わたしは声が低い。 夫に対してかかってきた仕事先の人からの電話にわたしが出ると、 「奥さん、機嫌が悪いの?」と訊ねられることが多いらしい。 本人は普通に話しているのに、機嫌が悪いと思われるのは損だ。 夫にももぐちゃんにも、少し高めの声で接しているのだが、そう してばかりも居られないことだってある。 わたしが少しばかり真剣になっているときに話しかけられると、 声のトーンをあげずに受け答えしてしまうことがあるのだ。 そうすると、夫は機嫌が悪いと思って、自分の方がご機嫌斜めに なってしまうのだ。 そうじゃないと言っても、その時点では逆効果なのである。 そうして、お互いに不機嫌になったままで会話すると、物の見事 に会話がすれ違う。 昨夜がそうだった。
しばらくして、お互いに反省しながら話をする。 今日は一日わたしの機嫌が悪かったという夫。 事の起こりは、昼少し前に起こした時に一言だけわたしが文句を 言ったこと。 夫は、寝起きのぼんやりした頭で、それを何度も言われたように 勘違いし、「くどくどと文句言われた。」とむくれた。 わたしは、(一度しか言っていないのに、くどくどとなんてっ!) と思い、少し機嫌が悪くなった。 しかし、その機嫌はすぐに直ったのだ。 直ったというよりも、押し殺してしまったのだった。 だから、一日と言われて腹が立った。 夜の会話の時は、少しだけ真剣に受け答えしただけだったから。
声が低いので機嫌が悪いと言われることは、しんどいのだ。 外に対しては、声のトーンを上げて話すようにしているから、逆 にいつも元気だとか言われたりもする。 一緒に暮らしてもう10年目になるというのに、真剣さと不機嫌 さの区別ができないなんてねぇ。 わたしだって、たまには真剣になるんだよー。 でも、真剣になると、ついつい低い上に口調が鋭くなるのがいけ ないのだろうな。
だんだんと遅くなってく日の入りに雨戸を閉める音の合唱(市屋千鶴)
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