「隙 間」

2012年05月13日(日) light my candle

その前々日が徹夜でした。

徹夜マージャンあがりに思わず叫んだ、
朝だ!
徹夜だ!
から、色川武大さんのもうひとつの筆名である「阿佐田哲也」が生まれました。

嫌だ。
徹夜は。

から、わたしは「矢田哲也」という筆名にしようかと思います。



徹夜で仕事して、朝五時過ぎの山手線に、一時間だけ仮眠するために乗って。

山手線は一周がちょうど一時間です。

寝過ごして終点のとんでもないところに運ばれることもありません。

そして会社に戻って、また終電まで仕事でした。

帰ってきて弁当を食べたとこまでは記憶がありました。

それ以降の記憶がありません。

目が覚めたときは、ベッドの上にただ寝転がってました。

テレビも電灯もつきっぱなしです。

当然、目覚ましのセットもされてませんでした。
携帯電話のアラーム(バイブレーション)は毎日繰り返す設定にしてありますが、携帯電話は床の上に置きっぱなしでした。

耳のすぐ横に置いて寝なければ、音はもとより、アラームの振動でもわたしはほぼ起きません。

鬼のような着信履歴の相手である御山さんに、勇気を振り絞って、電話をかけました。

「っっっとに、すみません。今すぐ、支度してゆきます!」

心配してるメールをくれたのは、チロルでした。
そのメールを送ってみるように言ったのは、下松さんでした。

「ほら、体調不良って、精神的にきちゃって会社に来られなくなっちゃったりしたのかと思って」

周りにいるのは皆、優しい方々です。

一方の、前まで一緒に仕事をしていた黒木メイサ(仮名)さんは、

「きっと寝過ごしちゃっただけですよ。きっと、だいじょうぶじゃないですか」

ようく、わかってくれてます。



徹夜で仕事、だけは、これまで避けてきました。

ナルコのわたしがいったいどうなるのか、予想が出来ないことになるのが予想できていたからです。

許されるかぎりですが、モテるだけのモディヲとリタりんのカップルを同伴です。

アフターになったら、もう、途切れそうな意識を如何に保つか、という戦いです。

勝ち目などありません。
はなから勝てるものではないのです。
負けても大丈夫なところにたどり着くまでは負けないように。
そのための持久戦です。

部屋まで無事たどり着き、弁当を食べたところまでは、記憶にありました。

しかし。

弁当ガラを片付けた覚えはありません。

ベッドに上がり込んだ記憶も、ありません。

だから、誰よりも必要な強力目覚ましのセットをした記憶もありません。

弁当ガラは片付けてました。

じゃあ、なぜ。

あと一歩。

目覚ましのセットまでできなかったのか。

悔やまれます。

いえ。

悔しいというよりも、むしろ清々しい喪失感です。

「やっちまったなー! はっはっはぁー……」

はぁぁ。

二度目でした。
大事なタイミングのときに。

同じ仕事を同じ時間で一緒にしていた上司の御山さんは、それでもちゃんと時間通りに出社し、続きをしていました。

たまたま、だからこそ、それは大事な日であったり、許されない日であったりすることが多いわけです。

今回は上司である御山さんが一緒の仕事だったので、大穴をあけずにすみました。

メイサさんと虎子さんに、

「早く、朝起こしてくれるひと見つけなきゃ」
「あ、でも、そういう代行サービスあるやんか」
「でもそれって、電話のモーニングコールだけじゃないですか?」
「そらそやなぁ。朝、ガチャって入って来られたら、不気味やん」

はっはっはっ。
うふふふ。

他人の失敗談を、こちらがその甲斐があったと満足できるような蜜の味として、ちゃんと味わってくれる方々です。

とはいえ。
派遣や外注さんの彼女らは別として、御山さんや社員の同僚たちにとっては、単なる笑い話ではおさまりません。

想定内の事故とはいえ、これがまた続けば致命的です。


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