カタルシス
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2004年12月17日(金)  さんちゃご!進もう 

日比谷・帝国劇場でSHINKANSEN RX のミュージカル『SHIROH』を観て来ました

『SHINKANSEN RX』って何? 『劇団☆新感線』のイレギュラーユニットとでもいうんでしょうか… なんか今年はこんなんばっかですよ新感線 団員を細切れにして上演企画すんのは たまにのコトにしてくらさい…・。

…じゃ!
気を取り直して「あらすじ」いってみましょう

時は、三代将軍徳川家光の治世。幕府は鎖国をご定法としていた。
所は、九州は島原。重税と度重なる飢饉に苦しむ農民は、島原藩キリシタン目付・津屋崎主水(池田成志)らに迫害されながらも、キリシタンを信仰し続けていた。
隠れキリシタンの中心的存在の益田甚兵衛(植本潤)、その娘レシーナお福(杏子)らは、海の上を歩いて渡り、農民を武士達の拷問から救い出し、天主デウスの言葉を伝える救世主−「天の御子」が現れると説き、さしも甚兵衛の息子である益田四郎時貞(上川隆也)であるかのような噂を流して、民衆を扇動し時代を動かそうとしていた。
 しかし、四郎はかつて「奇跡の子」と呼ばれていたような奇跡を起こす力を失っていたのだった。奇跡を起こせぬ自分が一揆軍を先導することなどできやしないと、葛藤する四郎の前に幻のように現れ消える不思議な少女・リオ(大塚ちひろ)は自分を信じろと告げる。
 
そして、その頃天草にもSHIROHと名乗る少年がいた。名はシロー(中川晃教)。
天草の入江にある朽ち果てた船を根城にするゼンザ(泉見洋平)やマツたちと同じく、バテレンと日本人との間に生まれた混血児たちで、幕府からは国外追放の憂き目に合ったものの、船が嵐で難破してしまい、この天草の入り江に流れ着いたのだった。歳若く、一目で混血だとわかるその姿にしても、キリシタン弾圧によって悦楽にひたる幕府役人には目ざとく捉えられるに違いないであろうに、彼らはこの入り江で自由に生きていた。シローの歌のおかげで。シローは不思議な力を持っていた。シローが歌うと、私利私欲に走る三宅蔵人(粟根まこと)ら天草の役人達も、歌に操られ、うまくだまくらかされ彼らを捉えることができないのだった。シローの歌は人の心を操ることができた。その一部始終をみていた女がいた。絵双紙屋のお蜜こと伊賀のくノ一水鏡のお蜜(秋山菜津子)だった。お蜜は、老中・松平伊豆守信綱(江守徹)の命を受け幕府の密偵として放たれた柳生十兵衛(橋本じゅん)の連絡役として天草を探っていたのだ。シローの不思議な力のことは、お蜜の妹で、江戸城での連絡役・伊賀のくノ一お紅(高田聖子)を通しすぐに松平伊豆守信綱の知るところとなった。おりしも、島原藩領主・松倉勝家が旧友・板倉重昌(吉野圭吾)とともに、江戸の松平伊豆守信綱の屋敷を訪ね、島原藩の農民一揆だ、キリシタンの反乱だのという手に負えない内情を解決するがため松平伊豆守信綱に知恵を借りに直参していた。しかし、松平伊豆守信綱は江戸から離れた遠い九州で起こっている島原の窮状が、今後の江戸幕府の治世を成り立たせる為の布石として役に立つことを見越していたのだった。隠れキリシタンだ、豊臣の残党だという戦国の名残という残り火にシローという火種を投じて一気に燃やしつくし片付ける策略をめぐらせていたのだ。

いよいよ、島原では日増しにきつくなる藩の締め付けに、民衆は暴徒となる勢いを増していた。そんな中、闇市を開きキリシタンや農民を支援する山田寿庵(高橋由美子)が奇跡の力を失ったと告白する四郎に、それならばこそ一揆軍の長にと説き伏せていた。その時を図ったかのように、四郎の父と姉が捕らえられたとの知らせが入った。この暴挙に四郎は立ち上がった。キリシタンの反乱軍を率い、囚われたキリシタンのいる牢獄へ攻め入った。そこには、甚兵衛やお福とともに捉えられた天草のシロー達もいた。その少し前、牢獄では、いよいよ進退窮まったキリシタンの囚人たちに、死をもって殉教とすることを説く甚兵衛にシローは死んだら何もならないと、生きて自分の力で勝ち取るのだということを歌で諭していた。四郎が見たあの幻の少女がシローに呼びかける。シロー歌うのだと。シローの不思議な歌で、力を盛り返す囚人やゼンザ達の様子を見てとり「彼こそ天の御子」だと宣言するお蜜。キリシタンが待ち望んでいた、自分達を導き救う「天の御子」だと。かつての奇跡の子、四郎もその力を信じ、この戦いにシローの力を使って欲しいと頼む。俄かに「天の御子」と担がれるシローと、反乱軍を先導する決意に立ち上がった四郎、二人のSHIROHは互いの手を取り、島原・天草の反乱軍は大きな気炎を上げた。キリシタンにとってはこの上ない未来への導きをみたことだろう。が、果たしてそうであったのだろうか・・・陰謀渦巻く聖戦のゆく先は・・・

すでにこの時二人のSHIROHは、ひとつの悲劇と共に在った。

SHIROH公式サイト storyより


えーと 第一感想は うわー本当にミュージカルだ… でした
何当たり前のこと言ってんだ!とお思いでしょうが そう思ったんだから仕方ないじゃんっ(逆切れカヨ)
いやね 新感線の舞台って通常でも歌唄ったりすること多いんで その延長線をイメージしてたんだけれども ミュージカルなんで台詞がそのまま歌になっててさ… そこに違和感を覚えてしまった訳ですよ ちなみに作詞というか歌の台詞?というのでしょうか 執筆陣の中にデーモン小暮閣下がいらっしゃいました でもそんなもん言われなきゃ全然解らしません(苦笑)

それから上川とダブル主演だった中川くん 名前を聞くのすら初めてだったんですが 歌上手でした 何というか「熱い系」? 私の中では千綿ヒデノリと同じ枠内に分類される歌い手さんです(よく解らん)
歌上手いといや 高橋由美子結構上手くて驚きました 大塚ちひろって子も初めて知りましたが 上手に歌ってましたね その逆が上川と江守さんで えっと うんと 役者としてはすごいオーラ放ってると思うんですけどね2人とも でもね 歌はね 何かね えっとね…(何が言いたい)

新感線メンバー高田聖子・橋本じゅん・粟根まこと 大好きな3人でして今回演じたキャラも個性的で面白かったんですが とにかく出番が少なくて! やっぱり細切れ反対!もっと出してよ劇団員!!!
毎度新感線の殺陣見せ場担当のアクションクラブさん達も目立たなかったしな〜… 毎回トキメく殺陣を披露してくれるのに いつ出てきたか解らないくらい今回地味でした(好きなら気付けよ)

場面場面は程よく息抜きを挟んだ軽快な展開でしたが テーマがテーマなだけにどうしても重たくなりがちで 何か含みを持たせたストーリーなんだというのは解るのですが 何が伝えたいのか明確に伝わってこなくて 大詰めになればなるほど意図が渾沌としてくる気がしました 豪華な面子だし大掛かりで派手なステージ展開で息つく間がないはずなのに 何か足りないというか 間延びを感じてしまって首を捻るような感じ 多分筋書きは普段の新感線の方が細かく作り込まれていると思います それを知っている目で見るから物足りなく思うのかも知れません(春に見た「燃えよ剣」でも感じたし)

舞台の両サイドに配置した多くのモニターに映像や文字を映して演出に使っていましたが 時折近代世界のの荒んだ様子が映し出されていたので 漠然と思ったのは

一見平和に統治されているように見える世の中でも 内側にはあちこちに膿が溜まっていて いつ何時 何かの拍子に皮を破って流れ出すか解らないんだぞと
遠く昔 江戸の初めから人間なんてものは基本的に何一つ変わっていないんだぞと
当時九州の隅の小さな国で 世の政に対峙し命を散らした者があったことを 中央の民衆が知らなかったように 世界で起っている数多の出来事に気づかぬフリをしてはいないか?

だとかいう 問題提起をしたい舞台だったのかな?とか 思うには思ったんですが そんなん新感線っぽくないなぁ… と鼻じらんでしまう自分を止められませんでした

何かね もしそうならストレート過ぎて粋じゃないなと
新感線は「粋」が命の劇団だと(私が勝手に)思っているので 裏に込められた皮肉やメッセージは 色んなものに隠して隠して それこそ重箱の下には3枚も4枚も上げ底がしてあって 一番下に隠された何かを垣間見るのが楽しい筋書きだと(とことん勝手に)思っているので

その点においてこのSIHROHは イマイチな印象を払拭できないお話でした
簡単な話 端々に疑問が残り過ぎてスッキリしなかったんだもんっ(苦笑)
 
でも役者さんや登場人物のキャラクターは非常に良かったです
個人的にはとにかくシローが可愛くて シロー&お蜜の年の差カップル多いに推奨! 中川くんがというんじゃなくて 多分シローが可愛いのですよシローが 素直で屈託なくて全然“毒”がない 実際にはまずいないだろうなって人物像なんですが それが良いのかも知れません ひきかえ四郎の方はウダウダじめじめしててすごく人間臭い 自分の後ろ向きな性格とかぶる部分が多くて 見ていてイタイ人物でしたが こちらもやっぱり魅力的

神仏化した有り得ない聖なる存在と
ありふれた等身大の生身な存在が
同じ場所に立っているってところにも 何か含みがあったのかなぁ…

お馬鹿な私には理解しきれませんでしたが 興味深く楽しめる作品ではありました

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18時半開演でまるっと3時間 途中休憩を挟むので終って出てきたら22時を回っていました 帝劇周辺には何もないので取りあえず有楽町まで歩いて 友人と夜ご飯を食べ このまま帰るかどうかを思案した結果 事務所に戻って仕事の続きをすることにしました

だってこれから帰って 寝て 起きて電車とバスに乗って出勤するの 面倒くさいじゃん それに このまま夜通し作業すれば 明日少しくらい休みが取れるかも知れないし!

という訳で 友人と別れてから再び日比谷へ戻り 三田線に乗って春日まで 電車に揺られる時間はたったの6分ですよ 自宅戻るより楽かもって思うじゃんよ

事務所までの道すがらコンビにで飲み物とちょっとつまめるものと エスカップと眠気覚ましのドリンク剤を買って てくてくと歩みを進めたのでした

そんな訳で泊まりがけのお仕事GO!
 
『さんちゃご-御子は舞い降りられた-』SHIROH/作詞:デーモン小暮閣下

 


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