しゃぼん暮らし
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耳をすましてる
新人係のひとの真横に立って 異国の言葉の発音を正しくうつしとろうと
新人係のひとはふかいアルト やわらかな艶のある声
あら、パワーはおちたのよ、13キロ痩せたの、と
去年、胃癌を切って、と
ここでも病気を告白されるわたしである
茶目っ気たっぷりに
でも、ふっかつしました、と
夜の稽古場はすき
金沢Pスペースのことを思い出す
夕刻
楽譜をもって走ってゆく
留守中、女の子たち 巨大おにぎり山をこさえたり しゃぼん玉して床中べとべとにしていたりしている
かまうものか
いつもアルトのはしっこ、指揮のせんせいの右側面をとらえる そこは戸口のそばなのだ 仕事を終えて駆けつけるひとびとを
気配を感じながら
唄っている
遅れてほつほつほと ひとたち
背広やコート、なにか、脱ぎかけて、
もう戸口のむこうから
唄をくちずさみながら
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