夢見る汗牛充棟
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| 2006年01月28日(土) |
ケルトの神話・伝説 フランク・ディレイニー |
鶴岡真弓訳 創元社
ええと、図書館で借り。読了。
ウェールズの伝承に収められている話は、前に読んだ『マビノギオン』 (JULA)とだぶっている。でも細部はちょっと違うけど。 ふんで、ケルトのクー・フリンのお話は、出版社忘れたけど前別の本で 読んですっごく印象に残っていたのと、やっぱり微妙に違ってた。
萌えで言うなら、以前読んだやつ。ダントツです。
クー・ホリンが親友ファーディアと一騎打ちに及ぶ時 「おお!ファーディア、なぜ君は僕と戦うのか。僕たちはともに武芸を 学び、森でたわむれ、ベッドを分け合った仲ではないか。いや、深い眠り さえ分け合った仲ではなかったか」……深い親愛と友誼で結ばれた相手と 剣を交えなければならんちゅう悲哀ばりばりの台詞です。この場合、 戦いに及んでは、口が裂け、片目が引っ込み、片目は飛び出し、髪が逆立 ち、血が沸騰してぶしゅうと水芸やらかすク・ホリンだって八頭身の目元 涼やかな細身美形に描かれること疑いありますまい。 そしたら、ファーディアはそれよりちょっと華奢に、ちょっと優しげに 描いてあるとなお素敵です。
ああ。話がそれた。 第一部のアイルランドの伝説に納められた各話が一番色彩豊かで、 躍動的で好ましい。
ルーグの槍を作らせるところなんて、激しくかっこいいです。 一人目は金槌で三度打つだけで槍の穂先をつくり 二人目がはっしとそいつに柄を投げつけると空中で合体 三人目が合体した柄と穂先に向かって舌を出すと鋲が飛んでばしっと固定。
合体物の基本をよく踏んでいると思います。うっとり。
たぶん、これを作ったのは三人一組の技芸の神様で ゴウニュ−ルフターニュ−クレーニュ のお三方?と 思うけど、違ったかもしれません。
色が鮮やか。第一部がダントツで、だんだん色がのっぺり してくるような感じを受けました。
色鮮やかな衣装には黄金や宝石がちりばめてあって。そりゃもう 豪華絢爛。建物にも金銀ガラス。もうきらっきらです。目が眩む。 ふんでもって、その中で振舞われる特上の料理。 『生まれた時から季節ごとにオートミールの甘い粥、新鮮な牛乳 木の実、小麦、肉、肉のコンソメスープ』 だけ食わせて育てた豚。 『生まれた時からヒース、ハーブ、カラス麦、うまい牧草』 だけで育てた牝牛。
富士の放牧豚なんて目じゃない感じです。それにしても、豚のほうが ケルトの人には愛されていたらしい。待遇いいわ。 とりあえず、大鍋にはいってこれでもかってくらいにぐつぐつ煮えて いるらしい。死ぬ気で食べないと「わしの心づくしが食えねえってか」 とインネンつけられてずんばらりん。英雄の世界は恐ろしいです。
あと蜂蜜酒。いっぺん飲んでみたいです。どんなもんだろう。 銀の美しい細工を施した酒杯や、角杯で飲んでみたいものです。
毒舌のブリクリウ。他人を混乱させて平地に乱を起こす趣味がある のはロキさまを思い出させました。ロキさまの方が好みではあります。 でも宴会への情熱のかけっぷりはすごいと思います。頭がさがります。 しかも英雄たちの諍いを宴の余興に楽しむために労を惜しみません。 いや、かっこいい。でも傍にいたら闇討ちすると思います。
昔のケルトの人はとりあえず、宴会で三日三晩飲み食いしてからじゃないと 用件を言っちゃいけないんだそうな。楽しくも、大変そうです。
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