しゃぼん暮らし
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| 2004年06月25日(金) |
ワン・ノート・サンバ〈1〉 |
夥しい「十」
階段の踊り場から教室まで 壁いちめんの「十」 お習字だ
くろいむれ
なんて生々しい堅固な十字架
すこしひるむ
三年一組のみなさんは帰り支度をしている ひとりにひとつずつ箱をもって教室を出てゆく 二日分の葉を手に手に 蚕はいまや週末毎にやってくるのだ ケースのなかにはトイレットペーパーの芯を1/2に切ったものがセットされている
「カイちゃん(仮名)、どう?」
成長がはやい びっくりするほど大きくなっている ユイの箱のなかをのぞきこんでいると 周りに子供達がやってきて 「僕は」「わたしは」と報告しだした
「見た!」と
゛脱皮目撃゛゛がこのところのクラスのブームらしい みんな わたしに脱皮のことを言いたいのだ
帰宅してしばし観察 呼吸のリズムにあわせて背中をいっぽんの線が走る うすくなったりこくなったりしながら
夜 眠る前に 蓋をあけると 虫はまるい芯のなかに入り込んで 動かない
ゆっくりと
糸を吐きだしている
ああ、と
このときのカイは五齢
解説によると 一齢で一眠、そして脱皮〜二齢で二眠〜脱皮〜三齢 三眠 脱皮〜 四齢 四眠 脱皮〜そして熟蚕、五齢になって一週間くらいで糸を吐きだす
(ユイは脱皮を目撃できなかったわけだ)
三人でくっついてプリントをながめて せつめいしながら 昨日 発声練習でやったソルフェージュを思い出していた 黒い記号を 長2度 短2度 増2度 短3度 減3度 完全4度 重増4度 完全5度 短6度 長6度〜〜長9度〜〜〜
楽譜に散っていた音のつぶ
「おやすみなさい」
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