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2003年01月30日(木) アルマゲドン

アルマゲドン Armageddon
]マイケル・ベイ監督
1998年アメリカ


アカデミー賞(主にビジュアル部門)、
ゴールデン・ラズベリー賞(まあいろいろ)
MTVムービーアワードと、
各賞にノミネートされ、そのうち幾つかは獲得し、
まさに毀誉褒貶にさらされた、超のつく話題作でした。
小惑星の衝突から地球を救うという
至上命令のわかりやすさと、
何より、多くの人が見たに違いないという大前提から、
映画についての解説を
くどくどとする必要は感じられませんが、
私はこの作品を、一種のコメディーとして愛しています。

石油採掘会社の荒くれ男たちが
小惑星の地球への衝突を防御するための要員として
NASAの特命を受けます。
石油採掘の腕は確かなのかもしれないけれど、
不真面目で素行の悪い、
こいつらに地球を任せて大丈夫?
と思わせる面子ばかりです。
この辺のちょっと外した感じの表現が、
「地球は我々が守る病」に侵されているような
従来のアメリカ映画と違い、
ああ、アメリカ人の中にも、
自分たちを笑い物にする器量を持つ人もいるんだなと
思わせないでもありません。
(スウェーデン出身のピーター・ストーメア
豪快なロシア人役で笑わせてくれましたが)

何しろ、豪華キャストです。
それも、いわゆる大スターというよりも、
よくこんな癖のある人々が
一堂に会したものだと思われるような顔ぶれでした。
主演のブルース・ウィリス
今さら言わずもがなの大スターですが、
彼女の娘が、「存在感女優」のリブ・タイラー
彼女と恋仲になり、“父親”ににらまれるベン・アフレック
1度見たら忘れない顔のスティーブ・ブシェミ、
(『ファーゴ』では、前述のP.ストーメアと名コンビでしたね)
『メリーに首ったけ』では
C.ディアスの義父役のキース・デイヴィッド
最近、大売出し中のオーウェン・ウィルソン
『タイタンズを忘れない』で、デンゼル・ワシントンと友情を結ぶ
白人コーチを演じたウィル・バットンなど。
対するNASA側も、
何をやらせても、力業で「それなり」に
見せてしまうビリー・ボッブ・ソーントン
『ハリー・ポッターと秘密の部屋』では
名門の鼻持ちならない魔法使いルシウス・マルフォイを演じた
ジェイソン・アイザックスなどなど。

まあ、そんなわけですので、
今まで敬遠してきた方たちに、
敢えてお勧めしたいと思います。


2003年01月28日(火) ロッタちゃんと赤いじてんしゃ/ロッタちゃん はじめてのおつかい

2002年1月28日、スウェーデンの児童文学者
アストリッド・リンドグレーンが亡くなりました。
(享年94歳)
『長くつ下のピッピ』『カッレくん』など
多くの人気シリーズをものした方でしたが、
下記の映画の原作もまた、
日本でもかなりおなじみだったのでは?

ロッタちゃんと赤いじてんしゃ
Lotta pa Brakmakargatan
1992年
ロッタちゃん はじめてのおつかい
Lotta 2 - Lotta Flyttar Hemifran

1993年
いずれもスウェーデン映画
ヨハンナ・ハルド監督


この2本の映画が日本で劇場公開されたのは
2000年のことですが……
実は、ビデオリリース自体は
それよりももっと早く行われています。
タイトルはそれぞれ、
「赤いじてんしゃ」の方が「おてんばロッタちゃん」
「はじめてのおつかい」の方が
「ロッタちゃんとクリスマス」でした。
長女が大分小さい頃に一緒に見た覚えがあるので、
(小学校入学前だったはず)
1996年以前に出ていたと思われます。
日本公開に伴う映画紹介などを読んで、
「あれ、どっかで見たような…」と思った方も
多いのではないでしょうか。

やれセーターがちくちくするの、自転車に乗りたいのと
周囲にわめき散らし、毒づき、
時には「家出」をも辞さない激しい性格で、
家族やお隣のベルイおばさんを翻弄するあたりは、
どちらの映画にも共通です。
他愛ない生活スケッチに見えて、
子供の真実をきっちり描いているという原作のよさを
非常に好感度高く演出していました。

スクリーンにおける子供の役割が
お涙ちょうだい要員か、得体の知れない怖いものか、
あるいは道化のようなお笑い系か、
「その程度」であったことにうんざりしていた方には
ぜひともお勧めしたい2本です。
いつもぶすーっとしていて、
一発お見舞いしたいような憎まれ口もたたき、
それでいて憎めない……(でもないか)
こういう女の子って、今も昔もよくいますよね。
よくあるものを、よくあるものとして、
けれども魅力的に描いてある映画というのは
結構貴重だと思います。

日本公開時は、奈良美智(よしとも)さんの
ブスかわいいイラストが、
イメージにぴったりだということで話題になりましたが、
劇場公開に先んじて出ていたビデオのジャケットだけ見ると、
「金髪のかわいい女の子が出ている映画」という印象で、
実際に見てみると、「うわー、だまされたー」という気分になれます。
(一部だけ読むと、まるで洋ピンの話をしているようだ…)
“ブタグマ”のバムセのぬいぐるみを
買おうか買うまいか迷っている方は、
我が同志です! 


2003年01月27日(月) 聖なる嘘つき・その名はジェイコブ

1月27日は、ナチス犠牲者記念日です(1996年制定)。
1945年のこの日、アウシュビッツ強制収容所が
ソ連軍によって解放されたことに因むとか。

聖なる嘘つき・その名はジェイコブ
Jakob the Liar

1999年アメリカ/フランス
ピーター・カソビッツ監督


Jacob's Ladder(ジェイコブのはしご)という言葉があります。
Jacobジェイコブ(ヤコブ)は、
イエス・キリストの弟の名前ということもあり、
数年前にはアメリカの男の子の名前として
No.1になったこともあるほどメジャーなものだとか。
「ジェイコブのはしご」とは、聖書に出てくる故事に因む、
雲間から筋状にさす光のことですが、
どちらかというと、ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースの曲名や
ティム・ロビンスの映画タイトルでおなじみでしょうか。
この映画の原題、あのもじりかなと思っていたら、
冷静に見たら、名前の綴りがちょこっと違ったようで。


前置きが長くなりましたが、
この映画には、あんまり宗教めいたところはありません。
死と隣り合わせのユダヤ人のゲットーが舞台です。
宗教以上に人々に希望を与えたものが描かれていました。

ユダヤ人ゲットーに住む
ジェイコブ(ロビン・ウィリアムズ)は、
ある日、風に舞う新聞紙を追いかけていて、
夜間外出禁止の時間を過ぎて外出してしまい、
厳重注意されます(実際にはまだセーフの時間だったけど)。
そこで、指示に従って係官のもとに赴いたとき、
部屋に貼られた地図や、漏れ聞こえたラジオニュースから、
ソ連軍がかなり近くまで来ている(といいなあ)という憶測をし、
うっかり友人にそれを漏らしてしまいます。
そのせいで、ラジオを持っていると勘違いされたジェイコブは、
情報に飢えていたゲットーじゅうの人間から
今日は何かないかとせっつかれるようになるのでした。

ラジオのように、外の情勢がわかってしまうツールは、
ゲットーでは所持を禁止されています。
持っていることがわかれば射殺ものでしょう。
しかし、ある日老い先短い老人に
「ラジオなんか持っていない」ときっぱり言ったばかりに、
ショックで亡くなってしまうというショッキングな出来事があり、
ジェイコブは、真実が絶望を呼ぶことがあると知って、
さもラジオを持っているかのような「演技」を続け、
希望的観測による戦況や、
聞いてもいないジャズの名演奏について
滔々と語るようになります。
いかにも口八丁で芸達者なR.ウィリアムズらしい演技で、
人々に希望を与え続けるそのホラ話の数々は、
彼自身にとっては悲劇へと通じていくのでした……

『ライフ・イズ・ビューティフル』に似た部分の多い映画なので、
(御丁寧に、人格者の医師や、
小さな少女を匿うエピソードまで出てきます)
好き嫌いの分かれる話ではないかと思います。
が、気高い意志でもってつくられたコメディーという感じがして、
私は好印象を持ちました。

冒頭で、昔からよく言われていたユダヤのジョークが登場します。
ヒトラーは占いフリークとしても知られていますが、
ある日、自分が死ぬのはいつか占い師にと尋ねました。
占い師は「ユダヤの祝日だ」と答えます。
何月何日の祝日かと問い返すヒトラーに、
「あなたがいつ亡くなっても、その日はユダヤの祝日になるでしょう」
と答えましたとさ……というアレです。
苦難の歴史の中で「冗談でも言わなきゃやってられない」的に生きてきたであろう、
ユダヤ人たちのこの手のジョークに、惹かれる方も多いのでは?




2003年01月26日(日) 映画よろず屋週報 Vol41「こう見えてPG-13」

特集「こう見えてPG-13」

実は本日1月26日、我が長女が12歳になりました。
そこで、いわゆる「PG12」とレーティングされた
映画の特集にしようかとも思ったのですが、
より意外性?を追求し、
映画的に最もなじみのあるアメリカのレーティング、
いわゆるPG-13に指定された作品を御紹介します。
が、日本人の感覚で見ると、どこがまずかったのかが
いまいちわからない作品が多いのですよね。

ちなみに、日本の映倫、アメリカのMPAAについては、
こちらのサイトに詳しく書かれてあります。

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ライフ・イズ・ビューティフル
La Vita è bella(Life Is Beautiful)

1998年イタリア ロベルト・ベニーニ監督

ユダヤ人強制収容所で
自分の息子が絶望しないようにと
嘘をつき続け、芝居をし続ける男の物語。
確かに、ある種のトラウマを
植えつけそうな作品でもありますが、
ひどい暴力シーンもベッドシーンもなし。
(やや色っぽいシーンがあるけれど、おとなしいもの)

マイ・フレンド・フォーエバー The Cure
1995年アメリカ ピーター・ホートン監督

HIVに侵された少年
デクスター(ジョゼフ・マッゼロウ)と、
病気への偏見も捨て、デクスターを救うために
あれやらこれやら試みる危なっかしい少年
エリック(ブラッド・レンフロー)の
またとない友情物語。
デクスターに対する周囲の態度(暴力含む)など
少々辛いシーンもありますが、
テーマを考えれば、
できるだけ頭の柔らかい子供のうちに見せたい作品。

マイ・フレンド・メモリー The Mighty
ピーター・チェルソム監督 1998年アメリカ

知力に問題のある体の大きな少年と、
難病を抱えながら、その知性と負けん気で頑張る少年が
お互いの足りない部分を
補い合って立ち向かう「敵」の正体は?
若干、酷い暴力シーンあり。
全体的に、どこか文学的な香気さえ漂うような
捨て難い友情物語でした。

カラーパープル The Color Purple
スティーブン・スピルバーグ監督
1985年アメリカ

ピュリツァー賞を受賞したアリス・ウォーカーの原作を
「わかりやすい劇的な演出」という点では
右に出る者がいないスピルバーグが監督。
人種問題を前面に打ち出しているのが
ひっかかったのでしょうか。

I am Sam(アイ・アム・サム)
2001年アメリカ ジェシー・ネルソン監督

知的障碍と自閉症を抱えながら、娘ルーシーを
愛し、慈しみ、一生懸命育てるサムを、
ショーン・ペンがぞっとするうまさで熱演しました。
これがPG-13にひっかかった理由は
わからないでもないのですが、
レーティングをつける人の鑑賞眼というのは、
「ここはまずい」「ここはセーフ」などと、
映画を切り刻み、分類するためだけについているのか?と
少々悲しくもなります。

(番外編)
スタンド・バイ・ミー Stand by Me
ロブ・ライナー監督 1986年アメリカ

びっくりしたのは、これが実はアメリカ本国では
R指定(17歳未満の者は保護者同伴が必要)ということです。
やっぱり、死体探しというモチーフがまずかったのでしょうか。
今は亡きリヴァー・フェニックスを初め
この映画の主要なキャスト4人は、
当時全員この規定にひっかかったことになります。
(もっとも、日本のR指定と違い、
絶対入場できないというわけではありませんが……
アメリカには、これより厳しいNC-17という規定があり、
こちらは17歳未満の者は絶対に入場できないそうです)


2003年01月23日(木) さよなら子供たち

さよなら子供たち
Au Revoir, Les Enfants

1987年フランス/ドイツ ルイ・マル監督

気がつけば、3日連続フランス映画の御紹介です。

1944年、フランスの片田舎にある
カトリック系の学校を舞台にした物語ですが、
ドイツ軍占領下という背景を考えると、
当然、ナチスドイツの影を見ずにいられませんが、
そうした一連の「ナチス物」の中でも、
人間の醜悪さを余り感じさせない割には
迫り来るようなリアルな哀しさにあふれた佳作でした。

裕福な家の息子ジュリアン(ガスパール・マネッス)は、
兄フランソワとともに、
田舎にあるカトリック系の全寮制学校に疎開させられますが、
そこで、ボネ(ラファエル・フェジト)という、
秀才でピアノのうまい少年に興味を惹かれます。
やがて、ひょんなことから
ジュリアンはボネがユダヤ人であることを知りますが、
学校長は、それを承知の上で
彼を匿う格好で入学させていたのでした。
ジュリアンとボネは、
控えめながら友情を育んでいきます。

しかし、
事件といえば、生徒が学外活動で迷子になっただの、
小間使いの少年が感心しない方法で金稼ぎをしただの、
そんなことぐらいしかなかった平和な学校生活にも、
確実に残酷な戦禍のにおいがし始めるのでした……

ルイ・マル監督は、かつて『ルシアンの青春』で
ナチスの悲劇にまつわる映画を既に監督済みですが、
あの、ナチスに傾倒しながら
ユダヤ人女性に恋をする少年のジレンマは、
見ていて非常に辛いものがありました。

この『さよなら…』は、
多分に自伝的要素も含まれているようです。
それでいて、感情や私情だけに走っていない、
何ともいえない清涼感がありました。
淡々とした表現手法をとることで
モチーフの残酷さを際立たせる方法はよくありますが、
何だかその冷静さが鼻持ちならなくなったり、
何が言いたいかがよくわからなかったりするのも
この手のやり方の落とし穴です。
その点、この映画は全くお見事でした。

学外活動で迷子になったジュリアンたちを
学校まで送り届けてくれたのは
他ならぬ(気のいい)ドイツ兵たちだったり、
食事の席でユダヤ人に好意的な発言をしたジュリアンの母に、
(デヴィ・スカルノ似のケバい姥桜だったりしますが、いい人です)
ボネが安堵の眼差しを向けたり、
ほっとさせるような描写も随所にあり、
すごくきれいで価値のあるものを知ったときの
満足感を得られる作品でした。

下世話な「おすすめ情報」を付け加えれば、
ジュリアンやボネはもちろん、
若木のような美少年たちの姿がたくさん見られる
目の保養映画でもあります。
特に、くりくりの黒髪でのっぽのやせっぽち
なんてタイプがお好きな方には、たまらないでしょう。


2003年01月22日(水) 大人は判ってくれない

大人は判ってくれない
Les Quatre Cents Coups

1959年フランス フランソワ・トリュフォー監督


私がこの映画が好きな理由はたった1つ、
誰にも感情移入できなかったからです。
ああ、こういう感じってわかるなあというような、
ある行動に対する動機みたいなものは
ところどころで理解できなくもないのですが、
最終的には「何もそこまで…」と思ってしまうという次第。
だからこそ、まるっきり突き放した
まさに第三者の目で傍観することができました。

主人公アントワーヌ(ジャン・ピエール・レオー)は
母とも養父ともうまくいかず、
学校でも素行不良で目をつけられている
13歳の少年です。
悪友のルネと遊ぶのが楽しみではありましたが、
それでは満たされてはしません。

親たちは、難しい年頃の少年を持て余しつつ、
何とかいい関係したいと思わないでもないわけですが、
何しろ心構えが中途半端なので、
きつい言葉で傷つけたり、手を上げたりもしばしばでした。

そんなある日、アントワーヌは、遊ぶ金欲しさに、
盗みを働くのですが……。

作文の宿題に、
某文豪の文章をそのままパクってあっさりバレたり、
(でも、きっと深い深い感銘を受けたんでしょうねぇ)
両親と一緒に映画を見にいって大笑いしたり、
何だかほっとするような子供らしさを垣間見せつつ、
結局アントワーヌは、
大人に安っぽく理解されることを拒否した少年です。
そして私は、その態度に共感することができませんでした。
親や教師たちの傲慢さや身勝手さは別次元の問題として、
こいつはこいつでいかがなものだろう?と思ったのです。
だからこそ、大いなる虚像として楽しむことができました。

この映画は、
ストーリー展開もいたずらにややこしくないし、
セリフなどのテンポもいいし、
また、映画賞の受賞歴などの看板だけを根拠にしても
十分お勧めできる秀作だとは思いますが、
個人的には、私と同じ天邪鬼体質の方に
ぜひとも見ていただき、感想を伺いたい気がします。


2003年01月21日(火) パリのレストラン

パリのレストラン
Au Petit Marguery

1995年フランス ローラン・ベネギ監督


映画と料理はよく似ています。

素材は抜群!あとは料理の腕次第、
そういう映画がよくあります。
(というか、大抵の映画は大なり小なりそうですね。
素材というのは、テーマだったりキャストだったりいろいろですが)

素材がよくて調理に失敗した作品は、
紹介文やらプロのレビューやらを読んで大いに期待し、
「金返せ」と言うはめになりますが、
本日御紹介する映画は、
製作に携わった人の腕が確かだったようで、
心に残る逸品でした。

パリのとある片隅で30年間、
レストランAu Petit Margueryを切り盛りしてきた夫婦と、
彼らの息子、レストラン開業時の一番客、
そして、バラエティー豊かな常連客たちが織りなす
ところどころにユーモアをにじませた
しっとりした人間ドラマです。
夫婦がレストランを諸々の事情で廃業することになったとき、
常連客だけを招いたさよならパーティーの場面と同時進行で、
彼らの30年分の数々のエピソードが、
少しずつよみがえってくるのでした。
そして、それは決して幸せなものばかりではありませんでした。
とはいえ、人を滅入らせるような、
不幸の塩漬けのようなエピソードというではなく、
よくある話だったり、世相をさりげなく反映していたり、
妙に心温まるものだったりして、
優しげだけれど訳ありなお年寄りが、
脈絡なく思いついたことを話してくれているような、
そんな味わいがありました。

(フランス語解らないくせにナンですが)
セリフもおフランスらしく小粋なものがそろっています。
中でも気に入ったのは、
ある病気になったレストランのシェフに手術を勧める医者の一言、
「病院では私がシェフよ」
そして、シェフの料理に文句をつける言語学者の一言など、
「私は言語学者だ。舌には自信がある」
なぜか、偶然とはいえ職業に根差したたものばかりでした。
気になる方は、ぜひとも見て確認してみてくださいませ。
(または、このパラグム中のブランクの部分をこすると、
そのセリフに当たる日本語が書いてあります)


ちなみに本日1月21日は、
「料理番組の日」だそうです。
1937年イギリスBBCで、世界最古と思われる料理番組が放送され、
オムレツの作り方が披露されたとか。


2003年01月19日(日) 映画よろず屋週報 Vol40「深い意味はなく…コメディー特集」

「深い意味はなく…コメディー特集」

私は実は、コメディー映画というカテゴライズが
余り好きではありません。
というのも、自分にとっては、どんなジャンルの作品でも
「どこか笑える」であることが大前提なので、
あえてコメディーと銘打たれ、前面に出されると、
どうにも引いてしまうことがあるからです。

が、コメディー以外のどこにも
カテゴライズされないであろう作品たちにも、
もちろん、捨て難い味があります。
本日は、そんな中でもお勧め作品を列挙してみました。

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悪いことしましョ! BEDAZZLED
ハロルド・ライミス監督 2000年アメリカ
 
1967年、スタンリー・ドーネン監督の
同名イギリス映画のリメイク。
人は好いけれどパッとない男エリオットが、
悪魔に魂を売り渡す契約をし、
7つの願いを叶えてもらう…という物語。
1995年作品『セブン』のモチーフにもなった
キリスト教の“7つの大罪”にも通じる、
意味深なお話ではありますが、
決してとっつきにくいものではありません。
抱腹絶倒となるかならないかは好みの問題ながら、
本来、二枚目のはずのブレンダン・フレイザーが、
きちんと“イケてない男”に徹しているのはあっぱれだし、
エリザベス・ハーリー扮する悪魔は、
まさに悪魔的な美しさでした。

デュース・ビガロウ、激安ジゴロ!?
DEUCE BIGALOW : MALE GIGOLO

マイク・ミッチェル監督 1999年アメリカ

アダム・サンドラーのコメディー等で
いい感じで脇を固めることの多い
ロブ・シュナイダーが、
この映画では堂々の主役。
とある売れっ子ジゴロの家で
高価な魚の泳ぐ水槽を割ってしまい、
その弁償のために、
みずから男娼として金を稼ごうとする男が知った、
女性たちの本音とは?
手に取るのに勇気の要るビデオジャケットですが、
ぜひともお勧めします。

サボテン・ブラザース !THREE AMIGOS!
ジョン・ランディス監督 1986年アメリカ

スティーヴ・マーティン、チェヴィー・チェイス、
マーティン・ショートの3人が、
“スリー・アミーゴス”という芸人トリオに扮し、
勘違いからメキシコの山賊退治を請け合うことになる…
巻き込まれ型コメディーの傑作です。
どこまでも陽性で、すこーんと抜けた感じが魅力です。

ディディエ DIDIER
アラン・シャバ監督 1997年フランス

サッカーチームのマネージャーを務める男が、
知人から“ディディエ”という名の犬を預かるけれど、
そのディディエが突然、人間の男になってしまったことから
巻き起こる大騒動を、何だかほのぼのと描いています。
それは、ちょっと落語の「もといぬ」を彷彿とさせるせいか、
フランス人のコメディ感覚によるものか?
まずはごらんください。

喜劇王 喜劇之王/KING OF COMEDY
チャウ・シンチー監督 1999年香港

大スターを夢見ながら、どうも鳴かず飛ばずの
ワン(チャウ・シンチー)と、
「客の気を引くためのしぐさ」の研究のために
ワンのもとに弟子入りする
蓮っ葉なホステス(セシリア・チャン)との
ペーソスも含んだ(でも、やっぱり例の調子の)
ラブコメディー。
「例の調子の」というのは、
『少林サッカー』か『食神』を見れば
おわかりいただけるでしょう。


2003年01月17日(金) ミスター・ソウルマン

アメリカでのお話。
いわゆるAA(アファーマティブ・アクション。
ア○キー・アートではありません
により
従来、不当に差別されてきた層を、
大学進学や就職に関して優遇するなどの措置が、
今は逆差別では?と言われる状況になっているようですが、
今朝、新聞でミシガン大学の入試関係の記事を読んで、
次の映画を思い出しました。

ミスター・ソウルマンSoul Man
スティーブ・マイナー監督
(1986年アメリカ)


アイドル、C.トーマス・ハウエルが、
家は裕福、両親は進歩的で理解があり、
名門ハーバード大学に進学予定…という、
ぶっとばしたくなるような境遇の
お坊っちゃまマークを演じましたが、
その「進歩的で」というのがクセモノでして、
大学進学に当たり、
何と学費を自分で稼げ!と言われてしまうのでした。

彼はとりあえず奨学金利用を考えますが、
1つ空きのあった奨学金は、
優秀な黒人学生であることが条件でした。
ならば、肌を黒くすればいいんだ!と、
特殊な薬品を利用して、まんまと黒人の肌を手に入れますが、
その肌で意気揚々と臨んだキャンパスライフは、
白人だったころの自分には想像もつかないものでした。

「黒人ならバスケが得意なはず」
試合に駆り出されて苦労したり、
今までなら、自らも一緒になって言っていたかもしれない
黒人蔑視のジョークを白人の学生たちが言っていても、
自分の姿を見ると引っ込めてしまったり、
「悪気はなかった」などと謝ったりする始末です。

そんな中で、マークは魅力的な黒人の女子学生
サラ(レイ・ドーン・チョン)と知り合います。
彼女は勉強熱心なシングルマザーでしたが、
話をする中で、自分が奨学金を受けなければ、
彼女にそのお金が回っていたかもしれない事実を知ります。
サラにすっかり恋をし、罪悪感にさいなまれるマークでしたが、
もはや引っ込みがつきません。

この種の、特に80年代にいっぱいつくられたような
アメリカ産青春コメディーを見慣れた方には、
容易に想像のつくようなオチで、
凡作といえば凡作なのですが、
それなりに問題提起するものもあり、
なかなか魅力ある作品だと思います。
C.トーマス・ハウエルとレイ・ドーン・チョンとの
プライベートでのfall in love(ただし短命)も
ちょっとだけ話題になりました。


2003年01月05日(日) 映画よろず屋週報 Vol39「シンデレラ」

*****映画よろず屋週報 Vol39 2003.1.5*********************

寒中お見舞い申し上げます。
(寒い地域にお住まいの方限定の挨拶で恐縮ですが)
今年もよろしくお願いいたします。

年末・年始は
地上波でも映画や海外ドラマがたくさん見られましたが、
最も印象に残ったものは何でしょう?
私は、第一次世界大戦の戦場を舞台に
イギリス兵とドイツ兵が、クリスマスの日、
サッカーのプレイを通して束の間の「友情」を結ぶ
『戦場のキックオフ』(アニメ)に感銘を受けました。
人間というものがそこにいる以上、
戦場にもクリスマスやスポーツを愛する心が
確かに存在するのですね。

*********************************************************

特集「シンデレラ」

1956年、
「クール・ビューティー」の異名をとる
女優のグレース・ケリーが
モナコ公国のレーニエ大公と婚約したことに因み、
1月5日はシンデレラの日だそうです。

そこで、あの誰もが知っている
「シンデレラ」を彷彿とさせるようなストーリーの映画を
集めてみました。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

シンデレラ Cinderella
1950年
ウィルフレッド・ジャクソン/ ハミルトン・ラスケ/
クライド・ジェロニミ監督
(アメリカ/ディズニーアニメ)

お姫様が(ピンクでなく)ブルーのドレスだったことや、
髪が長くなかった(まとめていただけ)ことに
子供の頃、ショックに似たものを感じたことがあります。
記号としての「オンナ」なるものに
しっかり毒されていたせいでしょうか。
魔法が解けても靴だけは残ったの?という
この物語についてよく言われる謎に、
「ああ、なるほど、そうしたか」というような
おもしろい形で配慮していました。

エバー・アフター Ever After
1998年 アンディ・テナント監督
(アメリカ)

最近、急に老けた気がする(各種の役のせいか?)
ドリュー・バリモアが、
美しくたくましいシンデレラを好演しました。
(役名はダニエル)
……のみならず、
艶っぽい、女の業を感じさせれる継母役を
アンジェリカ・ヒューストンが演じているのも
“みもの”です。
コメディー映画としても秀逸な、
今までにないシンデレラストーリーでした。

プリティ・ウーマン Pretty Woman
1990年 ゲイリー・マーシャル監督
(アメリカ)

ロイ・オービンソンの同名タイトルの曲に乗って
全世界的にヒットした作品……ですが、
実は私は余り好きではありません。
3000ドルという破格の報酬で1週間の恋人契約を結んだ
実業家(リチャード・ギア)と
娼婦(ジュリア・ロバーツ)の
かりそめの関係から生まれた本物の恋物語とは?
シンデレラというよりは
ハッピーエンド版「椿姫」かも。

くちづけはタンゴの後で
Mrs. Winterbourne

1996年 リチャード・ベンジャミン監督
(アメリカ)

身寄りもなく美しくもないコニー(リッキー・レイク)は、
妊娠して男に捨てられますが、
意外な出会いから人生が好転し、
大富豪ウィンターボーン家の
息子ビル(ブレンダン・フレイザー)と恋に落ちますが…
ウィンターボーン家の人々は、
使用人まで含め、皆さん懐が深くて、
傷ついたコニーの気持ちを明るく盛り立てます。
どうせ乗るなら、こんな玉の輿に乗りたいと思えるような
実にごきげんな物語でした。

シンデレラ・リバティー かぎりなき愛
Cinderella Liberty

1973年マーク・ライデル監督
(アメリカ)

本日のテーマとしては、番外編です。
タイトルに「シンデレラ」と入ってはいますが、
この場合、兵隊さんの深夜0時までの休暇のこと。
ジェームズ・カーンやマーシャ・メイスンが
現役バリバリで演じたロマンス映画というのが
いかにも70年代だなぁ〜と思います。

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