どんぐり1号のときどき日記
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2008年06月22日(日) 「鉄人28号・白昼の残月」

 昨日買ったアネクドテンの「タイム・オブ・デイ」を聞く。
 何故か市内のCDショップで彼らのアルバムを全然見かけず、本当に久々に見かけたのでつい買ってしまったのだった。「暗鬱」がクリムゾンのフォロワーを思わせるサウンドだったが、このアルバムあたりではやはり独自の進化をしているのが判る。
 いずれ耳に心地よいサウンドだが、それでもクリムゾンぽいところはまだまだ残っている。なかなか珍しい存在だろう。美狂乱もクリムゾンのフォロワーなのだが、この両者を比べると方向性は全然違う。実に面白いと思う。
 アネクドテンは「ライヴ・イン・ジャパン」も欲しいのだが、これまた全然見かけない。困ったものである。

 そして昨日チュウジさんから受け取った「鉄人28号・白昼の残月」を見る。
 これはかなり良い作品である。本来良質の邦画が持っている雰囲気が見事に醸し出されているし、昔の探偵小説の雰囲気も持っている。そして敗戦後の苦悩がここまでストレートに出ているのも驚きだった。スタッフにそんな年寄りはいないはずなのに、これは見事である。
 もっともスタッフが若いと思わせる部分もあって、そのためメインキャラの性格描写に多少のアンバランスさを生んでしまっている。簡単に言えば、行動にブレが出てしまっているのだが、それでもこの作品は見事なまでに人間の物語として出来上がっている。
 もちろん「鉄人28号」と謳っているからには、それ相応のメカによる格闘戦も用意されている。少し前に見た実写版はあまりにもひど過ぎて話題にすら出来ないほどだったが、今回のアニメ版はやはり今川監督だけあって、デフォルメも上手に処理している。

 ただあの探偵モドキの女はちょっと不釣合いだった。あれをもう少しセーブすれば、全体の雰囲気はもっと上がっただろうにと惜しまれる。あの時代設定で「ショタコン」という言葉は不必要だろう。
 それでも見て損はない作品だと断言できる。いや、むしろ見るべき作品だと言える。こういう作品が時々出てくるから、多くのカスに泣かされながらも、アニメ作品から目が離せないのである。

 なおこの作品内で使われている「廃墟弾」という設定はなかなか面白い。「ブームである廃墟」と「作品内の破壊」と「時代の郷愁」を一気に表現する大技だ。
 そしてこの映像でもそうなのだが、廃墟を表現するのにアップは基本的にダメだと判る。「引き」である程度の画面密度が必要なのであり、廃墟は全体像の描写がないと、廃墟足り得ないのである。
 そういう点でもここでの映像はきちんと表現されている。
 全体に職人技がちりばめられているといってもいい作品だ。

 最期に、この作品は映像としても素晴らしいが、伊福部昭の音楽を使っているところも素晴らしい。終戦後の世界観にこれほどぴったりな音楽を作った人もそう多くない。
 近いうちにサントラを入手しなければ。


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