) ようやく「狙撃」

 ある方のおかげで「狙撃」を見る事ができた(こう書けば、一部の人にはそれが誰かすぐ判るだろう)。ようやく見る事ができたので、とても嬉しい。

 これを見て最初に感じたのは、高校の頃に熱中した大藪春彦を読んだ時と同じ物だった。もしもこの映画をリアルタイムで観ていたら、どれだけ邦画に熱中する事になっただろうか。残念ながら私が映画を凄いと感じたのは「ゴッドファーザー」からだったのだ。そうなると洋画へと向かってしまうのは仕方がないだろう。

 だが「狙撃」には人を引きつけるだけの魅力がある。想像以上に観念的な部分が多いし、アクションは殺し屋同士の戦いに、今の映画にはない味がある。そう、まさに決闘なのだ。戦う双方に魅力がある配役なので、戦い方が実に納得出来る展開になっている。
 加山雄三がかなり渋い演技をしているし、岸田森も良い雰囲気を醸し出している。この2人が社会のアウトローというのを的確に表現しているのだ。また森雅之もキザだが凄みのある殺し屋を上手く演じている。
 この映画はこれらのキャラクター配置が絶妙だし、なによりマニアックな描写が多いので、見ていて楽しくなるのだ。

 もちろん今の目で見てしまえばおかしいと思う部分もあるが、この時代なら、明らかにそこそこのマニアでも納得出来るだけの内容だったはずだ。日本では銃の情報まだまだ乏しい時代だったのにAK47が出てくるというのに驚くし、なによりブローバックするモーゼル・ミリタリーには感動する。さらにトヨタ2000GTも走るし、これらだけでも見る価値がある、という言い方は変か…。

 この映画は、もっと若い頃に観たかったと思う。これはある意味で青春映画でもあるのだ。モラトリアムを表現していると言っても良い。加山雄三の役どころにはそういう部分があるように思う。つまり映画的には「裏若大将」であり、この映画に加山雄三を置いた真意はそこにある、というのは考えすぎだろうか。
 だがそういう事を考えたくなるほど、この映画は色々な物を含んでいる。少なくとも大藪春彦の作品を楽しく読めた人なら、見ておいて損はない。そういう映画である。


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