これはおいらではない、やくざ上がりの人が経験した話。しかも、今日。
彼がお客を迎えに行き、乗せて、降ろす。 そこまでは普通の仕事。 ところが、帰る途中で突然背後から覆面パトカーが出現する。 赤色回転灯を回しつつ爆走してくるから、皆横にどきますわな。逆に、どかないと公務執行妨害で捕まっちゃうんだけど(^^; で、彼も例外なく横にどいたのだそうだ。 と、パトカーは彼の横でぴたりと止まり、刑事が二人降りてくる。 彼は一瞬、自分がなんか悪いことをしてしまっただろうか、と考えたそうだ。 (そういや、昨日立ちションしたっけ。タバコのぽいすてもしたよな……) それはそれは、今日や昨日のことが走馬灯のようによぎったそうな。そして、よぎる事象を法律に違反していないかどうか激しく吟味したそうだ。
だが、刑事の第一声は違った。 「さっきのお客の話を聞かせて欲しいのだけど」 普通、刑事は手帳は出さないのだそうだ。ほんとかな。 彼は、電話で呼ばれて迎えにいって、乗せて走って五千円を受け取って下ろした旨を伝えた。 すると、刑事はその五千円を証拠物件で持っていってしまったのだそうだ。 後には、彼が道路に一人残された。 それはそれは恥ずかしかったそうだ。そりゃそうだよね。あれだけ激しくサイレン鳴らされたから、近所の人も出てきて、完全にさらし者状態だったそうだ。
お客は、警察に捕まった。 何でも、止まっていた車の手提げ袋から30万を盗んだそうだ。 そして、知らん顔でガス馬車御者を呼び、町まで出かけたらしい。 その犯人はすでに前科があったのと、盗むところを持ち主に見られていたため、スピード解決となった。
かくして、今日犯人の両親がうちの会社にガス馬車御者代を払いに来たのだ。 犯人が払った金は、盗まれた人のもの。 ということで、その金は盗まれた人に返され、代わりに犯人の両親がガス馬車御者代を払いに来たのだ。 母親は泣いてたわ。当たり前だけど。
ちょっとしたことで、窃盗やらなんやらをする若い人間が増えてます。 年よりもだけど。 んで、金払えばいいんでしょ、というふざけたことを言うやからも多い。 でも、ちょっと魔がさしてした行為が、周囲の人間に迷惑をかけることを皆肝に銘じておくべきだね。 あなたが、ちょっと出来心で百円相当のものを盗んだだけで、親や奥さん、だんなさんや子供さんが泣きます。ごめんなさいではすみません。 あなたが求めたつまらないスリルで、あなただけではなくて、親戚一同破滅します。 そんなことを、ふと感じた事件だった。
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