えすぱっ子
清水エスパルスユース紹介サイト

2003年06月25日(水) 東海プリンスリーグ 静岡学園高校戦(寄稿)

 寄稿を頂きました。有り難うございます。本文は主として、タナカさんから(筆者が加筆しております。ご本人のレポートは、ぽけっと三保日記で見られます)、写真はマイコさんからご提供頂きました。

---
03年06月21日15:04開始 静岡県営草薙陸上競技場
 JFA プリンスリーグ U-18 東海 2003
 対 静岡学園高校 ※45分ハーフ

▼布陣
−−−−− 鈴木真 −阿部−−−−−−

−−大瀧−−−−−−−−−−柴田−−

−−−−− 山本真 −枝村−−−−−−

−−篠田−−高柳−−村越−−森安−−

−−−−−−− 山本海 −−−−−−−

控え:前田、石垣、雄也、田淵、岡村、上埜、八木
交代:後半08分:篠田 →岡村 (そのまま左SBに)
   後半25分:鈴木真→杉山雄(真希をFW、森安をボランチ、雄也を右SBへ)
   後半32分:柴田 →上埜 (そのまま右MFに)
   後半44分:山本真→八木 (そのままFWに)

静岡学園高校:

−−−−−−横山−−板倉−−−−−−

−−−−能登−−−−−−狩野−−−−

−−−−−−岩谷−−清水−−−−−−

− 中村樹 −松下−−小林− 中村亮 −

−−−−−−−−飯塚−−−−−−−−

控え:後藤、平島、庄子、木戸、浜田、池田、青木、小野、加門
交代:後半12分:岩谷→木戸、後半34分:小林→庄子


▼試合展開

 降り続いた雨も午後からは止み、客席には静学の生徒や選手の家族、それから清水FC5年生の子たちなど、1000人近い観客が入っていた(清水にとっちゃ、いつもの10倍じゃ)。とはいえ、隣接する静学の応援団で埋め尽くされるかと思われたがそうでもなく、相対的には小勢ながら清水サポも多く見られた。試合前には、東海第一で一時代を築いた望月育成本部長が、井田監督と挨拶を交わす姿も見たれた。

 学年ごとの選手数が少ない清水ユースのメンバー構成が若いのはいつもの事だが(清水:3年7人、2年6人、1年5人)、静学も高校勢にしては若いメンバー構成(静学:3年12人、2年8人)での試合。
 静学は、総体予選の東海大翔洋戦で退場処分を受けた左SBの山梨が出場停止、阿部・海人・大瀧ら旧友との対戦は果たせなかった。また、レギュラー格の攻撃的MF宮本が怪我で欠場した関係もあってか、旧来の4−1−3−2ではなく、ボランチ2枚の4−2−2ー2のボックス型で守備的にしてきた。清水がサイドMFが大きく開くのに対し、中盤の4人は攻守を分担し、代わりに両SBが積極的に上がる。今年の静学は、スピーディーでテクニカルな所謂「静学らしい」攻撃的な選手を揃える一方、1対1に強いCB2人とGKがソリッドにゴール前を固めている。
 一方の清水は、左腕を包帯で吊った獅子内の姿が痛々しいものの、U-16代表イタリア遠征帰りの真希と怪我明けの真司を先発に復帰させ、ベストと言って良い陣容で挑んだ。

[前半]
 立ち上がりから、静学は積極果敢にゴールを狙う。まず3分、左サイドで縦パスに反応した能登が、裏に抜け出すと中に切り込みシュートを放つが、GK海人の正面。更に11分にも裏に抜け出す場面を作るが、これは海人が飛び出してピンチを未然に防ぐ。しかし、次第に単調に裏を狙う攻撃に終始し、高いDFラインと海人の飛び出しに封殺されていく。判断の遅い攻撃は、むしろ速攻の格好のエサになっていった。

(左から順に枝村・柴田、篠田・高柳・真希、村越・森安。高校勢では考えられない攻撃的なラインの高さに、静学は戸惑いを隠せなかった)

 一方の清水は、十分にこれに応戦。12分、ボールキープする大瀧が、篠田のオーバーラップを囮にドリブルからミドルシュートを放つと、18分には左サイド中央からのスローインを、真司が神トラップで相手を交わし、そのまま左サイドを独走からシュートを放つ。20分には、右サイドで粘り強くボールをキープした柴田が、一瞬のスキをついてマーカーを引き離しクロス。ファーでフリーの真司にドンピシャ。だが、いずれも枠を捉えることが出来ない。
 静学も中盤では均衡した状態を保っており、どちらに点が入っても不思議ではなかったが、ゴールが近づくにつれて、プレーの正確性で上回っていたのは清水の個人能力だった。21分、右から左へ枝村がサイドチェンジ。PA左外に走りこんできた大瀧が受けると思いきや、意表をついたダイレクトクロス。静学DFの反応が遅れてGK飯塚に任せる格好となったが、そこに阿部が猛烈とスピードを上げて飛び込む。ファーポスト付近でバウンドを巧く頭で合わせると、コントロールされたボールは飯塚の頭上を越えた。1−0。

 これで流れは清水。26分には、篠田のフィードを阿部が落とすと、中央へ入ってきた柴田がポスト、戻して大瀧がミドルシュート。だが、GK飯塚が抑える。それからも、縦と横の揺さぶりをバランス良く織り交ぜながら、中で繋いでから大きくサイドスペースを使って、両サイドを崩しに掛かる。幾度と無くゴール前までボールを運ぶものの、そこは静学DFが粘りを見せた。
 一方、「縦一辺倒」の静学だが、気持ちよく攻める清水の隙を突く形も見せる。38分、右サイド狩野から対角線上を走らせるミドルパス。左サイドから中村友樹がDFラインの背後に抜け出したかに見えたが、間一髪、森安が体を入れる。43分にも、中盤で枝村から岩谷がボールを奪い、中央突破。前に出てきた高柳を巧みなドリブルで抜き去ると、横山へスルーパス。しかし横山はオフサイド。
 清水もその合間の41分、真希から右の柴田に展開し、柴田がDFラインとGKの間にアーリークロス。遅れて反応した阿部だが、抜け出して何とかボールをコントロール、シュートまで至るが飛び出してきた飯塚が至近距離でセーブ。そのまま、前半を終える。

静岡学園      清水エスパルス
2(1) シュート 7(3) 阿部2(2)、大瀧2(1)、真司2(0)、篠田1(0)
2     クロス  4
0    左右CK 4
10    ファール 12 枝村2、村越2、阿部2、篠田、真希、高柳、真司、森安、誰か1
5     犯OS  2 阿部2



[後半]
 立ち上がりは両チーム共、ファール・オフサイドが多く落ち着かない展開だったが、徐々に清水が流れを引き寄せる。8分、カウンターから阿部が一気に右サイドを突破し、中の上がりを確認するとマイナスのクロス。真司がスルーし、後方から枝村がミドルシュート。僅かにゴール左。その直後にも真司が右サイドを抜け出すが、飯塚が前に出て抑える。
 だが、この後、清水が篠田に代えて岡村を左SBという「攻撃的な」交代を行うと、静学もベンチに温存していたスピードスター、FW木戸を投入。ボランチを清水1枚にすると、3トップでそれまで高いラインで封殺してきた4バックを押し込むことに成功。ウイングを軸に、サイドを使う意図も出てくる。それまで必要ではない低い位置で使われていたドリブルも、バイタルエリアでの「勝負」に使用することが多くなり、静学の怒涛の攻めが始まる。

 まず15分、静学は松下からの展開。狩野・板倉のパス交換から最後は左サイド裏のスペースにボールを送ると、中村友樹が完全に抜け出し、ループ気味のシュート。しかし枠外。清水も16分、カウンターから真希が阿部とのワン・ツーで右サイドから60M突破。PA内に進入すると、更に対応にきた松下を交わし、柴田にラストパス。柴田のシュートは、しかし弾かれてゴールならず。すると今度は静学。18分、後方からのロングボール。清水DFがクリアと思われたが、連携ミスから接触し、転倒。そのスキを突いて木戸が完全に抜け出し、海人と1対1だったが決められず。
 清水も懸命に守っており、1対1を止めた海人は確かに「当たって」いた。しかし、ヒートアップする展開は、逃げ切りを図る立場としては好ましくなかったかもしれない。21分、静学は板倉が倒されて、左サイド(清水の右サイド)からのFK、狩野がゴールに向かうボールを蹴ると、PA内中央で海人が相手・味方と重なり合って競り合うもこぼれ、ファーポスト際へ。このボールを収めたのは、冷静な松下の一撃だった。混戦の所を丁寧に流し込まれ。同点。1−1。

 大勢の静学の生徒から起こった歓声に、小勢のエスパユースサポは思わず嘆息。静学の息も上がるが、清水の選手もこれで目を覚ましたのか、反撃を開始。ベンチも、故障明けの真司を退かせると右SBに雄也を入れ、運動量が落ちない脅威の1年生・真希をFWに、より攻撃的な森安をボランチに入れて、攻めにシフト。31分には、大瀧のCKが弾かれたのを枝村が拾い、スルーパス。抜け出た森安は冷静なコントロールからシュートを放つが、GK飯塚がセーブ。
 得点への意欲満々の森安と攻守に淡泊な枝村がボランチを組む清水、そもそもが1ボランチの静学。試合は次第にカウンター合戦へ。攻撃に枚数を掛ける静学の方が攻める頻度に勝るが、主導権を握ったことで逆に手数を掛けすぎる悪癖が復活。決定的の一歩手前まではいくものの、なかなかゴールを奪えない。対して清水は押し込まれる苦しい展開ながら、相手SBやMFが上がったスペースを活かして、効率的に決定機を創り出す。

 33分には、カウンターから真希が60M突破2回目。右サイドからセンタリングを上げるが合わず、しかし、左サイドでボールを受けた大瀧が粘って再度折り返すと、GKが弾きボールがこぼれる。が、既に飛び込んでいた阿部は体勢が悪く反応できず。
 ここで、静学は阿部をマークしていた小林が、空中戦の競り合いで足を痛めて(攣って?)交代。追い込まれたかに見えたが35分、狩野のスルーパスに反応した横山が、オフサイドなく抜ける。海人がPA外に良い飛び出しで防いだ…はずだったが、味方DFと交錯、ボールがこぼれる。完全フリーの板倉が拾うと、GKではなくDFが守るゴールに向けて押し込む、…と思いきや、何故かループシュート。しかも、これを外してしまう。静学は結局、前半から続いたゴール前での正確性の差を、埋めることが出来なかった。

 その後、静学は横山が、清水は上埜のクロスから阿部が、それぞれシュートを打つも枠外。両チーム共間延びしてしまい、ボールがピンポン玉の様に行ったり来たり。時間だけが過ぎていき、もう駄目かと思った終了間際の44分、シュートを松下がブロックしてこぼれたところ、森安が粘って中央を突破して切り返し、右足でミドルシュート。低く抑えられたシュートはGKの手を弾き、そのままゴール左隅に決まる。2−1。決めた森安は左腕を振り上げると、人差し指を立てて観客にアピール。会場には拍手が響く中、清水の選手は欣喜雀躍、ベンチははしゃぎすぎ(笑)。観客席では、ジャンボパルちゃんも宙を舞った。
 その後のロスタイムは、もうはちゃめちゃ。清水は阿部が右からPA内へと単独突破、DFを1人交わしてシュートコースを空ける。形は完璧だったが、シュートは、ゴール左に外れる。その直後にも八木が1対1になりかけるが、ユニを引っ張られた格好で転倒。清水ベンチ陣は激昂し、試合は沸点を迎える。
 
(随所で激しい競り合いが見られた。イエローも両チーム合わせて4枚)

 静学も、最後の最後まで連続攻撃を仕掛ける。最後は右サイドからのセンタリングを、誰かが難しい体勢ながらボレーで合わせるが、海人が抑えて万事休す。清水は静学に初黒星を付けると共に、この時点で単独2位に立った。

静岡学園      清水エスパルス
10(2) シュート 10(3) 森安2(2)、枝村2(1)、阿部2(0)、真希2(0)
               柴田1(0)、誰か2(0)
5     クロス  10
3    左右CK 2
8    ファール 11 森安4、真司2、篠田、村越、阿部、高柳、柴田
4     犯OS  3 阿部2、真司


(手前から主将の大瀧、DFラインのリーダー高柳、やや不完全燃焼気味だった枝村、そして殊勲の森安)


▼試合結果
清水エスパルスユース 2−1 静岡学園
 得点:前半21分:清水・阿部文一朗(大瀧義史・左クロス)
    後半21分:静学・松下幸平(なし)
    後半44分:清水・森安洋文(なし)
 警告:前半05分:清水・村越大三
    前半44分:静学・横山拓也
    後半02分:清水・鈴木真司
    後半38分:静学・木戸吾郎



▼選手寸評

[清水エスパルスユース]
山本真希:つい忘れてしまうけど一年生なんだよね。中盤では素早い寄せと精力的なランを見せ、FWではカウンターからチャンスを創造。


阿部文一朗:物足りないが、代表級CBとのマッチアップとの観点で捉えればまずまず。スペースを得た事も大きいがプレーの精度は向上。



[静岡学園高校]
飯塚渉:セービング、飛び出しの判断共に光る。彼がいなければ清水が早くに試合を決めていた可能性も。

狩野健太:運動量が少なく物足りなさもあるが、ボールを受ける時のポジショニングやスルーパスの感覚は独特。


 < 前  目次  後 >


ひかる。 @H.P. [MAIL]

My追加