a Day in Our Life


2003年01月17日(金) 大好き。(内雛ショート)


 初めて会った時は随分な子供やなあって思った。まあハタチにして老成してると言われる俺に比べたら年相応なんかも知れへんけど。そんな当時からなんやもう、弟以下って感じで。それがまさかこんなことになるなんて、思いもしなかった。

 「好きなんです」

 って言われて、俺はどんな顔をしたんか正直覚えてない。たぶん笑おうとしたんやろうけどうまくいかなくて、ため息みたいな声が出た。それであいつはちょっと固い顔をして、「こんなん言われるん迷惑かも知れんけど」って俯いた。迷惑なんかちゃうよって。言いたいのに言葉が出なくて。随分と頑張って、声を出した。
 「迷惑なんかとちゃうよ」
 瞬間パッと顔を上げた内が、問いかけてくる。
 「…ホンマ?」
 「こんなんで、嘘なんかつかへん。迷惑なんて思わへんよ。思うわけない。やって、」
 「え?」
 それきり黙り込んでしまった。
 「村上くん。何?」
 「…察しろや、オマエ」
 これ以上は勘弁してって。伏せた顔が熱い。年ばかり食っててもこうゆうのは苦手やねん。内の顔がまともに見れない。
 「いやですよ。俺も言うたんやしきちんと聞きたいもん」
 そう言って内が顔を覗き込んで来るのをイヤイヤって押し退けたら小さく笑われた。
 「村上くん、かわいいなあ」
 ニコニコと笑われてムッとする。
 「…かわいいとか言うな」
 「やってかわいいもんはかわいいもん。もう、大好き」
 抱き込んだ勢いで、頬にキスをされた。薄い唇の感触。ふわりと甘い香りがする。ふと、抱きしめる腕にやや力が篭もって。
 「ホンマですよ。本気で好きなんや」
 一瞬真顔になった内が、格好ええなあとか。
 「…俺も」
 「え?」
 「俺も好きや」
 ぼそりと呟いた声を余さず聞き取った内が、破顔していっそう抱きしめて来るのを、腕を回して抱きしめ返した。


■■■飼い犬に手を噛まれる。


携帯メールを整理していたら、うっかり出て来たので(再利用するつもりで保護をかけていたらしい貧乏性…)転送してみました携帯ポエム。当時内ヒナの両思いに挑戦していたらしい。ふたりきりならばこれはこれでありの世界だとは思うけど、実際はヨコもすばるも亮ちゃんも(以下略)いるし、厳しいね、現実は。

2003年01月06日(月) あしながおじさん。(滝雛SSS)


 「見たよ伝言板。じゃあ誕生日は俺に一日くれるの?」
 「えーと…一日…は無理やけど」
 「なに、どうゆうこと」
 「…」
 「だってヒナから誘ったんでしょ」
 「そうなんやけど…」
 「けど?やっぱり先約あるんだ」
 「うぅんー…ヨコと…」
 「ふうん。じゃああれだ、俺は体のいい隠れ蓑みたいなもんかな?」
 「そんなんちゃうけど」
 「そうでしょ、俺の名前出しとけば他から誘われることもないし。横山とゆっくり過ごせるわけだ」
 「ちゃうよ…そんなんちゃう…」
 「…ヒナ?」
 「(項垂れ)」
 「ごめんごめん、怒ってるんじゃないんだよ。ヒナは人の誘いを断るのが苦手だし、苦肉の策だったんだって分かってる。ただちょっと、いじめてみたかっただけなんだ」
 「……タッキーきらい」
 「そんなこと言うなよー(焦)」
 「タッキーなんかもう知らん」
 「ヒナー(困)」
 「もー知らん知らん」
 「ヒナ〜。ごめんって!悪かったって!」
 「(顔を上げ)……反省した?」
 「した。もういじめません」
 「ほな誕生日は高いもん買うてくれる?」
 「買います買います」
 「食事つきやで」
 「奢らせて頂きます」
 「ホンマ?(パアア)楽しみにしてるわ!(はあと)」


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初書き滝雛。
(たぶん)W誌の伝言版を見てちょっとーなんなの的に書いたと思われ。
今もむかしもわたしにとっての滝雛って、変わらずこんな感じ。

2003年01月01日(水) A HAPPY NEW YEAR。(横雛SS…S?)


 大晦日にTVで先輩のコンサートを見ながら迎える年越しって正直どうやの。寂しい話やで、思いながら確実に過ぎった顔があったけど、それには気付かなかった振りをした。会いたい人はいるし会える場所にもいる。だけど会おうとは言われなかったしそんな馴れ合いは自分達らしくない気がして。会いたいのを我慢するのは体に悪いよって、言うたんはタッキーやったかな。その通りやけどもうあと数分で新年が明ける今、そんなことを言ったところで。そのタッキーは目の前のTVの中で笑ってた。肝心な時に側にはいてくれへんねんな。一方的にやつあたりしたところで答えが返る訳でもなく。蕎麦でも食うか、と立ち上がったタイミングで携帯が鳴り出した。こんな時間に誰だろう、と着信表示を確認する動きが止まる。

 …こうゆうの、テレパシーって言うんやろうか。

 「…ヨコ?」
 『こんな時間に悪い、起きとったか?』
 「起きてたけど…」
 どないしたん、こんな時間に。疑問は希望に変わっていく。
 『2日のラジオの入りって何時やったっけ』
 「いつもと一緒や」
 『そやったか』
 「うん。…それだけで電話してきたん?」
 『やってマネージャーさん捕まらんし』
 ぼそりと言ったヨコの声が、子供みたいで。思わず笑ったら、『笑うなや、アホ』って怒られた。
 「うん、ごめん」言いながら見やったTV画面では、先輩達がカウントダウンを始めていた。2002年が終わっていく。あと数秒。
 「なあ、ヨコ。今年も一年ありが」
 言いかけた瞬間、年が明けた。アハッピーニューイヤー。TVの音声に混じって『あけましておめでとう』、ぶっきらぼうなヨコの声が聞こえた。
 『今年もよろしく』
 「…こちらこそよろしく」
 その声があまりに待ち構えたようだったので。聞かないし、答えないだろうと思うけど。こんなおあつらえ向きのタイミングで接触を図ってきた、ヨコらしくない優しさと心配りが嬉しくて、また少し笑った。
 『やからさっきからなにを笑っとんねん』
 やっぱり怒り口調のヨコの声も、少し弾んで聞こえて。
 新しい年の一番初めに聞いたのが大好きな人の声だったことに、心の底から感謝した。

 今年一年も幸せでありますように。


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正月ポエム。

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