蜜白玉のひとりごと
もくじかこみらい


2014年12月14日(日) 冬の日に映える

秋の終りの、ある晴れた日のこと。誰の予想よりも早く、小さな女の子がやってきた。そっと腕に抱くと、温かさと確かな重みがあった。自然と涙と鼻水があふれ、あふれたところで私の両手は塞がっていて、不慣れ過ぎて片手に抱き直すこともできず、見兼ねた助産師さんが笑いながら涙を拭いて鼻水をぬぐってくれた。

これが私と姪の出会いだ。

仕事の帰り、これまでは母の家に寄るだけだったのが、母の家に寄った後に妹の家にも寄るようになった。頼まれた買い物を届けに行ったり、赤ちゃんの様子を見に行ったり、妹の話し相手になったりするために。2か所回って帰宅し、夕食の支度をしながら、我が家の時間を整える。驚きと喜びと疲れが綯い交ぜの、忙しない日々だ。できることなら体が3つほしい。

1ヶ月たってお宮参りへ出かけた。赤い着物が日差しに映えて、美しい冬の日だ。姪とのやりとりが書けるようになるまで、あとどれくらいだろう。


2014年12月06日(土) 扉の向こう側

アコースティックギターを始めることにした。音を奏でる生活が恋しくなったのだ。子どもの頃、ピアノとフルートを少し習っていたが、どちらも取り立ててうまくなることもなく、引っ越しを機にやめてしまった。高校では音楽を選択しなかったし、大学でも特に楽器に触れることはなかった。数年前、遊びでリコーダーを吹いたこともあったけれど、だいたいぴーひゃららと笛を吹いてもご近所迷惑にならない時間に家に居られることは少ないので、練習するといってもなかなか難しい。うるさくないようにこわごわ息を吹き込んだところできちんと音は出ないから、つまらない。フルートはレッスン中に2回ほど酸欠でバタンと床に倒れたことがあるから、大人になってから苦しいのはちょっと無理だ。苦しくなくて、ピアノみたいに場所を取らなくて、これから年をとってもずっと続けられそうな楽器、そう考えたらギターが浮かんだ。

ギターのことを考えていたらなんだか楽しくなってきて、そのままの勢いで「大人の音楽教室」の無料体験レッスンに申し込んだ。グループレッスンのはずが予約は私ひとりだけで、30分間つきっきりの個人レッスンになった。ギターを手にするのも初めての超初心者に、先生は面倒くさがらず、ひとつひとつ丁寧に教えてくれた。「あこがれのあの曲が弾けるようになりたい」とか「誰かみたいになりたい」とかじゃなくて、「息が苦しくないからギターを選んだ」という理由には先生もちょっと拍子抜けしたことだろう。右手も左手も頭の中も必死、あっという間の時間がとても楽しかった。

扉が開いた。これはやるしかない、やりたい。ギターを買いに行こう。なぜ今までギターの存在に気が付かなかったのだろう。今の今までギターに興味を持たなかったことが不思議でならない。


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