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2002年07月21日(日) スターウォーズは中国王朝交替史観のパクり?

先週末、テレビで「スターウォーズ」第5話を見て、初めて気付いたこと。それは、
「スターウォースって、中国の王朝交替史をモデルにして、時代を置き換えただけなんじゃないか?」
ってことです。えっ、あれのどこが中国なの?と思うでしょうが、似ているのはあくまでパターン化された歴史の流れです。ここで中国の歴史のパターンをおさらいしましょう。大丈夫。年号を覚える必要も、人名を覚える必要もありません。
 みなさん、「三国志」は知っていますね。知らない人は横山光輝の漫画を読んでいただくか、KOEIのゲームでもやってみてください。三国志は「後漢」王朝の末期からはじまります。最初に出てくるのは、黄色い布を鉢巻にした「黄巾賊」でしたね。三国志を全く知らない人の為に念のため言っておくと、この「黄巾賊」、暴走族の一団体ではありません。第一、「ゾク」の字が違いますね。それでは山賊や盗賊みたいなものでしょうか?・・・確かに略奪や暴行を行なう一面がありましたが、それは単に彼等が飢えていたから仕方なく村々を襲った結果であって、あくまで一面に過ぎません。話が長くなりました。「三国志」を知っている方はとっくにお分かりでしょうが、「黄巾賊」とは実は新興宗教団体だったのです。しかしこの教団が、当時の世界でローマ帝国と並んで最大最強だった後漢帝国を、再起不能なまでにズタズタボロボロにしてしまうのですから、たかが新興宗教と馬鹿に出来たものではありません。
 で、三国志の話はここまでです、時代は一気に「元」の時代に移ります。政権末期、今度は黄色ではなく、赤い布を鉢巻にした「紅巾賊」が現れます。これは「白蓮教」(仏教系?)という新興宗教団体が起こした反乱です。さらに、「明」の時代を飛ばして「清」の時代には、ちょうどアヘン戦争の頃に「太平天国の乱」(キリスト教系の新興宗教)が起こって、清帝国の弱体化に一役買っています。

 余談ですが、現代の中国政府は、中国武術と宗教がワンセットになったような「法輪功」を名指しで「邪教」扱いしていますが、これは歴代の王朝のうちの、少なくとも3つまでもが、新興宗教に「惑わされた」人達による反乱で崩壊したことによる、過剰なアレルギー反応だと思います。法輪功の人達は本当に気の毒です。

 さて、スターウォーズはどうでしょうか?なにやら「フォース」という、超能力が出てきていますね。物体を空中に浮かべたり、念力で物を引き寄せたりと、なにやら怪しいですね。この「超能力」と、「神の奇跡」って、どこが違うんでしょうか?実態は同じではないでしょうか?
彼等「フォース」を使える超能力者が、「天命(大いなる神の意思)」によって、「天(大いなる神)」の支持を失った王朝(要するに銀河帝国)を滅ぼすというのがスターウォーズの大まかな流れなのではないかと思います。まあ、「スターウォーズ」の映画の中ではまだ公開されていない話がありますが、恐らくは、現行の「銀河帝国」に替わる新しい政権が打ち立てられて、話が完結するのだろうと想像されます。

 しかし、それにしても、「スターウォーズ」は、王朝交替史観どっぷりですね。王朝交替史観というのは、「まず、天命によって、新しい王朝が打ち立てられます。しかし、時間が経過するにつれ、建国の理念は忘れられていき、役人は不正をはたらくようになり、皇帝は国のことそっちのけで、酒池肉林に遊びまくる馬鹿殿か、残酷な暴君のどちらかになり、国は傾き、民は苦しみ、見るに見かねた「天」が、新たな王朝を打ち立てるようにという命を、特定の勢力(軍閥=国内に群雄割拠する軍事勢力。戦国大名のようなもの、それとも宗教団体、もしくは遊牧騎馬民族)に下し、その勢力が旧来の王朝を一掃して、新しい王朝を打ち立てる」ことの繰り返しで歴史は形成されていくのだという考え方です。その王朝交替史観によって描かれた歴史が「史記」を始めとする中国歴代王朝の「正史」です。「正史」は、旧来の王朝が滅んだ後に、新政権が執筆する為、当然、新政権の正当性を主張する意図で、「旧来の王朝(の特に末期)はこんなに悪いことをしたんだ。」と、これでもか、と貶めます。
 スターウォーズ第5話では、銀河帝国の総帥「ダースベーダー」が、反対の意見を言う者や、大事な作戦に失敗した将兵を殺している場面が何回も出てきました。ひとつの失敗の度にあんなことをやったら、そのうち人材そのものが枯渇してしまいますから実際には出来ないでしょう。旧政権の残虐さを際立たせるのによく使われる「正史」お得意の演出です。


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