十夜一夜...Marizo

 

 

自叙伝 - 2006年04月10日(月)



『 東京タワー 』  著:リリー・フランキー


ずっと気になっていた一冊なのだが
「文庫になってからでも」という
貧乏性でかつ気の長いことを考えていた。


金曜日に中本さん(仮名)から
「半分出すから買わない?」という商談をもちかけられ
「オッケー、オッケー」と返事も軽くお尻も軽く(←うそ)
購入し当たり前のように先に家に持って帰り
この土日で一気読み。


知らない方(っているのかしら?)の為に説明すると
リリー・フランキー(ペンネーム)という
1963年に九州で生まれた日本人男性の自叙伝である。



私の感想としては「1963年生」という
私の周りのごく一部で大きな勢力を持っている
「38会」と同じなのだが九州という土地柄なのか
もう少し、そう5,6年ほど古い世代の
話のようだなぁというのが一つ。



もう一つは非常に抽象的な感想で申し訳ないが
読んでいる時に見えた色が綺麗だなぁと思ったこと。
自分が小さい頃は大きかった父
若くて綺麗で優しかった母
今はすでにこの世にいない親や
年老いてしまった親を現実に抱えながら
いくら昔の話とはいえ
これほど淡々と透き通った文章が書けるのは
どうしてなんだろうと思った。


自叙伝なんで言えるものではないが
私も何度かこの日記に父や祖母や
近所のおばさんやおじさんの話を
書いたことがある。
最終的に亡くなってしまう人の話は
やはり最初からどうしても藍色のような
冷たい暗い色が背景色のように
その文章から広がってしまう気がしていた。


まぁ素人の私がそんな綺麗な文章を書けるのであれば
この十夜一夜は今頃、有料化されてるわけだ(笑)



「自分史」とか「自叙伝」というのは
赤の他人にしてみると決して面白いものではない。
私がもし自叙伝を書いたとしても
面白がって読むのはそこに登場しているであろう
母や姉や親戚ぐらいなものだ。


それを赤の他人が読んでも「面白い」と言わせるのが
プロなんだよなぁと思った一冊でありました。
Marizo


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