蜜白玉のひとりごと
もくじかこみらい


2015年08月16日(日) 夏景色

去年も同じような写真を撮っているのだった。広がる田んぼ、風に揺れる稲穂、遠くの山、足元の草の陰にはアマガエル。何も変わっていない。誰かにとってはもううんざりするほど見飽きた景色でも、私にとっては一年に一度しか見られない景色だ。きれー。カメラを手に周囲を散歩する。昼間、ものすごく暑いのは東京と同じなのに、風が違うのか、気分が違うのか、おもしろいことに不快さはほとんどない。ずっと外にいれば、それはそれで熱中症だろうけど。

目を凝らしてアマガエルを探す。見えた!そっと手を伸ばすと、ぴょんと飛んでいく。行き先を手でふさぎながら、何度目かで困ったアマガエルが手に乗る。小さくて、ひんやりとつめたい。確かめたかったのはこの感触。数秒でまたぴょんとどこかへ行ってしまった。

お義母さんとおしゃべりをした。遠くに住んでいることもあって、ふだんはそんなに話す機会もない。用もないのにわざわざ電話をして話すような仲でもない。午後、夫はソファでごろんと昼寝をしていて、親戚の家の人は出かけていて、お義母さんと私だけ、ぼんやりとテレビを見ていた。

何の話をしたのだったか、膝が痛くて注射を打ちにいっている話やら、婦人会のバス旅行に行こうかどうしようか迷っている話やら。この辺まではよくわかって聞いていた。それが、ご近所の話になったらだんだんわからなくなってしまった。人物相関図が込み入っていて、頭の中にそれを描くのが追いつけないのだ。すごい。これを全部把握して生活しているのだ。当たり前か。まあでも、ご近所の話はわからないなりに楽しかったし、お義母さんが元気でよかった。

またしてもドタバタ短時間の滞在で、親戚の貴重な夏休みの一日を削ってしまっただけのような気もする。東京へ戻る満席のこだまでこの日撮った写真を眺めながら、これもすっかり私の夏の景色になったなと思った。


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