どんぐり1号のときどき日記
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| 2009年02月02日(月) |
「イノセンス」の失敗 |
昨日見ていた「アンダーワールド」シリーズで、ケイト・ベッキンセイル演じるセリーンの吹き替えは、あの田中敦子である。 多分スタッフは「攻殻機動隊」の素子を意識したのだろうが、実際この映画は「攻殻」や「マトリックス」の影響下にあるのは間違いない。その上で多少ベタであっても彼女を起用するのは、まあ当然の成り行きだろう。 それほどに田中敦子という人は上手いのだ。元々単純に一つのパターンをやるだけの人ではなく、色々な演技が出来るのである。そもそも本人は結構のんびりとした感じの人で、むしろ素子をここまで演じた事に素晴らしさを感じる。
そういえば、「イノセンス」は内容からすれば「攻殻機動隊2」という続編だったので、ベテランぞろいの声優はそのままシフトするのが当然なのだが、ここで鈴木プロデューサーは、素子の声を山口智子で行こうとしたという。もちろんこれは宣伝を兼ねた愚行なので、当然ではあるが押井監督は強行に反対してオリジナルのままになったのだが、やはり鈴俊夫という人の強引さと、作品というものを無視した物の考え方が良く判るエピソードだ。あの時点で、素子を田中敦子以上に演じられる人などいなかっただろう。
実際「イノセンス」には、鈴木プロデューサーの提案による失敗部分がふたつある。 一つは題名を「イノセンス」にした事。海外では当然のごとく「GHOST IN THE SHELL 2」という題名であり、日本でも「攻殻機動隊」の続きだという事は強調するべきだったのである。知らない観客には不親切であり、「前作は12万人しか見ていないのに、その続きと強調したところで客は来ない」という鈴木プロデューサーの意見は矛盾を孕んでいる。見ている人が少ないのに、その説明がなかったのだから、これは明らかに鈴木の間違いだ。そもそも12万人しか見られなかったのは、上映館が少なかったからに他ならない。ジブリのやり方は異常だという事を鈴木は忘れているのだ。 もう一つはエンディングに「Follow Me」を流した事だ。これによって攻殻の世界がぶち壊しになってしまった。何のために川井憲次を起用しているのか、その意味が全然判っていないのである。
所詮、鈴木プロデューサーはジブリの人間であり、ジブリを中心にしか物事を考えられないのである。というか、作品の内容は無視してヒットさせる事しか考えていない。まさに日本人には数少ないハリウッド的思考をする人だろう。 二人位はこういう人も必要だが、日本映画という土壌ではそれほど必要性を感じない。ワールド・ワイドに売る必要性がないからだ。
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