a Day in Our Life


2003年05月11日(日) 声。(大雛SSS)


 『千秋楽、お疲れさん』
 電話の向こうのストレートな声に、一瞬照れて、返事に困った。耳に当てた携帯を持ち直して、出来るだけ冷静を装う。
 「それだけで電話してきたの?」
 『そうやで。おーちゃん泣いてるんちゃうか思って』
 泣いたよ、悪かったな。内心毒づいてみたり。
 「おーちゃんとか言うなよ」
 『あれ、照れてるん?』
 「…」
 『あー嘘、嘘やって。茶化そう思って電話したんちゃうんよ。たぶん大野くんは、間違いなく泣いてるやろなー思って』
 含み笑いみたいな、優しい声。電波を通したヒナの声は、普段聞くより少し低くて、少し舌ったらずで、少し掠れてた。今日は仕事だったのかな、今どこにいるんだろ。どうでもいいことを考えた。
 「ヒナも泣き虫だもんね」
 『…俺のことはエエねん』
 慌てたような声になった。心なしやや早口になる。ヒナは分かり易い。
 『大野くん』
 「ん?」
 『お疲れさん』
 「…ん」
 『今日はゆっくり休みや』
 「うん」
 じゃあね、って電話を切った。たったそれだけで、高ぶった気持ちが鎮まった。今夜は眠れないだろうと思ってたのに、緩やかに眠気が襲う。

 「ありがと、ヒナ」


 きっときみの夢は、見ないだろうけど。


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戦国風千秋楽に書いた(なぜか)大雛。
大雛と大ちゃんには結構、夢見てますよわたし。(大いばり)

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