Deckard's Movie Diary
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2001年04月30日(月)  私の太陽

 録画しておいたCXのドキュメンタリー『私の太陽』を見ました。張麗玲さんの中国留学生シリーズの3作目です。1作目が小学生、2作目が日本の大学を目指す女子高生と、社会人の男性。で、今回は家族で来日してすでに10年が経っている家族の話です。夫は46才。日本で経済博士の学位を取る為に千葉大学に留学していて、家事全般をこなしています。妻は一家の家計を支える為に皿洗いのバイトをしていて、娘は中学生。3人で1DKに住み、必死に支え合って生きてきたのに、10年かけて貯めた400万円をKKC事件で全て失ってしまいます。将来中国で学校を作る資金にしようと投資した結果でした。それが原因で夫婦仲がギクシャクして、夫が3畳一間のアパートへ。別居です。夫は週2回のバイトで月6万。家賃が2万。毎日ほとんど1食だけで、パンかカップラーメンの日々。「今日は御馳走です。」と言って145円の鰯の缶詰を食べる。妻はKKC事件のショックから立ち直れずげっそりと痩せてしまって、事情を知っている健気な娘はクリスマスプレゼントに、シャープペンと消しゴムだけをねだる。それでも3年をかけた学位論文がどうにか完成。最終面接に向けて娘に日本語の発音をチェックしてもらい・・・・。でも結果は不合格!傷心の父に「夢を追いかけて頑張っている人を神様は見捨てない!という中国の古い諺は父の為にある」と励ます娘。再び一緒になった家族。それから2年後。夢は叶い、千葉大学初の経済博士の学位を取得。いやぁ、すごい!日本での生活で15本もの歯が抜けたそうで、のほほんと生きてきた小生には、そんな生活は想像もつきません。人の力とか、家族の絆とか、夢への思いとか、見せつけられたドキュメンタリーでした。今は中国に帰って大学の助教授になれたそうです。これから日本で勉強した事をたくさんの人達に教えて下さい。そしてたまには美味しいものも食べて下さい。・・・・初めての論文が完成した夜、デイリー・ヤマザキのコピー機で一家3人が何百枚もある論文をコピーしていました。娘がコピーをし、妻がまとめ、夫が最後のチェックをしていました。黙々と嬉しそうな3人の姿が忘れられません。お幸せに!


2001年04月25日(水)  タイタンズを忘れない ザ・ダイバー オー・ブラザー プルーフ・オブ・ライフ ビューティフル

 この日は帰りの飛行機の中で映画三昧!まず『タイタンズを忘れない』。ハリウッドお得意の黒人差別モノ。とある南部の高校が黒人を受け入れるコトになって、アメフト部が白人&黒人の混成チームになったことから起きる感動モノです。これは実話だそうで、逆に言えば実話じゃなかったら、あまりに平凡なストーリー展開ってコトになるでしょう。デンゼル・ワシントンもお得意の役柄で登場です。

 続いても黒人差別モノ、でもってコレも実話だそうで『ザ・ダイバー』。軍隊でダイバーを目指す黒人青年の話。海軍では黒人のダイバーは初めてのコトだそうで、とんでもなく苦労します。デニーロが出ています。シャーリーズ・セロンが出ています。以上。どちらの話も白人以上に頑張らなければ認められない黒人達!というステレオタイプで・・・まぁ、しょうがないけど・・・お暇ならどうぞ。

 次はコーエン兄弟の新作『オー・ブラザー』。この映画でジョージ・クルーニーが、ゴールデンOローブ賞のコメディ部門の主演男優賞を獲ったとか。へー、そうなの。ふ〜ん、なんだかよくわからなかったなぁ・・・どこが面白いのか・・・。

 そして最後はザッピング(邪道!)しながら公開中のメグ&ラッセルの『プルーフ・オブ・ライフ』とサリー・フィールド監督、ミニー・ドライバー主演の『ビューティフル』。どちらの映画もザッピングしながらで調度良かったみたい!あ〜あ、疲れた・・・。


2001年04月17日(火)  スターリング・グラード 天使がくれた時間

 今夜から仕事で豪州へ!滑り込みで『スターリン・グラード』へ。もう、ジュード・ロウがとにかくカッコイイ!ラストの表情なんてシビれるなぁ・・・。『セブン・イヤーズ・イン・チベット』や『薔薇の名前』のジャン・ジャック・アノー監督作なんですが、今までで一番ヨカッタ!人間の描き方がフランス人らしく、アメリカ映画と違って生生(なまなま)しています。戦争という明日をも知れない状況の中で『必死に生きようとしているタイプ』VS『ゲームのように楽しんでしまっているタイプ』という見方も出来ます。それはやはり、より人間らしい方が・・・。レイチェル・ワイズも素晴らしかったけど、なんと言っても敵役のエド・ハリスが最高でした。『プライベート・ライアン』も、この映画も傑作ですが、この夏公開の『パール・ハーバー』は、どうなんでしょうねぇ・・・。あ!そうそう、この邦題ってちょっとズれていると思うんですけど・・・・ちなみに主人公の狙撃兵ヴァシリ・ザイツェフは実在の人物で、ソビエトの英雄だそうです。

上記で終わるはずだった17日の日記なのですが、飛行機の中で『天使がくれた時間』を観てしまいました。ニューヨークでばりばりのエグゼクティブとして成功し、何不自由なくエンジョイしている独身のプレイボーイ、ジャック。ある日突然、13年前に空港で別れた女性と一緒に暮らしている世界に放り出されて・・・・。そこでジャックは、冴えない田舎町に住み、タイヤの小売業をしていて、ローンで買った一戸立てに、騒がしい子供が二人。唯一自慢出来るのは、人も羨む夫婦仲というコトだけ!結論から言ってしまえば愛する人と平凡な生活を送るのが、一番の幸せ!」又は「本当に信じられる人、信じてくれる人がいることが最高の幸せ!」みたいなストーリーです。ベタベタな話!その上どっちのシチュエーションも日本人からみれば羨ましい限りだし、穿った見方をすれば、金持ちの戯言じゃん!みたいな言い方も出来ます。それでも見終わった後、これからはもう少し家族にやさしくしようと思いました。とりあえず、一杯のコーヒーを一緒に飲む事から始めましょう・・・。


2001年04月16日(月)  グリーン・フィンガーズ

 『グリーン・フィンガーズ』は、ちょっと変わったストーリー。殺人罪などで服役中の囚人達がガーデニングで更生していく話です。実話をもとに脚色された映画で、これがけっこう面白いんです。囚人達をはじめ、所長も、看守も、皆とてもいい味をだしています。特にガーデンニングのエキスパートとして登場するヘレン・ミレン演じるジョージナは、いかにも実在しそうな人物で微笑ましいし、その娘のナターシャの性格もまた魅力的です。とどのつまり皆、実に下世話な人間なんですよ。だからキャラクターとして説得力もあるし、もっと見たくなるし、また会いたくなってしまう。イギリス映画というのは、ホントにこういう傑作小品を作るのがうまいなぁ・・・・。題名の「グリーン・フィンガーズ」とは「天才庭師」ことだそうです。


2001年04月13日(金)  ハイ・フィデリティ

 『ハイ・フィデリティ』。なんだか学生時代に通っていた中古レコード屋を思い出しました。ジョン・キューザック扮するレコード店オーナーの恋物語。原作はイギリスでベストセラーになったそうで、かなりの音楽通にしかわからないハイブロウなギャグが散りばめられています。店員に扮するジャック・ブラック&トッド・ルイーゾの二人が対照的な音楽マニアを好演していて、「ああいう奴、いたよなぁ・・・」なんて懐かしい気分にも浸るコトが出来ました。そんな内容ですから、私は好きですが・・・一般的な映画評としては、どうなんでしょうか?あんまり面白くないかも・・・だって、フツーで平凡なハナシの連続で、特に魅力的な演出もアイデアもありません。だいたい、けっこう恵まれてるんじゃない!主人公のロブ君は!それに舞台設定をイギリスからシカゴに持ってきてるのもどうなのかなぁ・・・。UK舞台の方がハマッたかも?おヒマなら!ってカンジかなぁ・・・。


2001年04月10日(火)  ハンニバル

 観ましたよ!『ハンニバル』。けっこう面白かったなぁ・・・ヒット作の続編にしちゃぁ、かなりレベル高いでしょ!さすがにリドリー・スコットです。始まってからズーッと映画らしい緊張感が持続していて魅せられます。相変わらずの凝ったライティングとコダワリの映像。ジョディ・フォスターから代わったジュリアン・ムーアもかなり身体を絞ってきたみたいで、今までのイメージ(女性らしい)から脱皮していました。難を言えば、もう少しジュリアン扮するクラリスが、レクター博士に惹かれていく部分が出てればナァ・・・と。でも、良かったです!


2001年04月06日(金)  連弾 日本の黒い霧・冤罪

 『連弾』 竹中直人の新作です。面白かったなぁ・・・。これは『無能の人』以来の傑作でしょ。天海祐希も今までで一番、水を得た魚のように素晴らしい出来です。そしてなんといっても主要登場人物全員が鼻歌を歌ってるんですけど、これが中々イイ味出してます。思わずCD付きのパンフを買ってしまいました。セリフも生きているし音楽もイイし、キャスティングもイイ!とにかくウマイ!一つだけ言わせて貰えるならば、ラストはもうちょっと泣かせたり、劇的であったりしても良かったかなぁ・・・・と。まぁ、好みの問題ですけどネ。男と女の色んなすれ違いを上手〜く描いています。

 この日も、もう一本『日本の黒い霧・冤罪』。あの松本サリン事件を扱った社会派映画です。ちょっと散漫だなぁ・・・。もっと実録っぽい方が良かったんじゃないでしょうか・・・。なんか間違えない人が出てくるより、みんな間違っていた方が映画としては説得力あったような気がしてならないんですけど・・・・。学芸会っぽいノリも時代錯誤なカンジが・・・。


2001年04月02日(月)  ツバル アカシアの道

 『ツバル』を見に行きました。この映画はちょっと変わっていて、昔のサイレント映画のようです。もちろん字幕もありません。全体を覆う湿った空気感や単色にころばせた画面設計など、製作者サイドの意気込みも伺えます。ただ、そういう設定ですから難解なストーリー展開は無理としても、もう少し話をふくらませた方が良かったんじゃないでしょうか。今時の雰囲気を持ったサイレント映画という範疇から抜け出てないんです。言い換えれば昔のサイレント映画の中に入ったら、どうってことありません。ちょっとキュートな雰囲気もあるだけに、もうちょっと笑わせて欲しかったし、泣かせて欲しかったです。でも、ゴラン・ブレコヴィッチのエンディングテーマは良かったなぁ・・・。

 『アカシアの道』は『バタアシ金魚』でデビューした松岡錠司監督作品。幼い頃から絶対的な存在の母親の下で、いつも怯えて暮らしていた娘。高校卒業を境に逃げるように疎遠になっていったが、アルツハイマー病を発症した母親を介護することになって・・・・。というのがストーリーです。かなり踏み込んだテーマなんですが、よく出来た単発TVドラマってカンジなんですねぇ。TVドラマというのはCMが入ったり、明るかったりで、TV特有のリズムがあります。映画は閉ざされた空間で、集中して見ているわけです。集中しているからスクリーンと観客に、ある緊張感が生まれ、それがより深い感動を与えたりするものなのです。この映画はその緊張感が持続しません。全体に散漫なんです。もっとドロドロしてると思うのですが・・・。娘役の夏川結衣も母親役の渡辺美佐子も好演しているだけに、惜しまれます。話変わりますが最近の夏川結衣っていいですねぇ。一時期、ちょっと落ち込んでいましたが、このところの彼女を見ていると、日本女性が普通に持っているの淑やかな色気を感じます。・・・・オレだけかなぁ・・・・。


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