どんぐり1号のときどき日記
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| 2009年04月17日(金) |
良く出来た「ウォッチメン」 |
レイトショーで「ウォッチメン」を観る。 時間を考えると109シネマズ富谷しかなかったので、そちらへ向かう。それでも結構危なかったのだが…。 今日はメンズ・デイだったので1,000円だったが、そう言えば名取のマイカル・シネマてはメンズ・デイのみを廃止してしまった。まあ現状では映画を見るのはレイト・ショーの時間帯になってしまうので、どうでもいいが。 今回はチケットを買うとTheater-5のシートを出され「どこでも空いてますから」と言われたので、とりあえずF7席にする。時間になって入場すると、まだ誰もいないし、3分前になっても誰も入ってこない。始まったら結局自分一人であった。158人の劇場で自分一人という、滅多にない贅沢な気分で映画に浸れたのである(でもなんだか映画館に悪いような気になってしまう、小市民な自分であった) 。これは押井作品ですら経験した事がなかったが、そうそう経験できる事でもないだろう。
それはともかく。 この作品は164分という長丁場なのに、昨年の「ダークナイト」同様、あっという間に終わった感じがする。つまり良く出来ているという証拠でもある。元々アラン・ムーア原作のコミックだから、上手く作れば駄作にはなり得ない内容なのは当然だが、それをきちんと映像化できるかどうかはまた別問題であり、今回のザック・スナイダー監督は原作に忠実に作る事を目標にしたそうなので、それが幸いしたのだろう。作品の本質を理解した上で、映画向けに改変するか、そのまま作るか、それを判断できるだけでもまともな監督だと言えるだろう。 やはり過去のアラン・ムーア原作作品は、映画にはなっているが、アラン・ムーアの原作にはなっていないのである。
そう言う意味でも、今回の作品は素晴らしい。原作には忠実だが、映像は原作をふまえた上でスタイリッシュになっており、映画にした意味がある。 そしてこの話の展開は、ラストも含めてSF好きなら別に珍しいものではないのだが、アメリカは外部に敵を作らないと決してまとまらない国だというのをここまでストレートに表現できたのは、元々がコミックという形を取った原作だからこそという一面はあるだろう。我々の世代のSFファンなら素直に楽しめる内容なのだ。 だが今の若い日本人にはかなり難しいかもしれない。アメコミのバックボーンが判らないだろうし、そもそも核の恐怖という存在自体を実感として理解しがたいような気がするのだ。つまりこの作品を楽しめる日本人は年代的にもセンス的にも結構限られてしまうかもしれないので、結果として全然ヒットしないだろうと予想されるのである。 この辺は文化レヴェルの違いだから仕方がない部分もあるし、そもそも原作を尊重すればその時代をストレートに描かないといけなくなるので、これはある意味仕方がない賭でもある。
しかし今時の映画で「サウンド・オブ・サイレンス」を使ったセンスには脱帽する。 歌詞も曲が作られた背景も、初めの方で描かれるコメディアンの葬儀シーンにはまさにぴったりの曲なのだが、誰がこれを今の時代に使うなどと考えるだろうか。おかげでここは名シーンに昇華されたのである。実に素晴らしいセンスだ。 監督は「ダークマン・リターンズ」の映画化も狙っているらしいが、このセンスなら彼に任せても良さそうだ。
またスタイリッシュな映像と書いたが、暴力描写もなかなか面白い表現が多い。今の時代はどんな描写も監督が考えたとおりに再現できるのかもしれない。もしこの技術がペキンパーの時代に使えれば、「ワイルドバンチ」での描写は文字通りの芸術に昇華されていた可能性もある。
色々な意味で、今の世代の監督なのだと認識させられたのだった。
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