どんぐり1号のときどき日記
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昨日買った「ホット・ファズ −俺たちスーパーポリスメン!−」を見た訳である。 ただのコメディかと思っていたら、極めてまともな映画であった。もちろんコメディ的な演出だし、監督本人もそのつもりで作っているのは間違いないのだが、実は完全にミステリー仕立てになっている。もちろんベースにクリスティのあの小説を利用しているのだからミステリー仕立てになるのも当然だが、もうアクション・ミステリーといった感じに仕上がっており、かなり面白い。とにかく一本筋が通った映画になっているのだ。
最近のコメディというのは後半どんどん真面目になっていき、結局つまらないという印象しか残らないのだが(「ゲット・スマート」なんかがそうだった)、「ホット・ファズ」は後半真面目になりつつも要所要所に笑いをちりばめており、コメディだという事を忘れさせないようにしている。そのくせ、ちゃんと泣きの要素も入れており、結果として喜劇の様相を呈しているのだ。これは偉いと言える。 また男女の恋愛関係を全く排除し、「男たちの挽歌」のような、友情を軸に持ってきたのも正解だ。こうする事で意外と泣きの部分が際立ってくるのである。本当に様々なアクション映画を上手く取り入れている。大したものだ。 これをビデオ・スルーさせようとした配給会社は、やはり映画を見る目がなかったといえる。署名活動をした人々は偉いっ!
そんな中で、ミニチュアの町での格闘は完全に「怪獣映画」をしていた。格闘中に落としたべレッタM92アイノックスがビルのエントランスを壊すという演出もそうだし、ここだけ効果音を低音とするために少しスローにしてわざわざ巨大感を出しているのもそうだ。壊し方も怪獣映画のそれである。 本来まともなシーンなのに妙に笑える。もちろん監督は怪獣映画を意識していたそうで、残ったセットは自分で壊して回ったそうだが、こうなるとただのガキである。だがこういう映画にこそそのセンスが必要なのだ。
しかし全体に死体はリアルだし怪我の描写は痛い。怪我は絶対に自分では嫌だという物ばかりである。例えて言えば紙で手を切るような痛みの判る怪我なのだ。さすがにゾンビ物が好きな事だけはある。ラストのティモシー・ダルトンのケガは、一歩間違えば死ぬ怪我である、なんて一瞬真面目に思ってしまうくらい痛いシーンだ。あれすらお笑いにしてしまうのは恐ろしい。 それと新聞記者の死ぬシーンは凄い。あれはもう素晴らしいといってもいい。もちろん拒否反応を示す人も多いだろうが、私は笑ってしまった。普通、大真面目にこれをやるか?
ちなみにこれを見ると押井監督の「アクション時は映画の時間が止まっている」という意味が、構成上良く判る。明らかにミステリー部分の時間が停滞しているのだ。アクションとは本当にサービス・タイムなのだというのが良く判るが、映画とはこのサービス・タイムがとても楽しいのも確かであり、娯楽作品ならむしろ必要なのである。
いずれにせよ、通常の映画ファンなら普通に楽しめる映画だ。いや、普通以上に楽しめるだろう。意外と拾い物だったという感じになるのではないだろうか。一見の価値がある映画だろう。
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