どんぐり1号のときどき日記
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| 2006年11月04日(土) |
機械にはメンテが必要 |
昨夜はNHKスペシャルの再放送、「サイボーグ技術が人類を変える」を見た。 流石はNHK総合、相変わらずの舌足らずと説明不足かつ演出の甘さが見られるが、サイボーグ技術の現状についてはある程度判った。 理論的には判っていた人間の脳に直接干渉して、パーキンソン病による症状の発現を抑える治療を、もう2万人以上の人が行っていたというのにはちょっと驚いた。脳の悪い部署が判ればそれを直接制御するところまできている訳である。 あるいはマウスの脳に直接干渉して行動パターンを決めるのも、可能だとは判っていても、実際に出来るようになっていたのには驚く。 今回もっとも驚いたのは、腕を動かす神経の動きをトレースして脳波を解読、腕の動きから物を動かすようにしたところ、腕を動かさずとも脳波だけで動かせるようになったという事例だ。これで脳の適応の凄さも判る。
こういった技術の紹介はとても素晴らしい未来を示している。ただし立花氏は例によって、悪用云々というが、悪用とは地位と権力のある人間が考える事だ。軍隊はその典型だが、本来科学者はそういう事をあまり考えない。むしろその分野での第一人者になる事を切望するものだ。優秀な人間ほど、悪用などしているヒマはないのが普通だ。悪用するのは、ほとんどが文系の役人、政治家なのである。
ただ、ある意味想像だけでマシンが動くという事について、法曹界は早めに対応策を考えておいた方が良い。想像だけで人を殺すという事態が起きる可能性があるのだ。実際に起きた時に動き始めるのでは、明らかに遅すぎる。法曹界の動きが遅い事例では、必ず悪用する奴が出てくるのだ。 しかも法律の改訂には恐ろしく時間がかかるし、そもそも有効な改訂となる保証はない。過去の例でも、時代に合わせた改訂が迅速に行われた試しはない。
そう言う事を考えつつも、実は今回、かなり気になる事があった。盲目の人が人工眼を装着したケースについての部分が、どうもすっきりしないのだ。 あまり気になったので、番組終了後ネットで調べてみたのだが、やはり番組ではほとんどのインタビューが放送されていなかった事が判った。もちろんああいう番組では、インタビューの一部しか使用しないのは当たり前だが、これに関しては、放送局の狙いとずれている部分がほとんどカットされていたように感じる。
あれはある意味で不幸な失敗の事例なのだが、それをもっときちんと紹介するべきだったろう。 アメリカドルで8万ドル(彼はカナダ在住なのでカナダドルで13万ドル)も支払っている。申し込んだ時に彼が選ばれたのは、確実に金を支払うという部分で決まったらしく、これではNHKも放映しにくいだろう。 しかも手術後半年で調整するはずが、その前に研究所の所長が「高齢のため」に死んでいるのだ。つまり今回はどうもだまされたような事例なのである。そしてきちんとした研究所でメンテナンスが受けられないと、かなり悲惨な事になってしまうという実例でもある。 なにせ目の接続の左右を間違えると意識を失うのだが、その間違いをそこの所長がやったというし、その防止対策を所長本人が嫌がったというのだから、なんだか能力を疑ってしまう。また接続ケーブル1本に傷をつけると、交換に1,000ドルかかるというのも異常だ。 そして現在、あの格好でアメリカを歩くと、バッテリーなどの装置が大きいため、自爆テロ犯と間違えられて射殺される恐れもあるとの事だ。そもそも現在の技術なら、もっと小型高性能の機械が存在しているという。つまり彼は自費で人体実験をさせられたといってもいいのである。 サイボーグとは機械を使用しているのだから、メンテナンスが出来なければいずれ機能しなくなるのは明白だ。 そこまで問題が山積みなら、誰かが支援しても良さそうなものなのに誰も助けようとはしていない。結局本人は、手術前と状況はあまり変わらないと言っている。
多分プロデューサーはここまで放送したかったのだと思う。だがそれでは「科学技術は素晴らしくなんでもできて未来はバラ色の可能性が大きいが、悪用されたらとんでもない事になる」という主旨から外れる恐れがあると思われたのではないだろうか(そもそも脳に直接手術など、失敗例も多かろうに)。 天下のバカNHKだから、そういう事態も充分考えられる。スタッフがどんな番組を作ろうと、放映決定権を持っているのは、世間の風が全く読めないトップなのだ(ここ20年ほどのバカさ加減は、明らかにトップに由来する)。
朝日新聞で連載した「カラシニコフ」も、連載時と単行本では主旨がまるで正反対になっていたという事例もあるし、マスコミにおける現場とトップの意識の乖離は、計り知れない所まで来ているのだろう。
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