蜜白玉のひとりごと
もくじかこみらい


2013年01月31日(木) 今年読んだ本◇1冊目〜9冊目

今年読んだ本について、読んだらすぐにTwitterにメモするようにした。ときどきこうしてまとめて感想など。



◇1冊目:小川洋子(おがわ・ようこ)著『ことり』朝日新聞出版

相方からのクリスマスプレゼント。小鳥のさえずりにじっと耳を澄ます兄弟の話。文鳥、図書館司書など素通りさせてはくれないキーワードがちりばめられている。小川さんはこれを書くのに実際に文鳥を飼ったという。かつて文鳥を飼っていた私は、小鳥を飼うことにはひそやかな楽しみがあると断言できる。この小説にはそのことと、小鳥の繊細さとたくましさがよく表れていた。小鳥好きのため、とにかく前のめりに読んでしまった。今度読むときは落ち着いて読みたい。


◇2冊目:内澤旬子(うちざわ・じゅんこ)著『身体のいいなり』朝日新聞出版

吉祥寺の古本屋「百年」にて購入。万年不調だった身体が乳がんと診断されてからなぜか健やかになっていくというエッセイ。闘病記ではないと内澤さんが断っているように、乳がんになってからこれを読んだらムカつくかもしれないところだった。先に読んでおいてよかった。乳がん、子宮がん、とても他人事ではない。若くてもなるときはなる。そのときは、そういう自分の身体を受け入れて、引き続き生きられるところまで生きていこうと思えるようになりたい。


◇3冊目:石田千(いしだ・せん)著『店じまい』白水社

これも吉祥寺の古本屋「百年」にて。閉店したお店や記憶の中のお店について書いたエッセイ。お店の名前は出てこないけれど、近所だったらもしかしたらわかるかもと思わせる。石田さん独特のリズム感がすごくしっくりとはまる題材である。石田さんのエッセイはこれまでもたくさん読んだけれど、これが今はいちばん好きだろう。


◇4冊目:島本理生(しまもと・りお)著『真綿荘の住人たち』文春文庫

品川駅の駅ナカ「エキュート」の2階にある本屋さん「PAPER WALL」にて購入。文庫になったばかり。東京・江古田の真綿荘に住む人々の話。ひと癖ある人ばかりでアクの強い感じ。もう少し薄めた方が私の好みではある。何も起こらないくらいがちょうどいい。それでもひとつ屋根の下に住んでいればそりゃあいろいろあるわね。おもしろかった。


◇5冊目:中島京子(なかじま・きょうこ)著『小さいおうち』文春文庫

これも品川駅の「PAPER WALL」にて。直木賞受賞作。中島さんはデビュー作『FUTON』を読んで以来、間違いなく尊敬する作家のひとりである。新作が出ればまず読もうとするのだけれど、すっと話に入れないことがときどきある。この『小さいおうち』も直木賞受賞後に読まなければ!と思い図書館で借りたけれど、何でだろうか読めなかった。図書館で借りたのがまずかったか。このたび文庫になったので即購入。すばらしい!読めてよかった。山田洋二監督で映画化の予定。キャストは未発表のため、先日ワインを飲みながら勝手に予測してみた。タキの若い頃、年をとってから、奥様、旦那様の4人。当たったらすごいな。配給の松竹によれば、2013年3月1日にクランクインし、5月31日の撮了を予定しているそう。公開予定は2014年1月。ずいぶん先だけれど、楽しみに待っていよう。


◇6冊目:井上荒野(いのうえ・あれの)著『静子の日常』中公文庫

ツイッターにも少し書いたけれど、どうやら私はおばあさんが主人公のお話が好きらしいということに気がついた。『小さいおうち』も女中のタキがおばあさんになってから昭和初期を回想するお話だったし、この『静子の日常』も静子おばあちゃんの痛快な日々を綴っている。ずっと前に図書館で借りて読んで気に入った。スポーツクラブのあれこれ注意を促すくどい張り紙に、「ばか?」という付箋をつけるところが特に好き。あるとき本屋さんで見かけて文庫で買っておいたもの。今更ながら文庫解説が中島京子さんだったことに気づいて驚く。普段ひとりで完結している読書生活において、こういう偶然のつながりみたいなものが本当にうれしい。読み終えて母に貸したら、母もぐんぐん読めておもしろかったとのこと。


◇7冊目:中島京子(なかじま・きょうこ)著『ココ・マッカリーナの机』集英社文庫

たしか、吉祥寺の古本屋「百年」にて購入。単行本のときは『だいじなことはみんなアメリカの小学校に教わった』というタイトルで、中野区の図書館で借りて読んだ。中島さんが雑誌編集者を辞めて心機一転、日本文化を紹介する教育実習生としてアメリカへ行ったときのお話。悩める女子へ、いや男子もか。小説は聡明で実直な文章と思うけれど、いやいやそれだけじゃない、フッと肩の力が抜けたユーモアやしなやかさを感じて心地よいのは、そうかこういうことか、と中島さんの人柄が垣間見られるエッセイ。


◇8冊目:伊達雅彦(だて・まさひこ)著『傷だらけの店長』PARCO出版

なんとなく目について杉並区の図書館で借りた。伊達雅彦はペンネームだそうだ。本屋さんの店長が本が好きなために苦しんで苦しんで苦しみぬくお話。最後まで救いがなかった感じ。誰だとかどこの本屋だとか調べればたぶん出てくるのだろうけれどあえて調べず。わかったところでどうだという。本屋さん、古本屋さん、図書館さん、いつもお世話になっております。皆様の努力で今日も本が読めます。ありがとう。私も微力ながらがんばっています。


◇9冊目:大野八生(おおの・やよい)絵と文『夏のクリスマスローズ』アートン

「百年」にて購入。生活系の本がたくさん入ったというお店のツイートを見ていそいそと偵察に行く。テーブルの上に何冊も積み上げられているのを1冊1冊よけながら見ていく。「クリスマスローズ」の文字と淡い色の線画に手が止まる。ふーん。ぱらぱらめくる。取り上げられている草花や、植物への目線がどこかの誰かさんにとてもよく似ている。大野さんは植物好きだったおじいさんの影響で造園家になった。一方で、大学は美大で彫刻を学んでいて、彫刻のためのドローイングからイラストを描くようになった。おもしろい。植物(庭)と絵。好きな物事の先にふたつの仕事があった幸せな例だろう。クリスマスローズ、スミレ、スイセン、彼岸花。名もない(本当は名はあるけれど知らない)足元の草花、なんでも拾ってきてしまうところ。どこかの誰かさんとは亡くなった父のことだ。



(2013年2月20日記す)


2013年01月02日(水) 年始のご挨拶と今年の目標

あけましておめでとうございます。本年もよろしくおねがいします。

暮れは27日に仕事納め、翌日は一日かけて自宅の大掃除をし、29日から実家行脚。自分の実家→相方の実家→自分の実家と5泊かけて行ったり来たりしている。今回はいつになく長い。もう東京の自宅が恋しくてならない。もともと外出や旅行があまり得意な方ではないので、実家と言えども私が結婚してから建てた家なので、住んだことのない家はいまだにどこか落ち着かない。

29日夜から食べ始めたごちそうの数々にすっかり食べ疲れてしまい、胃腸だけでなく今回は顎も疲労気味。食べ過ぎて顎が痛くなったのは初めてだ。のどが渇くのでお茶ばかり飲んでいる。お酒はあまり飲んでいない。

明けて2日目はものすごい強風で、箱根駅伝の選手たちの行方が気になる。実家の窓から見える海には白波が立ち、大きくうねり、その向こうの三浦半島は白く煙って見えない。ときおり家を揺らすようなゴーゴーという強い西風の中でテレビ中継を見ていると、だんだんこちらまで息苦しくなってくる。12時からはラグビー中継も気にしながら1と4をちょこちょこ切り替える。母校はこの頃調子が悪い。駅伝もラグビーもどっちもがんばれ!

年末から風邪、インフルエンザ、ノロウイルスが大流行で、ごく身近に迫る勢いにおののく。まだまだ厳しい寒さが続くので、引き続き注意を怠らないようにしたい。みなさまもどうぞお気をつけて。

最後に今年の目標を少し。

大目標
「明るく 楽しく 健やかに」
→文字通り。たとえ形から入ったとしても、状況や中身は自然とあとからついてくるはず。明るくいられるように。楽しいことをさがせるように。健やかさを保てるように。

中目標
「引き出しひとつひとつを大切にする」
→一度に全部はできないけれど、引き出しがたくさんあるのは楽しいし、それに助けられることもある。できるときにできることを心をこめて。

小目標
「物を捨てて身軽になろう」
→物はときに人間より長生き。お礼を言ってさようなら。物にとらわれずに暮らす下準備をしたい。


明日は母を連れて東京に帰る。母は5日まで我が家にお泊り。


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