2003年06月13日(金) ないものねだり?

本日、お客さんがお茶とお饅頭を持ってきた。
以前、交通事故で怪我をして、保険会社の未収で乗ってたお客さんだ。
そのお客さんは看護婦だったせいもあって、出勤時間が不確定で、朝六時半に出勤したり、夜の十時半に迎えに行ったり、と結構時間が凄まじかった。
だからかもしれんが、御礼の品を持ってきたのだろう。

仕事。

確かに、言ってしまえばそうだ。
給料にならなきゃ、誰もやらん。
誰が自分のガソリン代使って、わざわざ見ず知らずの人間を運んだりするだろうか。
滅私奉公なんか嘘っぱちだ。

仕事。

しかし、仕事を通じて発生する人間関係というのは確かにある。
友達とは違う。しかし、人間独特のつながりがそこにある。
仕事という媒介を通して、お客さんとサービスを提供する側、という関係が成り立つ。
たまには、非常によくない関係が構築されてしまう場合もあるだろう。
しかし、双方がお互いのことを考え、その仕事(サービス)を円滑にこなせるようになれば、信頼関係が生まれる。
金を払ってるから、とか、お客さんだから、とか、そういうものを抜きにして、人と人とのつながりが確保できれば、そこには信頼が生まれる。

そして、今回のこの未収のお客さんは、そのよい例となった。

おいらは、ガス馬車御者会社に勤めている。
しかし、ガス馬車を駆ってるわけではない。今は。
つまり、花形ともいうべきガス馬車御者が、最前線でお客さんと向き合ってるときに、おいらは、帳簿上の名前しか知らないのだ。
今回、そのお客さんが来たときも、初めて見た。ほかのガス馬車御者は、みな顔を知っていたというのに。

凄く疎外感を感じた。
おいらは、帳簿上でしかお客さんのことを知らない……。
会って話して、人と人との関係が構築できない。
それが、なんか無性に寂しかった。

多分、こんなこと感じるのはおいらだけだろうし、そんなことをガス馬車御者の面々にいったら「固定給貰ってる奴がナニを寝言を!」といわれるのは目に見えてる。
けど、やはり疎外感は否めない。

品物を受け取って笑顔で頭を下げたものの、その笑顔はどこか空々しい。
おいらは、何もしていない。
少なくともあなたに対しては。

金の不安は無いが、同時に喜びもない。
人と人との繋がりがない。
なんともいえぬ不思議な、しかし苦い経験になりそうだ。


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彩葉 [MAIL]

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