十夜一夜...Marizo

 

 

素直な言葉 - 2002年12月12日(木)

お昼の11時半から12時半まで
月に2、3回 電話当番がある。
その名の通り 交代でみんな食事に出た後の
誰もいないフロアに残り
ひたすら外線電話をとるのだが・・・


昨日かかってきた1本の電話は
「中央支店のハヤシ(仮名)です」という
同じ会社の 男性だった。
「あ、はい。いつもお世話になります。」と言った途端
慣れなれしい口調で「矢野(仮名)いる?」と聞いてきた。

「申し訳ありません。ただいま
 食事で席をはずしておりますが」と言うと
慣れなれしい口調に 横柄さが追加され

「なんだよ。メシかよ・・・・
 じゃぁ 栗さん(仮名)いる?」

「すいません。栗原(仮名)も席をはずしております。」

「なんだ・・じゃぁ 営業マンは誰がいんの?」
「伊藤(仮名)が二人おりますが・・」
「伊藤? いやーわかんない」


ここまでのやり取りで充分おわかりの通り
外線電話を取るという仕事は どちらかと言うと
新入社員や若手の社員に 暗黙の了解で押し付けられる
仕事なので このハヤシさん(仮名)は
恐らく私の事を 若手社員と思っていたのであろう。


案の定 次に聞かれたことは これだ。
「あのさぁ〜 何年入社?」


私は嘘つきではない。どちらかと言うと
素直な部類に入ると思っている。
そう 私は誰もが認める 素直な子かもしれない。



「何年に入社したかは 言いたくないです。」


「えっ?」と聞き返されるままに
「何年入社か 言いたくないんですよね」と
タンタンとした口調で繰り返し言ってみた。


素直だから。


その後しばらく沈黙が続いたのは
きっと電話の向こうで 中央支店のハヤシさん(仮名)が
一生懸命 私の言ったこのセリフを
頭の中で何回か反芻している結果であり
それを遮るように「もしもーし」と声をかけて
その努力をぶち壊しにするような
ひどい事をしてはいけないと思い
ハヤシさん(仮名)の次の言葉をじっと待った。


「いやぁ 実は僕 昔札幌支店にいた事があるんですよ」


きたっ!いきなり「僕」そして「ですます調」
私はプロフィールにも書いてはいるが
手の平を返す人間が好きではないので
あくまで冷ややかに 抑揚の無い口調で
「そうですか」と答えると
その中央支店のハヤシさん(仮名)は


もう寒いんでしょうね。もちろん雪降ってるんですよね。
雪祭りはまだ先でしたっけ。いやいや じゃぁ風邪など
引かぬよう お体に気をつけて
お互いこの苦しい相場環境の中頑張りましょうね。

と 一気に言って電話は切れた。


素直な言葉って あぁ なんて気持ちいいんだろう。
うひひ
Marizo


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