鳩親のムスメ
 たえ



 
安らかになんて眠るな 〜ElliottSmith急逝に寄せて〜


この日に亡くなったそうですね。

***

アメリカのシンガーソングライター
ElliottSmithがロスの自宅で死んだ。
ナイフで胸を一突き。自殺とのこと。
享年34歳。

***

この事実を知った27日月曜日。
仕事中にも関わらず(仕事中にネットサーフすな)
思わず息を引き止めてしまいました。

最初に起こった感情は怒りでした。
「なに自殺なんかしてんの!?」って。

我は基本的に無関心キッズです。
いやそうだと思ってたんだけど。
なのでこの感情には少々戸惑いもあり。

***

我がはじめて彼のオトに出会ったのは
タワレコの特設ブース。
フジロック特集のブースにポツンと置かれた
試聴機のスイッチを押して
「Son of Sam」のあのイントロが流れた時点で。

我はその数秒で
コトバを凌駕するオトの絶大な力を知った。
そのオトが伝える圧倒的な「感情」を理解した。
歌詞の意味とかエリ夫の素性なんて全然知らなくても
我はそれだけで充分だと思った。
小技なんて要らない。ただそのオトさえあれば。

コトバの先生目指す我が言うのも何だけど。

***

それだけのヒトのココロを揺さぶる
オトを創る才能がありながら
自殺ってなんだよ?と思ったのです。

冷静に思えばそこに至るまでに
彼なりの紆余曲折があったのだろう。
きっとそういうことはこれから
某硬派(てより胡散臭い)音楽雑誌で
ひたすら解析されることだろう。
そんな様子を鼻で笑いながらも
やっぱ多少は気になって我なんかも
コッソリ立ち読みとかしてしまうんだろう(うんざり)。

怒るのは筋違いって解ってるけど止められなかった。

***

彼は正に我らと同じ時代に居る人物で。
我らの身に起こる事件や空気を感じて
まぁ住む場所は遠いけど
距離なんか関係ないほど親密に
「今」のオトを届けてくれるんだ。

そしてそのオトをこれからずっと
彼と一緒に聴きつづけることができるんだ。
同時進行で。それって素晴らしいこと。

そう思ってた。でももうそれも叶わなくなってしまった。

***

「死」によって彼の作品にこびりつく
「遺品」とか「遺作」とか言うコトバ。
変にプレミアがついたり伝説化されたり。
彼のオトにそんな余計なものは要らないのにな。

しかし否がおうにも目にするだろうし
それまで出てなかった音源だとか
入手できなかったCDだとかその勢いに便乗して
我なんかも手にとってレジに持っていくのだろう。
(またしてもうんざり)

***

27日付の日記に
聴け聴けと周りに撒き散らしてやる!と
勢いで書いたものの、
それもやはり「死」による勢いづいたものだよなぁ
と思うと浅はか、と思うのだけど。

ただ、安らかに眠らせたくは無い。と思うのだ。
このオトを聴いたことで開けた世界を。
コトバを凌駕するオトの絶大な力を。
そのオトが伝える圧倒的な「感情」を。

我にとって、彼のリアルタイムの「オト」があれば
大丈夫だって思ってたこの喜びを。

眠らせるわけにはいかないのだ。

***

徒然に書いて
結局何が言いたいのか自分でもよく解りません。
ただ確かなことは。
リアルタイムの「オト」はもう失われているわけで
もう今は彼の残像を見送るしかないという事実。
そして我らは気を取り直して
また別のリアルタイムの「喜び」を与えてくれる存在を
見つけていくことだろう、ということ。

ともかく年内に出るはずだったという「新譜」を
待つことにしよう。そしてそのオトと彼が
さらに我らにとってかけがえの無いものになるのか
それはまたその時に感じ取ることにしよう。

***

やっぱあんた死ぬべきじゃ無かったよ、エリ夫。


2003年10月23日(木)
first new 電信


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