2002年06月29日(土) 家庭崩壊秒読み開始

本日は土曜日。
よって、平和な(暇な!?)時間が流れていく。
おいらは、例のごとく爆睡中。
と、仕事が出たらしい。
聞いてみると、以前鉄パイプを持っていったばあちゃんの家。
一抹の不安を感じたが、受けてしまった仕事だ。行かざるを得ない。
ということで、ばあちゃんの家の前に車をつける。
すると、いつものばあちゃんと、やはりいつもの「一人ではちょっと生きて行けそうもない」娘さんが乗ってきた。
しかも、ばあちゃんの顔、尋常ではない。
薬のせいだろうか、確かに、いつも呆けたような表情で乗ってくることはあった。でも、今回は明らかに違う。
右目のところにあるのは、痣。ちょうど、アニメのキャラクターがけんかをした結果、目の周りに痣ができる絵があるけれど、ちょうどそんな状態。

おいおい……まじかよ(−−;

ばあちゃんは、車に乗るなり、涙声になりながら、娘に向かって言う。
「かあちゃんは、とうちゃんに全部金を持ってかれちゃったから、飯も食えない。お前はあたしのところにいても生きていけないから、とうちゃんのところで生活していくんだぞ」

ぎぃぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーっ!!
そういうシチュエーションのお客かい!!
あんたこれからなにしに行くんじゃ!?まさか、亭主の職場の前で割腹自殺でもせんだろうな!!?
前回の鉄パイプでも結構参ってるのに、今回はそのノリかい。勘弁してくれよぉ。
しかし、思うんだけど、ここまで毎回きわどい客を乗せるのは、おいらくらいじゃないだろうか。
しかも、毎度……。
ここまで来ると、何かに取り憑かれているとしか思えない(TT)

目的地を聞くと、やはり亭主の職場。
しかも、今回こそお金を取り返す、と息巻いている。
おいおい、穏便に頼むぞ。
しかし、というべきか、やはり、というべきか、事態は最悪の方向へ。

聖苑の裏門から進入しようとしたばあちゃん。
地元のボディーガード(やくざ)につかまり、突き飛ばされ、ひっくり返されている。
ばあちゃんは、もともと事故で足が悪い。それを突き飛ばされたものだから立っていられるわけもない。
ひっくり返されようが、突き飛ばされようが、立ち上がって、そのボディーガードを押しのけて中に入っていこうとする。
おいらは助けに行くことはできない。
車から離れることはできないのだ。
そのうち、話がまとまったのだろうか、ばあちゃんは、引き返してきて、車に乗り込む。
どうやら、ボディーガードが呼びに亭主を呼びに行くことになったらしかった。
ところが、しばらく待って、ボディーガードは亭主を連れてこなかった。
彼の話によると、亭主はばあちゃんに寝込みをハンカチで絞め殺されそうになり、顔面をうっ血させながら職場に現れたそうだ。そんな状態だから、会いたくない…とのこと(顔面うっ血するほど締められた人が聖苑で働けるかどうかは疑問が残るところだが)。
ばあちゃんは怒り狂い、ボディーガードにつかみかかる。
ボディーガードも顔を叩かれたり何かをしているうちにばあちゃんの胸倉を掴み、戦闘開始。
そうなると、おいらも止めざるを得ない。
(喧嘩が車の側で行われていたのも原因だが)おいらは車から出て、ばあちゃんとボディーガードの間に割って入る。でも、おいらは警察ではないので、友人や肉親ではない人間を力づくで剥がすことはできない(おいらが暴行罪で訴えられちゃう)。したがって、殴り合いが始まらないように体を二人の間に差し込み、止めるしかなかった。また、足が悪いからひっくり返って頭を打ってしまう恐れもあったので、それも防がなければならなかった。
ボディーガードは、やはり自分から手を出さない。胸倉をつかんでこそいるが、あくまでばあちゃんの攻撃を牽制するためのものでしかない。だから、彼が手を出しているとは到底いえない状態だった。
実際、そのボディーガードは、おいらに向かって盛んに「俺はなにもしてないからね」と、警察沙汰になっても問題ないように振舞っていた。
対するばあちゃんは怒り狂い、もう手がつけられない。
ボディーガードの恫喝にも「殴ればいいじゃないか!」「一思いに絞め殺してくれ」と、まったくひるむ様子を見せない。というより、半ばやけくそ(^^;
ボディーガードの怒りも限界に達しようとした頃、聖苑の人間が警察を呼んだ。
おいら自身は警察は呼びたくなかった。あまり騒ぎを大きくしたくないからだ。
だが、パトカーがきてしまった以上、どうしようもない。
組み合った二人を警官が無理やり引き剥がし、事情を聞き始めた。
おいらも、パトカー内で数分の事情聴取。
といっても、おいらは何も知りません。
門の前でお客と目的地にいたおじさんが掴みあいをはじめたので、それを制止した。それだけ。
その後放免。ってか、なんもしてねーよ、おいらは。

トラブルの事情は前とおなじ。
娘のために貯金していた金を、亭主が全部下ろしてしまい、パチンコだか女だかに使い込んでしまった。
…というのは、ばあちゃんの言い分。
しかし、亭主側の言い分は、必要な生活費を入れているのに、パチンコに狂い、生活費がなくなってしまっているばあちゃんに愛想をつかして出て行った、というもの。
こうなるともう、どっちが正しいのかわからない。
警察民事不介入。おいらも不介入でありたい(−−;

ボディーガードは、警察署に連行され、事情聴取を受けるよう。
ばあちゃんは、興奮状態がなお持続し、事情聴取も受けられそうにないので、家に返されることになった。
また、この問題は再燃するだろう(−−;

おいらには、どちらが正しくて、どちらが間違っているのかわからない。または、お互いがお互いの中で正しいのかもしれない。
しかし、おいらの想像のできないところで夫婦が崩壊するということはありうるようだ。
いい年をこいた夫婦が、なぜ今ごろ…とおもうのは、おいらだけだろうか。
この夫婦には別の健常者の娘が二組いるそうだが、その二組も親に金の無心をしにきて、追い返されてからというもの、まったく連絡をとっていない状態。
この親にしてこの子、という感じだ。(普通は逆か?)

その間メーター入れっぱなし。
一時間半の格闘の間、一分四十五秒に八十円、という結構割高なお金はかかっていた。
総額7850円。
しかし、値段以上に疲れた仕事だった。


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彩葉 [MAIL]

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