十夜一夜...Marizo

 

 

逃がすとどんどん大きくなる魚 - 2006年05月22日(月)


そんな、こんなで恐ろしい頭痛を抱えて
仙台港に到着したのは乗船の15分前。
バイク待ちの列には、私の前に
札幌ナンバーのバイクが一台。
一旦バイクを止めてから、ヨタヨタと乗船手続きに
フェリーターミナルへ向かい
そのまま待合所で半分失神しながら乗船放送を待った。


「乗用車、オートバイの運転手の方は
 お車までお戻りください」との放送で
またヨタヨタとバイクに戻った私を待ち構えていたように
前に止まっていたバイクの妙齢男子が声をかけてきた。


あぁ、ここだけの話ですけどね(笑)
私、こう見えて(←どう見えて)
結構、愛想がいいんですよ。よ。
職業柄、人見知りなんかもしないしね。
明るく、元気でお話大好き女子として
フェリーの中だと誰かとお喋りしてないと暇だしね。
ビールも自腹で飲まなきゃいけないしね(←そこか)


でも、今回ばかりはもう返事をするのに
息を吸い込むのも面倒なグロッキー状態だったので

「札幌?(←多分ナンバーで確認済み)これから帰るの?」
「どこ辺、回ったの?(←荷物満載だったから)」

という、とても明るく声をかけてきた妙齢男子に


「はぁ・・札幌・・で・・す・・」
「どこ・・・いや、新潟行った・・だけ・・なん・・で」


というような、愛想の欠片もない
というよりも、非常に無愛想な返事を返したあと


「もう絶対話かけないでオーラ(←そんなのあるのか)」を
全身から発散させ、俯いたまま顔も上げなかったわけ。


実は、これもここだけの話だけど(笑)
その妙齢男子。わりかし見た目「いいオトコ」だったわけだ。
私がこんなグロッキー状態じゃなければ
乗船のバイクは二台だけだし
一緒に晩御飯食べて、一緒にビール飲んで
なんだかすっごい意気投合しちゃって
もうイヤン♪なんかなっちゃって(←おいっ)


ほんでもって翌朝、その妙齢男子に


「実は僕、日本人に見えるけど本当はアラブ人で
 石油の権利をたくさん持ってる大金持ちなんだ。
 一人ぼっちのフェリーの旅が君のおかげで
 とっても楽しく過ごせたよ。ハニー。
 お礼に油田の一つを君にプレゼントしたいと
 思ってるんだけど受け取ってもらえるかい?
 いや、ぜひ受け取ってくれよ、ね、ハニー」


って言われたかもしれないと思いませんか。どうですか。



翌朝すっかり元気になった私は
「昨日のあの態度はちょっとひどかったなぁ」と反省し
もしかしたら本当にアラブ人だったらまだチャンスはあると思い
苫小牧に到着し下船の準備で車両甲板に降りたとき

「おはよーございまーす」と明るく元気に
声をかけようと思ったんですけどね。

妙齢男子ってば目もあわせようとしないシカトっぷり(笑)


ああ、ほんとにこれで油田を逃したと思ったら
泣くに泣けないと思いませんか。どうですか。
Marizo


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