Leonna's Anahori Journal
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2009年11月27日(金) 「砂中の金」的購入本

 
会社帰り、久しぶりに八重洲古書館に立ち寄る。
買い過ぎなければ、本当に良い本ならば、今日は買っても良いと自分に許可を与えたにもかかわらず、こういう日に限って買いたい本が見つからない。
半ば意地になって棚をなめるようにみて掬いあげた、砂中の金のような購入本。
 
 
 「東方綺譚」 マルグリット・ユルスナール(白水社uブックス)
 「サトラップの息子」 アンリ・トロワイヤ(草思社)
 「ゴシップ的日本語論」 丸谷才一(文藝春秋社)
 
 
いつもながら、出ていればつい買ってしまう白水社uブックスではありますが、本日はその中でも白眉といえる一冊に遭遇。出ましたよ、マルグリット・ユルスナールが。村上春樹『東京綺譚集』はユルスナールのこの作品名のもじりなのだろうけれど、やめておけばよかったのになぁ。アジア、オリエントに材を取った短編集はタイトルと書き出しだけでも上質な幽玄を漂わせており、この時点ですでに武者震い。比較的薄い本なので、大切に大切に読みませう。

「サトラップの息子」は書名だけは(そして評判の片鱗も)耳に届いてはおりましたが、今日初めてページを捲ってみると、どうやらトロワイヤの半自伝的小説、「我は如何にして作家となりしか」という内容であるらしい。しかも第一章のタイトルは『ヴェネツィアに一陣の風』、その書き出しが『ヴェネツィアに到着早々、父がポーターに勧められて選んだ巨大ホテルのコンシェルジュは…』となっていて、来ましたよ来た来たー!とばかりに購入即決。さすが砂中の金、煌めき方が違います。

この二冊で、もう今日はあきらめて帰ろうとお勘定を済ませて店を出かかったとき、未整理の本の山に丸谷才一の名前を発見。2004年の出版で、『日本語があぶない』から始まって、『文学は言葉で作る』『泉鏡花の位置』『人間の時間といふものを』等々の内容、さらに対談では『新しい歌舞伎の時代』『思想書を読もう』他、書き手(話し手)が丸谷才一だからこそ読みたい(逆に他の人のなら読みたかない)内容満載だった。
清冽な毒で我が身を清めん、てな気分でがっしとその一冊を掴みもう一度お勘定場へ取って返した。






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