十夜一夜...Marizo

 

 

渡る世間は詐欺ばかり - 2006年05月31日(水)



< 事例その一 今年二月 >


一応これでも私、某証券会社で働いている。
二年に一度の割合で、ライブドア事件の報道でお馴染みの
SEC(証券取引監視委員会)の検査が入る。

東京本店や大阪、名古屋、それとここ札幌や福岡などの
いわゆる大店(おおみせ)と言われる支店には
必ず東京から検査官がやってくる。
今年、二月にも本店に検査が入り
その一週間後に札幌支店にも検査官がやってきていた。

会社全体がちょっとナイーブになっている状況のときに
東京都内店の社員の家に一本の電話がかかってきた。
その社員が働く支店の総務部長を名乗る男は

「お宅のご主人がお客様のお金を使い込んでいることが
 今回の検査で発覚した。示談金を払えばお客様も
 大事にしないと言っているので早急にお金を振り込んで欲しい」

この「振り込め詐欺電話」は何箇所かの支店で
同時発生しており、すべて未遂に終わったものの
実際社員から「検査が入った」ことを聞かされていた家人は
そうとう動揺し危なく振り込みをするところだったらしい。

社員の自宅住所の流出と「検査が入っている」ことを
匂わすなど悪質で、かつ、巧妙な手口に
会社はすぐに警察へ一報を入れた。



< 事例 その二 今年四月 >


四月のある日、仕事を終え普段どおりに家に帰った私に
母が引きつった顔で声をかけてきた。
「MZOちゃん、大丈夫なの?
 こんなハガキ来てるけど・・・」と
差し出されたハガキの消印は東京上野だった。

そのハガキは黒と赤と青の色使いの
結構カラフルな感じなのだが
書いてある内容はかなりシュールで意訳すると

「お前が期限までにお金(使用料となっていた)を
 はらわないので訴訟の準備を始めたから
 首洗って待ってろよ」というものだった。


私自身は、50円ハガキを何枚、いや何千枚送って
いったい何件がここに書かれている「0120」で始まる
フリーダイヤルに電話をするのだろうと思っていたが
齢70歳になろうとしている母にはかなり衝撃だったようだ。

私やその後帰ってきた姉から
「典型的な詐欺行為」と聞かされ
やっと顔色を取り戻した母であったが
これが一人暮らしでいたならば
結果、電話をかけて思わず言われるがままに
振り込んでいてもおかしくはなかったかもしれない。


< 事例 その三 今日 >


二、三日前から東京都内店の代表電話に

「この間、うちに来て頂いてとても熱心に
 セールスをしてくれた女子社員がいた。
 もう一度話を聞きたいのだが名刺を無くしてしまった。
 聞けば思い出すから何人か女子社員の名前を
 言ってみてもらえないだろうか」


「IT戦○部(実際本社にある部)のものですが
 一部支店のサーバーがダウンしてしまった。
 イントラネットで○○支店の内線電話帳を開いて
 上から順番に社員の名前を教えて欲しい」

という詐欺電話がかかってきている旨の通達が流れていた。
実際、いくつかの支店ではまるっきり信じて
答えてしまったところもあったらしい。


それが本日、ここ札幌支店の代表電話にも
かかってきたんですよ。だんな。

もちろん私がとったわけではないのですが

前出の「IT戦○部」を名乗る女性が
かなりの早口で専門用語をまくし立てるんですって。
「上司にかわります」といって電話を回したときには
切れてしまっていたらしいんですけどね。


今、うちの会社は「IP電話」なので
会話はボタンひとつですべて録音ができるように
なっている。その女性の声は他の支店にかかってきている
電話の声と非常に似ているらしい。


こういうのってさぁ。なーんかいやよね。
性善説ってもう通用しない世の中になってしまったのかしら。
なんだかとっても悲しいよね。
Marizo



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