白木蓮の咲く庭で...久純ゆきの

 

 

来年もよろしくお願い致します - 2004年12月31日(金)

あと2時間程で、2004年から2005年になります。

今年は年賀状もちゃんと書きました!
(一部住所が不明な方には控えておりますが)

現在日記連載中?の『小夜小話』の続きは
新年に渡して、あと2回程で終了の予定です。
オチ(?)も考えてありますので
ちゃんと終了しますから大丈夫ですよー(笑)


さっきまで、お供えの鏡餅を
サランラップでくるくる巻いてました。
紅白を聴きながら、ひたすーらくるくるくるくると。
えーと、ミニサイズが全部で21組。
それから床の間のでっかいちゃんが1組。
一仕事しましたーっという感じです。

さて、2004年、お疲れ様でした。

そして2005年が素敵な年になりますように。


...

『小夜小話 2』 - 2004年12月29日(水)

<2日目>


*******************

量産タイプの真君へ

真君のハートをメッタ刺ししたい蒼天だ。

真君はまるで蒸し焼きの水たまりのようにしおらしいよな!

真君を思うとトラウマになるほど署名活動したくなる。

真君のためなら、地平線のかなたで目薬を指しつつ
羊を飼うことも朝飯前さ。

「蒼天の眼差しって足払いみたいですね」
と無邪気に笑う真君の横顔が忘れられない。

蒼天より

追伸 腐っても鯛
   ……って言うけど、腐ったら食えないから別物だよな、普通。

*******************


「………………」

それは、居間の机の上に置かれていた一枚の薄様だった。
墨が乾ききっていないところから見るに、
まだ書かれて間もないのだろう。
脇には数枚の白紙と硯。
太さの違う筆が2本、散らばっている。
それから反古紙を丸めたらしいものが、二つ三つと床に落ちていた。

ため息をつきながら床のゴミを片付けようと近づいたところで、
その文面が目に入ってしまった。
……正直に言えば、昨夜のことがあったものだから、
つい中身が気になってしまったのだ。

しかし相変わらず、季凛の表情は動かなかった。
ぱちぱち。二度瞬くところは、昨夜と同じ。

窓から入ってくる午後の柔らかな日差しと、囀る鳥の声。
それから庭に実る桃の香り。
微風が優しく通り過ぎていった。
落ち着いた調度で品良く飾られた居間に、
濃褐色の髪を綺麗に結い上げた少年が一人、佇む。
後れ毛が揺れてその白い頬をくすぐった。

時が止まった掛け軸の絵画のようなその美しい光景を動かしたのは、

「よっ……と。お?」

窓から居間に飛び込んできた少年だった。
身軽な動作で窓枠を乗り越えると、
たんっと軽い音を立てて居間の床に着地する。
その金髪がきらきらと舞った。

季凛はゆっくりと振り返る。
金髪に青い瞳の、季凛と同い年くらいの少年。
この手紙(?)の書き手、季凛の、立場的には兄弟子に当たる司蒼天だ。
両袖を肩口で破った上着に、動きやすいように踝で両裾を括った下衣。
腰に結んだ臙脂と海老茶の飾り布が目に鮮やかだ。

「ととと、あ、こっから入ったの、真君には内緒な?」

視線が合うと、蒼天はにかっと笑った。
一方季凛の方はといえば、ちらとも表情は揺るがない。
ごくごく真面目な面持ちで、蒼天と向かい合った。

「蒼天」
「ん?」

呼びかけてから、おもむろに机の上の書面を指差した。

「文章の頭、真君を4度も繰り返すのは、あまり綺麗な表現じゃないと思う」

季凛にしてはめずらしく長々とそう告げると、
一拍置いてから床に屈み、反古紙を拾い上げた。
それから。

「じゃ」

短く言ってくるりと背を向けると、蒼天を置いて居間を後にした。

「……ああ、ええっと……」

振り返ったりはしなかったから、
残された蒼天がポリポリとこめかみを掻いていた事は知らない。



            【(またも)続く(らしい)】


...

『小夜小話 1』 - 2004年12月28日(火)

<1日目>


*******************

眉間のしわが素敵な蒼天へ

あなたのハートにかかと落とししたい木蓮です。

蒼天はまるで吹きさらしの水たまりのように上品ですね。

あなたを思うと激しくダンスを踊りながら110番せずにはいられません。

蒼天のためなら、地平線のかなたでスシを握りつつ
空中分解することもいといません。

「真君の夢ってあばれ馬みたいだよな」
と無邪気に笑う蒼天の横顔が忘れられません。

木蓮より

追伸 夜道に注意。

*******************


廊下の片隅、暗がりに紛れ込むようにして落ちていた紙切れを、
季凛が見つけたのは偶さかの事だった。
何かの書付か反故紙か、
手のひらに収まるくらいの小さな紙片を拾い上げ
手燭の灯りに文面を照らし出せば――。

(……………………)

読み通してから、二度瞬く。
もう一度頭から読んだ。

蒼天へ。中略。木蓮より。以下略。

師匠から兄弟子への、手紙らしい。
そのままその場に留まって、しばらく考えた。

(見なかった事にする、返しに行く、代わりに届ける)

一連の間、季凛の表情は動く事は無い。
そうして結論が出たちょうどその時、

「季凛?」

柔らかな声が廊下の向こうから響いてきた。
白い長衣の上を滑る長い黒髪。
夜の闇に溶け込んで、今は色の沈んだ青い瞳。
灯りを持っていなかったため気づくのが遅れたが、
季凛の師、白花真君――白木蓮その人だ。

軽く頭を下げて夜の挨拶の代わりにすると、
手に持っていた紙片を相手へと差し出した。
師匠の元へ返そうと思っていたところだ。ちょうど良い。

「……え? あ、ああ。これですか」

受け取った紙切れを碌に確認する事も無く、
師匠はそれを手のひらの中へと握り込む。
くしゃり、と小さな音が響いた。

「ええと……その、季凛?」

伺うように尋ねてきた師匠に、季凛は首を横に振ってみせた。

「何も見てません」

それはつまり、見てない事にするから、という意思表示だ。
もう一度頭を下げると、おやすみなさいと小さく挨拶して
季凛は師匠の横を通り過ぎた。

「あ、おやすみなさい」

拍子抜けしたような声だったが、
振り返って確認する事も無く、
季凛は自室へ戻る為に廊下の角を曲がった。


            【続く(らしい)】


...

くりすますー - 2004年12月24日(金)

はっぴーめりーくりすます?

でしょうか、皆様は。
ここを覗いてくださる貴方の冬が、素敵なものでありますように。

私の今夜は、
母上様と弟と、おこたに潜って冬ソナ観賞でした(笑)
今BSで放送してるやつ。
それなりに和やかで楽しかったですよ〜。


これだけブームになってる冬ソナ、
実は私、ちゃんと通して観た事ありませんのです。
高校時代編をちょこっとだけ見ただけで。
騒がれてるけど興味なくって、
これからも積極的に見るつもりはなかったのですが、
終電で帰ってくるのが通例だった弟が
早く帰宅してリビングでテレビに張り付いているのを
横から眺めていて陥落。
今日は2話分最初から最後まで観ました。

相変わらずぺ・ヨンジュンは割とどうでもいいのですが、
ミニョンさんはカッコいいです。うん。


さて。

『蒼穹輪廻』です。

書いたのは、もう随分前です。
7月の日記に『月ノ華』を書いていましたけれど、
あれを書き始める前に、書いたものです。
なので、半年近く前の文章ってことになります。

きちんと王獅を書いた文章はこれが初めてですね。
「白王獅」としての彼の行き着く先は、ここになります。

青空の見える終焉。

王獅が満身創痍になってる理由をさっさと書けや、と
思い切りツッコミが入りそうですね、あはは(逃げ)

「彼女」を核にした封印の計画を立てたのが王獅です。
王獅は、弟弟子に頼まれて計画を練り、
反対する「彼」の目を逸らすフェイクとして動き、
「彼」と戦って死んでいきます。

木蓮は王獅と過ごすうちに「彼女」と「彼」に出会い、
これから起こる未来を予期しますが、
警告して(=未来を動かして)いいものか動揺しているうちに
何度か前の前世の自分に出会ってしまい、
その魂に同化するようなかたちで
存在を吸収されてしまいます。

そして未来=過去は動くことは無く、
「彼女」は陣の要になり、
邪仙化した「彼」は封印され。

時間は流れ、封溪邑の惨劇へと繋がるのです。


……桃缶メンバにも分かりにくいだろうな、これ(苦笑)

とまれ、こういう物語を想定しています。


...

『蒼穹輪廻』 - 2004年12月19日(日)

地に仰臥して、王獅はあと幾許かで終わるであろう己の鼓動を聞いていた。
とても静かだった。
風の音も、揺らされ擦れ合う木々のざわめきもしない。
ただゆっくりした鼓動の音だけが、耳元で潰えるまでの時を切々と数えている。
視界に広がる空は、いつもにも増して青かった。
不意に消えてしまった友を思い出させる、高く澄んだ青。
仰向けに倒れた幸運を嬉しく思った。
最後の視界が真っ暗では、それはそれは寂しかっただろう。

(あいつ、無事に帰れたのかな)

思い出すのは、行くなと泣きそう声で叫んだあの時の顔だった。
せめて笑って送ってくれればいいものを。
苦笑しようとして、表情を変えることすら億劫になっていることに気づく。
笑おうとする時の吐息の音も自由にならない。
先程までうるさいほどに熱さと痛みを主張していた左腕は、いつの間にか静かになっていた。
左肩の付け根の辺りで、小刻みに鈴を鳴らしているような気配がするだけだ。
執拗なまでに折られて粉々にされた右手首は、それよりもずいぶんと前から感覚が消えている。
師匠の一筆は、袖の中に仕舞いっ放しだった。
たとえすぐに取り出せたとしても、師匠は風水・卜占の仙人。
時を戻してもう一度戦いなおせと言われるくらいだったら、このまま素直に大道に還る方を選びたい。
こんな考え、師匠に知られれば軟弱と言われるのだろうけれど。
結局最後まで自分は、碌でもない弟子のままらしい。

(あいつが居たら、きっと治してくれたんだろうな)

きっとものすごい剣幕で怒鳴りながら。
――まあ、無い物をねだっても仕方のないことだ。
彼が本来の居場所に戻れたのなら、それが一番いいことなのだから。
一緒に過ごした時間は、思いもよらなかった楽しさで溢れていた。
ひどく甘え下手だった子供が感情の表現の仕方を覚えていく様を、自分がどんなに嬉しい気持ちで見ていたか。
木蓮には分かるまい。
……けれど、分からなくてもいいのだ。今は、まだ。
空はただ青く、無心なまでに青く。
ぼやけた視界の中で、どんどん広がってゆく青が、ひたすらに王獅の心を占めていく。
約束、守れなくてごめんな、木蓮。
ああ、でも――きっと、今度は俺から会いに行くよ。
青の中に溶け出してしまいそうな浮遊感。
こんなになっても、後悔はしてないんだ。
むしろ誇らしいくらいで。
だから待ってろ。
俺が行くまで。
あそこで。
瞼が重い。
少し休みたい。
絶対に会いに行く。
約束するから。

ああ――綺麗な、青だ。


長い長い呼気。
そして、動くものは風の眷属だけになった。


















...

央華日和 - 2004年12月14日(火)

昨日が行きたくて行けなかったコンベだった……せいだけではないのですが、
この頃は久々に頭の中の物語世界を央華封神に明け渡しています。

1月の桃缶が新しい央華キャンペーンの初回になりそうで、
(行けるかどうか微妙になってきた……やばい/汗)
その宿題として、GMさまから
「名前と洞統と簡単な性格と今居る所を教えてね」
という要請が出たのが主な理由です。

名前と洞統は動かしようもないところまで決定してるので
それは問題なっしんなのです。
性格も、まあほぼ問題ないのです。
軽い感じのお兄さん路線で攻めるつもりなので。
何か良い例えが出せたら良いんだけど。
……うーん、三国無双の孫策をもうちょっと優雅にした感じ?
(却って訳分かりませんか、そうですか)
津守時生さんの『三千世界の鴉を殺し』の
ルシファード・オスカーシュタインみたいな感じとか。
あと、茅田砂胡さんの『スカーレット・ウィザード』の
海賊さんことケリー・クーアなんかも近いかな。

こう、融通の利く気風のいいお兄さんって感じにしたいのです。

前に似たようなタイプのお兄さんを演じたことがあるので
(多分、わたしのロールと相性は悪くないと思うので)
持ち札の中にないわけではないですが、
卓との相性もあるわけで。

諸々の要因が重なってこういう蒼天が出来上がったわけですが、
今回は私が殊更お兄さんをやらなくてもいい気がするのです。
いっそ今回が、木蓮みたいな少年でも良かったかも。

でもまあ、キャラが固まっちゃってるので
開き直ってこの路線で進むわけですが。
何気に困ってしまってるのが、戒律の選択です。

風水・卜占なんだよな、蒼天って……。

それにしては何か、すっごい(表面が)軽いんですが。
そういう風水ってアリですか……?

オフィシャルの風水・卜占の仙人さんって、
割と固いというか生真面目っぽいひとしか思いつかないのですが。

ふたつは大丈夫なんですね。
「激しい感情に流されることなかれ」と「汗を流すことを厭わず」。

あとひとつなんですけど。
個人的には「見せるべきでないものを見せず」を取りたいのですね。
完璧にあっぱらぱー(っていう表現もアレですが)じゃなくて、
内面にひとつあっさりと大人な部分を抱えてるみたいな。

なのですがー。
この3つにすると、オフィシャルの飛翔さんと全く同じなのです。
(少なくとも、リプレイ1ではそうなってるのです)
私見では、飛翔さんは「見せるべきでないものを」よりは
「決してあからさまになることなかれ」の方が近いような気が……。

あそこまでガチガチに隠します体質じゃないんです。
「迷えるものをひそやかに導く」時だけ「見せず」みたいな。
普段は開けっぴろげなんです。

……根本的に風水・卜占向きじゃないという突っ込みはナシで(泣)

上手く戒律と折り合いつけておかないと、
何かテキトーなキャラになっちゃいそうなので妥協したくないのですよ。
単発セッションならまだしも、
キャンペーンで付き合ってくわけだし。
能力値的な部分では、あんまり強くないですし。

むー。
突然天啓が降りてきたりしないもんかな……。


...

日本語のセンスが欲しい - 2004年12月09日(木)

ころころタイトルが変わって非常に申し訳ないんですが、
先程、2度目のタイトル変更してきました。
木蓮の文章です。

最初のタイトルは『望月』。

書き終わってぽんっと降ってきたのがこのタイトルで、
実はこれ、望と月の間にレ点を挟んで、
月を望むって読ませたかったのです。

なのですがー。
普通、「月を望む」って読む前に、
日本人なら「もちづき」って読む方が普通かなと
しばらくしてからはっと思い至りまして……。
中身は、満月どころか、新月もいいところな状態です。

なので、間違っても満月のイメージは抱いて欲しくないので、
次につけたタイトルは『ひとり月を望む』。

そのまんまです。
望月=満月の誤解はされようもなくて良いんですが、
最初の一文と被る上に、
このタイトルからすると現場が夜みたいじゃないですか。

個人的には(描写入ってないからややこしいんですが)
昼間の草原のイメージなわけで、
それもまた微妙に違うのです。


……で、ぐるぐるした挙句
なんとか捻り出したのが今度の『白花の蕾』です。

でも、これ、気に入らない……。
気に入らないなら付けるなって感じですが、
まだしもこれの方が、中身とイメージ違わないので。

わたしの言語センス、全然磨かれてないー。
ううう、日本語、もっと日本語が欲しい……。


と、もうひとつ気づいたことで、
多分これは全然どうでもいいんですが、一応追記。

前に、木蓮の洞の所在地の名前を
碧玉高山、としてましたが、あれ、翠玉高山のマチガイです。
中国茶のスイユイカオシャンからそのまま取ったので。
同じ中国茶のピロチェン茶(碧羅春って書きます)と混じった模様。

が、設定好きのわたしですから、
名前の由来もちゃんとあるのです。

翠玉山っていうお山があって、
その麓の村が翠玉邑。

その邑の人たちが、
結果に守られて普段は辿り着けない翠玉山のどこかにあるプチ仙境のことを
翠玉山のどこか高みにある場所、として
「翠玉高山」と呼び習わすようになった、という経緯。
それを耳に挟んだ木蓮が面白がって採用した、という具合です。

翠玉山なんて名前が付いてると、
エメラルドでも産出しそうですが、
鉱山っぽいイメージはしてなかったりします。
(それも面白そうですが)

木蓮も居住地に定めてることですし、
翠玉のように緑の美しい山、くらいの方がいいでしょうか。
広葉樹のない針葉樹の山ってことにしようか。
それなら紅葉の季節にも色が変わらない(はずよね?)ので、
翠玉の山なんて呼び名も似合うかも。

輝石の産出する土地だと、お山に人がたくさん入ってくるでしょうし、
金行や加工技術の得意そうな仙人さんの方が似合うと思うから、
あくまで植物の美しいところの方が
一応巫蠱(笑)の木蓮に似合うっぽい感じ。


……って、追記のつもりが随分長く。

こういうなんでもない設定を考えるのは楽しくて好きだなぁ。


...

『白花の蕾』 - 2004年12月07日(火)

たとえば夜、独りで月を見上げるとき。

あの懐かしい声が聞きたくなる。
自分よりも少し低い、よく通った大きな声。
無遠慮でお構いなしに見えて、
それは気遣の裏返しである暖かな声。

たとえば昼、花園で花を眺めているとき。
傍らを通っていった風に、つい振り返ったとき。

そこにかつて立っていた人を、
立っていてくれた人のことを、思い出さずにはいられない。

山の強い風に靡く鮮やかな金色の髪。
短く切り揃えられたあの髪は潔いほど風に煽られて、
けれど柳を思わせる強かさで、まぶしい笑顔を彩った。

当たり前のようにぞんざいに扱った。
出会いが、例えそれが大道にさだめられていたことだとしても、
掛け替えのない貴重さであったことは間違いないのに。
傲慢に、一緒に居る事が当然のように。

遠慮なく容赦なく、こちらの内側に踏み込んでくる相手だった。
それは彼の常であったのだろうけれど、
けれど、それは同時に彼の優しさだったのだろう。
時も空間も遠く隔てた今になって、初めて悟る。
彼の本来の気質は、去る者は追わない性分だ。
開こうとしないものを無理に開かせようとはしなかった。

それなのに傍に置いて煩い位に構いつけてくれたのは、
そうでもしなければ本心を明かさない自分に合わせてくれたのだ。

誰かにそんな付き合い方をされたことは今までなかった。
修行の旅を共にした、同郷の仲間たちにも。
正直に打ち明ければ、自分は彼らを「仲間」と呼ぶのに躊躇いがあった。
あったのではない、今も躊躇っている。
それ以上の呼称が見つけられないゆえに、仲間、とあえて呼ぶが。
彼らに持ってしまった一定の距離感。
それは決して縮まることはなかった。

……ああ、いや。
妹の、妹の雪姫は、少し違ったかもしれない。
こちらの思惑も意図もお構いなしの、気ままで自由な娘。

妹と彼との違いは、
離れていく者か、近づいてくる者かの差だったのだろう。

そして結局、誰もこの手には残らない。
大切に、しなかったから。
思い上がって甘え続けたから。
天帝様は奪ってしまわれたに違いない。

与えられたことが、いっそ不思議なくらいだったのだ。
思い上がれば奪われて当然の縁だったのだろう。

その背を守って共に逝くことは叶わず、
看取る事はおろか、葬送を見送ることすら出来なかった。
躯を収めた物言わぬ黒御影は、
彼が決別したと言い切ったはずの彼の師の洞のゆかりの土地に。
彼の一門に冷たい目で見られてしまえば、
肝心なところで意気地のない己は、
あの土地を、二度目を踏むことはとても思い切れない。

残されたこの花畑で、
立ち尽くしたまま風に吹かれるだけ。
面影を探して、朽ちかけた屋敷を彷徨うのみ。

「……木蓮様、泣いていらっしゃるのですか?」

視線を背後に向ければ、控えている銀色の鳥と目が合った。
己と同じ、青い瞳の白銀鳥。
普段は肩に乗るくらいの大きさだが、
今は人を乗せて運べるくらいの大きさに変化している。

気遣わしげな青の瞳に、何でもないと首を振ってみせた。
うまく笑えていたかどうかは分からない。

「麓へ降りましょうか。
ここで暮らすからには、邑の方々に挨拶差し上げた方がいいでしょう」
「はい、では――」

ついと背を向けるのは、騎乗しやすいように。

今、己の傍に居るのはこの優しい獣のみ。
本当の生みの親である、己の最初の師の様に
外側を包む冬の陽だまりのような朧げな優しさ。

本当は、冬の陽だまりでは、こんな優しさでは足りない。
春の麗らかな陽気では、足りない。

けれど。
望んでも得られるはずはないのだ。

あの手は疾うに、恨み纏う炎に焼かれてしまったのだから。

「翠玉邑へ」

深い嘆きだけを湛えた声は、山風にそっと攫われて行った。



   * *


嘆く彼は、知らない。
もう二度と己の身に、夏の陽射しが訪れることはないと思っていたから。

翠玉邑。

二度目の邂逅は、目の前。





**************************


久々に木蓮です。

すげー暗いです。
暗さのあまり、思わず「すげー」などと言っちゃうくらいです。

浸っちゃってます、木蓮。
いっそ鬱陶しく見えると思います、ふん(意味もなく胸を張ってみる)

でもまあ、これくらいの絆、あげてもいいかなぁと思うのです。

何だかんだ言って、木蓮って寂しいやつなので。
キャンペーン中はにっこり笑顔で慇懃無礼を実行してましたが、
結局PC様の誰とも、何も共有できなかった……と思うんですよね。
いや、私の力量が足りてないってことなんですけど。

辛うじて、メインNPCの玄秀くんと
微妙に打ち解けていたような気もしますが、
彼も嫁貰ってすごい親馬鹿になってそうだし。

半ば強迫観念の強がりで生きてたからなぁ、途中まで。
……木蓮もさぞ寂しかっただろうに。
その辺の独白も、文中でやりました。

そんなわけで、白王獅を思う木蓮でした。
このあと、すぐに、初弟子になる蒼天と出会うのです。



...

『翼、折れた日』…途中だし - 2004年12月06日(月)

浅いまどろみから意識が浮上した時、
隣に眠る男は安らかな寝息を立てていた。
熟睡からくるその深く安定した呼吸を十幾つ数えたところで、
彼女はゆっくりと身体を起こした。

シーツが肩から滑り落ち、夜気に触れた肌が寒さで震える。
無意識に引っ張りあげようと手を伸ばしたところで、
ふと思いとどまった。
代わりに寝台の上でそっと身体をずらし、
床に落ちているはずの己の衣服を探った。
くしゃくしゃになった布の塊から手触りで上着を判別すると、
衣擦れの音をさせないように注意を払って羽織った。
ふんわりとした薄絹の肌触りが、寒さを少し和らげる。

そうしてから彼女は、夜の静寂に溶け込むような小さなため息を零した。
振りだけのつもりだったはずなのに、
いつの間にか眠ってしまっていたらしい。

窓の方へと視線を向けて光の具合を確認した。
暗さから判断して、おそらくまだ夜明けには間があるだろう。
寝入ってしまわずに済んだのは僥倖だった。

物音を立てぬようにゆっくり首を回し、
女は隣の男の寝入り具合を探った。
男の呼吸は変わらず、緩やかに上下する胸が深い眠りを示している。
安心しきっているのだろう。
数ヶ月を共に暮らしたが、こんなに穏やかな寝息は初めて耳にした。

そう思い至れば、今更ながらに胸が痛んだ。



*********************

<完>





……嘘です(笑)

いや、終わらないですが、終わってます。
そこは本当。
要するに、続きを書く気はあんまりない、と。

現在某所で、人間と魔族の合いの子の生まれの女の子を
必死になって操ってるところなのですが、
その子の両親のワンエピソードです。

お母さんの方が魔族で、
そのお母さん視点ですね。

お母さんの性格が決まらないと続きは書けないだろうな、なのですが、
きりり系の凛々しい人にするか、
どこまでも情に流されちゃうか弱い儚い人にするか、選択肢ふたつ。

後の経緯からすれば、後者の方が可能性高そうだけど。

とりあえず、お母さんのことよりも
彼女本人の方が大変なので、そっちで手一杯です。
みょーな性格・過去設定にしちゃったので、
何かストーリーから飛んでる方向に空回りそうな予感(苦笑)

おや、と思い当たった何かがある方、
是非あなたのキャラを教えてください(笑)


台風の強風が、小春日を攫っていってしまいました。
め、めっちゃ寒い……。
震えながらキーボード打ってます。

す、すとーぶぷりーず。寒いよう……。


...

まったりまったり - 2004年12月03日(金)

そう言えば世間はクリスマスということで、
トップの背景を変えてみました。

何となく私自身にまだクリスマスの実感が無いので、
白い毛糸の素材で冬っぽい、程度に留めておきました。
もう少し近くなったら、クリスマス系に変える予定です。

いつも思うんですが、この素材やさんのセンスはいいな。
加工の仕方もそうですけれど、
他の素材やさんとは何か違うのですね。
優しくて柔らかで、それでいて使いやすい。
特に、私が主に使用している「ultra」サイズの素材には
物語が見える感じがするのがとても好き。

リンクページがなくなってから、
あちらのサイトへのリンクがなくなってしまっていたんですが、
トップページの何処かにまたリンク貼ろうっと。

そんなわけで、日記でもご紹介しておきます。

NOION


さて、今年はちゃんと年賀状書くぞー。


...



 

 

 

 

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past  will

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