Leonna's Anahori Journal
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| 2003年10月04日(土) |
参考書としてのドキュメンタリー |
横浜の父の家の近くで。 金木犀が満開、姫林檎の木に小さな実が鈴なり。 しまった、デジカメ持って来るんだったーと残念がることしきり。
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きのう、NHKのハイビジョンスペシャルのことを書いたが、911からアフガン空爆、そしてイラク攻撃までの間、NHKのドキュメンタリー(もしくは特集)番組をたくさんみた。
NHKスペシャルは、特にイラクと米国のことに関して興味深い番組が多かった。
『イラクを追われて〜緊迫・砂漠の難民キャンプ〜』 『アメリカとイラク〜蜜月と敵対の20年〜』 『イラク戦争〜アメリカ・イラクの人々はいま〜』 『亡命イラク人たちの戦争』、等々
後々、人名や数字がわからなくなるのを避けるためにも、出来る限りビデオに録りながらみた。
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特に印象的だったのは『亡命イラク人たちの戦争』で、これは米国デトロイトのディアボーンという町に住むイラク人の兄弟を取材したもの。兄は元報道カメラマンで、イラク攻撃には反対している。弟は彫刻家で、攻撃には賛成。なぜなら一緒に亡命した奥さんの父と兄弟をフセインに殺されているからで、フセイン政権が倒れるならば攻撃もやむなしと考えているのだ。
ディアボーンは多くの亡命イラク人たちが暮らす町で、こういう町が米国にあるということ自体、私は知らなかった。その町で、道をはさんで攻撃賛成と反対の二手に分かれ、デモを繰り広げるイラク人。深刻な騒動にこそならないが、ときににらみ合い、罵声を浴びせあう。
TVニュースをみて心配になり、バクダッドに住む妻の母親と姉家族に頻繁に国際電話をかける弟。電話回線が破壊されていなかったため、爆撃のさなかでも電話は通じる。家の近くを爆撃されながらの電話での会話。「もうだめ」「そんなこと言わないで頑張って」「でも、だめなものはだめ」。命の危険にさらされながら逃げることも出来ずに受話器を握っている姉の、切迫しているのだが不思議に静かな、押し殺したような声が、いつまでも耳について離れなかった。
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『アメリカとイラク〜蜜月と敵対の20年〜』は、これまでの両国の関係を資料映像や著名人の証言を交えて振り返ったもの。各国の歴代大臣や、大物武器証人までもが顔と名前を出してカメラのまえで証言していた。 米国の傭兵として次々にロケット弾を放っている若きオサマ・ビンラディンの映像もあった。
またBSプライムタイムでは米国の公共放送が作った『戦争への長い道』という番組が前後編で放送された。コレ、米本国で放送できたのかなと思うくらい、ストレートなつくりのドキュメンタリー。
これらの“歴史を振り返る”番組は私に、ニュースをみたり、新聞をいくら読んでもわからない(つながらない)国際間のアレコレに道筋をつけ、そのときどきの国と国との関係、利害について理解させてくれた。つまり、私にとってはとても大きな役割を果たしてくれたことになる。
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なにがいいたいのかと言うと。
NHKが公正・客観・中立を守るために、箸にも棒にもかからないような、安全で、しかも面白くもなんともないようなものを作っていると思ったら大間違いなのだ。けっこうギョッとするようなものもたくさん作っている。意外にラディカルなのである。
もちろん、流されたものを鵜呑みにするかどうかはまた別問題。しかし、こういう番組をいったい誰が観ているのだろうかと思うことも少なくない。話をしても「ああアレ、みたよ」という人と会ったことがないのだ。 そのたびに、あんなに面白いのになーと、単純に残念に(チョットさびしく)思うのだが。
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