びわのことを書いて思い出しました。
実家の隣の家の方が、 染め物をされるのですが、 びわの木を染めものに用いると、 とても美しい色が得られるのだそうで、 二、三年前に枝を所望され、 まだ実をつけていない枝を父が差し上げていました。
私は、染められたその布を、 実際に拝見はしていないのですが、 どんな色に染まったのかなぁとすこし興味を覚えます。
最近、開花を始めた桜木も、 花咲く前の枝を使うと、 美しい染め物ができるのだそうで。
それは、花へ送られる紅色が、 枝にまだ在るうちに頂くことから 可能なそうですが。
花の身になれば、 せっかく蓄えた色を、 咲かせることなく奪われ無念と思われるのですが…
それでも、染め上げられた織物が、 たとえば数十年、 数百年すら生きるのだとしたら。
そういう花の咲かせ方もまたあるのかもしれないと思われたりします。
ときに、昨日の最後の一文に、 ピンと来られた方はぴんぽん正解でございます。
かつて、ロシア中の青年をとりこにした、 チェーホフの『中二階のある家』は、 これほど美しいラストにはめったと出会えない、 夢や幻のように美しい恋愛の傑作短編です。
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