Deckard's Movie Diary
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2001年05月29日(火)  JSA メトロポリス

 本日からまた一泊で名古屋!いつものパターンで、まずは地元韓国で『シュリ』を越えた!とかいう噂の『JSA』。『JSA』とは朝鮮半島の38度線にある「共同警備区域」のことで、そこで起きた事件の真相解明がテーマになっています。『シュリ』は、あまりにご都合主義なストーリーが、いまいち馴染めなかったのですがこれはイイです。真に迫っています。そういう風に感じました。とても共感出来るストーリーですし、脚本もよく練られています。ただ主人公の最後の行動はリアルなのかもしれませんが、映画としては希望が欲しかったです。辛い気持ちのまま映画が終わってしまって、ちょっと複雑でした。個人的には救いが欲しかったなぁ。

 続いて原作・手塚治虫、監督・りんたろう、脚本・大友克洋の『メトロポリス』。6年の歳月をかけたアニメ大作です。とにかくデザインが素晴らしい!全てのカットは完璧に美しく、その緻密さはため息が出るほどです。それだけでも「見る価値はある!」と言えるのですが、なんせお話しが・・・・トホホなんですよ。もう情けないくらいお粗末!意識的に原作に忠実であろうとしたのかもしれませんが、おざなりに感じてしまいます。どっかで見たことあるようなラストも手垢がついてるし、うっとりするよな影像だけで満足させる時代はとうに終わってるでしょう。ニューオ−リンズJAZZの音楽も、どうなんでしょうか・・・。


2001年05月25日(金)  アメリカン・サイコ

 心待ちにしていた『アメリカン・サイコ』をやっと見ました。NYの超エリート・トレーダーのパトリック(クリスチャン・ベール)が精神的ストレスから殺人を繰り返してしまう。というストーリーです。パトリックは異常なまでに神経質で、切れやすく、信じるモノは何もなく、自分以外は一切認めないという病的ナルシスト。演出も非常に分かりやすく、っつーか、あまりにステレオタイプに描くので、なんだか随分薄っぺらいなぁ・・・と思っていたら。なるほど、そういうことだったのね!という方向へ話が帰結しました。途中から随分雑なカンジで進んでいたから、ひょっとして・・・とは思ったのですが。でも、こういう終わり方が嫌いな人もいるでしょうねぇ。オレは、終わり方どうのこうのではなく、この映画はちょっと好きです。見終わってから、あのシーンは、あそこのシーンはと、監督の演出が細かく見えてくるので、そういう事を考えるのが楽しいんです。 ̄― ̄)ノ じゃ!もう行かないと!どこに行くのか?って、もちろん、ビデオを返しに行くんです。←(謎)


2001年05月22日(火)  幼なじみ 彼女を見ればわかること

 再び本日から名古屋出張です。その前に『幼なじみ』を鑑賞。フランスの黒人差別映画(その手の差別も重要な要素にはなっているが・・・)!と思っていたら、ちょっと違っていました。幼なじみの黒人の男の子と白人の女の子が18才と16才で結婚し子供が出来る話です。最初、語り口が朴訥で、退屈しそうな雰囲気が漂っていましたが、時間が進むにつれてだんだん引き込まれてしまいました。一般的ではない結婚を選択してしまった若い二人、驚きながらも応援する周囲の人たち。二人と二人を取り巻く健気な心模様が、なんとも美しい作品でした。音楽も極力控えめで、とても真摯な姿勢が感じられる秀作です!ただ、ちょっと散文的かなぁ・・・地味だし。そのまま急いで渋谷へ!

 『彼女を見ればわかること』。カンヌ映画祭[ある視点]部門グランプリ!サンダンス・NHK国際影像作家賞!ノーベル文学賞ガルシア・マルケスの息子、ロドリコ・マルケス初監督作!グレン・クローズ、ホリー・ハンター、キャシー・ベイカー、キャメロン・ディアス、キャリスタ・フロックハート出演!もう、肩書きだらけの映画で「!」←これがいくつあっても足りませぬ。全5話からなるオムニバス映画、全てそれなりの年輪を重ねた独身女性が主人公で、彼女達の心の奥底を描いています。でも、なんだかこの手の映画って見飽きたナァ。まぁ、しいて言えば、心の扉を開けるエピソードがちょっと新しいかなぁ。でも、淋しいんだったらもっと素直に生きればいいのに・・・、それが出来れば苦労はしない!って?フ〜ン・・・そういうモンなんだ。よくワカンナ〜イ。オレ、男子だし。単館ロードショーで、もちろん満員!あ、また「!」←これだ!


2001年05月21日(月)  クイルズ 15ミニッツ

 『クイルズ』。マルキ・ド・サド公爵の逸話を元にした映画。監督は『ライト・スタッフ』『存在の耐えられない軽さ』などのフィリップ・カウフマン。サド公爵役は「シャイン」のジェフリー・ラッシュ。サド公爵は、言わずと知れた「性的サディズム」という性障害の名前の元になった人物です。まぁ、今や巷では「SM」と呼ばれ、性的プレイの一種として広く知れ渡った行為の生みの親とも言えるでしょう。しかし、物語はそんな妖しく楽しいものではなく、18世紀フランスのナポレオン政権に追放・弾圧されながらも、「書き続ける!」というサド公爵の執念を「表現の自由」と「芸術が生む罪」という永遠のテーマを含みつつ描いています。かなり出来のいい作品ですが、サド公爵の執念の描き方がキレイ過ぎるカンジでした。もう少しドキっとするシーンが欲しかったです。ただポッチャリ洗濯娘のケイト・ウィンスレットやおぼこ娘のアメリア・ウォーナーはフフフッと感じさせるキャスティングでした。

 お次は、デ・ニーロが途中で殺されてしまう事で何かと話題の『15ミニッツ』。始まって暫くは、いつものハリウッド刑事映画となんら変わりもない雰囲気がスクリーンに映し出されていました。ところがデニーロがマジで殺されてしまうと、なぜかちょっと悲しくなってしまい、「ふ〜ん、なんか変な気分だ・・・ま、デニーロも死んだし、後は犯人が捕まって終わりかな・・・」なんて思っていたら、そこからまだまだ見せ場があって、もうホント力作!このジョン・ハーツフェルドという監督は、社会派のジョン・マクティアナン(代表作/ダイ・ハード)のような作風で、新味はないですが、十分楽しめる映画になっています。繊細さの中に男気を見せるエドワード・バーンズもかなり魅力的!


2001年05月18日(金)  東京マリーゴールド

 小指を立てた男性が『私はコレで辞めました!』という禁煙パイポのCMで一躍有名になった遅咲きの市川準監督。『東京マリーゴールド』は林真理子原作の映画化です。CM出身の監督らしく、影像は望遠レンズを多用し、見慣れた東京の風景も計算された美しさで包まれています。しかしこの映画に関して言えば、CM出身監督の弱点も露呈しています。情緒に流れすぎていて、田中麗奈扮するヒロインの心情が曖昧なんです。確かに田中麗奈は最近の女優の中では素晴らしい資質を持っていますが、そんな彼女の豊かな表情と存在感だけに頼るのはどうでしょうか。なぜ彼に「1年間限りの提案」をしたのか分かりません!「なにか変化が欲しかった」という気分だけでは、あまりに短絡的で、最終的なヒロインの心情に思い入れ出来ませんでした。市川準が自ら演出したSSKの企業CMが、重要な要素で使われていたのにはちょっとビックリ!また、この映画は「味の素・ほんだし」のタイアップ企画ですので、CMと同じ家で生活し、お味噌汁を飲んでいます。悪しからず!


2001年05月16日(水)  ふたりの人魚

 『ふたりの人魚』。これは傑作です。よく練られた脚本も素晴らしい!それを一級品の恋愛映画として昇華させた演出力も素晴らしい!メイメイとムーダンの二役を演じるヒロイン、ジョウ・シュンも素晴らしい!音の使い方も素晴らしい!手持ちカメラのドキュメンタリー手法は珍しくないけれど、その影像にビデオ撮影を生業としている一人称のナレーションをのせて、自分と女の話かと思っていると、いつのまにか別の男と女の話になっていて、そして・・・。かなり巧妙な仕掛けなんです。監督のロウ・イエは中国インディーズ出身で、北京電影学院の卒業制作を含めると本作が2作目になります。卒業制作の『デッドエンド/最後の恋人』も見たくなりました。日本でもこれくらいの映画を作って欲しいなぁ・・・。


2001年05月15日(火)  ガールファイト センター・ステージ

 6月初旬までかかるはずだった仕事がスッとんだせいで時間がタップリ!『ガール・ファイト』はサンダンス映画祭グランプリ受賞作。まずこの映画が単館公開じゃなかったことでビックリ!なんでだろう?不思議だ・・・。そんなワケで?公開3日目ながらガラガラでした。ストーリーは、何をやってもツマラナイ女の子がボクシングに目覚め、やがて独り立ちしていくハナシです。わりと期待してたんですけど意外とアタリマエの展開で、ふ〜ん!確かに、主演のミッシェル・ロドリゲスはちょっとヨカッタけどね!予告編を見る限りもっとコワイ感じかなぁ・・・と思ってたので。

 『センター・ステージ』はニューヨークのバレエ学校が舞台の青春映画。過去のダンス映画と大差の無いシナリオのうえ、凡庸とした演出と演技。途中で飽きてしまいますヨ。バレエ学校が舞台ですから、当然バレエが上手くないとキャストは務まりません。その点だけが合格かなぁ。ま、小生はバレエに関しては全くの素人なモンですから、ホントのところは判りませんがネ!


2001年05月14日(月)  ベティ・サイズモア ハリー、見知らぬ友人

 全米で大ヒットしたという『ベティ・サイズモア』。この映画のおかげで主演のレニー・ゼルウィガーは一躍全米の人気者に!次回作『ブリジット・ジョーンズの日記』も大ヒットしたらしいです。ちなみにカンヌ映画祭最優秀脚本賞、ゴールデングローブ賞主演女優賞(コメディ&ミュージカル)受賞!主人公のベティは強いショックを受けたことによって現実の世界から憧れの世界へ逃避してしまう訳なのですが、精神医学的には「フューグ」というらしいです。ベティの逃避先がお気に入りのTVドラマの世界だったことから、勘違いが勘違いを呼び・・・みたいなストーリーです。確かに面白いハナシなんですが、まとまりに欠ける印象でした。モーガン・フリーマンが演じるキャラに説得力がないからかもしれません。レニー・セルウィガーは親しみやすいキャラで、とても魅力的です。今後が楽しみな女優になりました。音楽も懐かしい感じでヨカッタです。

 お次は、これまたフランスで大ヒットしたという『ハリー、見知らぬ友人』。見終わって、隣に座っていた独断推定年齢60歳以上のご婦人方3人の見終わって一言は「どこがヒッチコックなのよー!だからフランス映画って信用出来ないのよねぇ」でした。「ヒッチコックからキューブリックまで・・・偉大なる巨匠の映画的記憶が刻印」←こんな謳い文句が並んだりしているのですが、どーだかねぇ!ただのキチガイ野郎じゃん!今まで捕まってないのがオカシイんじゃないの!こんなツッコミをしたくなるようなボケた映画でした。こういう映画が好きな人も、たくさんいるとは思いますが・・・!


2001年05月11日(金)  クレヨンしんちゃん/嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲 山の郵便配達

 なぜかシネマ・チャットで話題になっている『クレヨンしんちゃん/嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』。おー!なるほど、なるほど。これは面白い!特に70年代青春の大人達はかなり楽しめます。いきなり、♪スプーンとカップをバッグに詰めて〜 (ケンとメリーのスカイラインCMソング)「愛と風のように」 by BUZZ が流れてきた時には、もうビックリ!ストーリーは、とある同棲カップルの陰謀で70年代の郷愁に浸らされていた大人達が未来を拒否し、子供帰りをするのを、しんちゃん達が「目覚ませー!」と助けるという話なんです。で、画面には万博から始まり、当時流行ったヒーロードラマやギャグ等ばかりが登場。まぁ、懐かしんでいるだけならいいけど、過去に引きこもっちゃうとね!最後のしんちゃんの言葉は感動的すらありました。いや、マジで!一見の価値アリ。

 次は久しぶりに訪れた岩波ホール。映画は『山の郵便配達』。昔、小学校の優秀映画鑑賞会で上映された映画みたいでした。中国アカデミー賞の最優秀作品賞受賞。中国南方の山岳地帯、3日間かけて手紙を届ける郵便配達人。老いた父からその仕事を受け継ぐ為に息子は父と一緒に配達に。父、息子、母、妻、去る者、受け継ぐ者、それぞれの想いが交錯するストーリーは、ちょっとベタなところもありますが、素朴に泣かせてくれます。緑豊かな自然も美しく、心が洗われる作品でした。でも小学生だったら、この良さがわかんないだろうナ。それにしても岩波ホールは、相変わらず年齢層が高いなぁ・・・でも満員!恐るべし!


2001年05月09日(水)  ミリオン・ダラー・ホテル

 朝の6時起床して名古屋へ。夕方帰京。そのまま『ミリオンダラー・ホテル』へチェックイン!ヴィム・ベンダースの新作です。暗い映画でした。う〜ん、もうたまらなく暗い!この映画はU2のBONOが制作や原案に名前を連ねています。場末のホテルに集まっているドロップアウトしたちょっとだけオカシな人々。過去のトラウマから人との関わりあいを避けているエロイーズ、そして彼女を好きになったことで自我を持つ事を知った弱度の知的障害者トムトム。純粋すぎる愛が生む悲劇。だけんども、暗すぎ!なんでこんな暗い雰囲気にするのかナァ・・・。なんでメル・ギブソンが出ているのかも、ヨクわからんし・・・。ちょっとイイとこもあるんだけどなぁ・・・。「I am the walrus」のくだりとか、エロイーズとトムトムのカラミとかケッコウ好きなんだけど・・・。


2001年05月08日(火)  トラフィック

 アカデミー賞4部門受賞の『トラフィック』を観ました。かなり、読解力が試される映画でした。登場人物の多さと展開が複雑に絡み合って、ちょっと気を抜くとストーリーが分からなくなってしまいます。監督は『エリン・ブロコビッチ』とのダブル・ノミネートというマイケル・カーティス以来の快挙を成し遂げたスティーヴン・ソダバーグ。ハーフトーンを無視した粒子の荒れた画面からスタートしたこの映画は、2時間半のほとんどが手持ちカメラで、ライティングも極力控えめにして、全編ニュース影像のようなトーンで構成されています。ともすればB級になりがちな手法を見事に昇華して、一級品の娯楽大作にした監督の演出力は大したものです。まるでドキュメンタリーを見ているように、リアルな空気で溢れています。・・・で、ただそれだけです。もちろん「ただそれだけ」といっても見る価値のある傑作です。良く出来ているけど、ただそれだけの映画。


2001年05月03日(木)  アグネスタキオン屈腱炎!

 「アグネスタキオン、屈腱炎で全治6ヶ月以上!」。夕方に飛び込んできたニュースでした。周囲の期待通りに皐月賞を勝ち。調教師自ら「3冠馬になる馬がこんなところで負けてられない!」と豪語し、武豊に「今年のダービーはハンデ戦にしてくれないと勝負にならない!」と言わしめたアグネスタキオンが故障してしまいました。無事是名馬になれず。でも、生きていればキミの遺伝子を受け継ぐ子供達が3冠馬になってくれるかもしれないから!また元気な姿を見せて下さい。


2001年05月01日(火)  ショコラ シーズン・チケット セシルB・シネマ・ウォーズ

 久しぶりの映画館です。まず『ショコラ』。ジュリエット・ビノシュ主演。昨年『サイダー・ハウス・ルール』で泣かせてくれたラッセ・ハルストレム監督の新作です。お堅い田舎町にやってきた母娘が、チョコレートの店を開き、町の人々の心を暖かくするという話。よくある寓話です。でも、よくあるからって、つまらないワケじゃないんだな、これが!ちょっと甘いけど見て損はありません。アルフレッド・モリーナ演じる、お堅〜いレノ伯爵が子供のような表情になるところがとっても可愛いですぞ!それにしても素晴らしいキャスティング。なぜ?って、だって皆メチャメチャはまっていますよ。なんか学芸会とかで、クラス全員がやりたい役をやっているカンジです。ピーター・ストーメア演じるセルジュはちょっと可哀想だったかな。

 続いて『ブラス』『リトル・ヴォイス』のマーク・ハーマン監督『シーズン・チケット』。例によってイギリスの低所得者層を題材にした内容です。今回は少年二人が主人公です。ご贔屓サッカーチームのシーズン・チケットをGETする為に奔走するが、様々なことが身の回りに起きて・・・。とにかく主演の二人が素晴らしい存在感で光っています。本物のアラン・シアラーが霞んでいました。夢が持てないイギリスの少年達、せこくて明るい不良っぷりは微笑ましくもありますが、哀しくもあります。映画はエピソードが多すぎてちょっと散漫な印象ですが、個人的には好きな1本です。ちなみに原題は「Purely Belter」。お気に入りのチームが勝ったら叫ぶ言葉だそうで、意味は「信じられないほどの輝き!」。

 最後に『セシルB・シネマ・ウォーズ』。『ピンク・フラミンゴ』の鬼才?ジョン・ウォーターズ監督作。間違いなくお馬鹿で、アホな映画。狂信的な映画製作集団がハリウッド女優を誘拐して、くそリアリズムの映画を作るという真にアホくさいストーリー。初めてチラシを見たときから期待してたんだけど、確かにけっこう面白かったけど、もう少し精神的なアホくささが好みだなぁ・・・。ドタバタになりすぎ!って感じ?


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