-殻-

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2004年05月28日(金) 僕を見つけてくれた

すれ違ってばかりの君と僕は、
互いの居場所を見失ったままで、
それでもお互いを探していたみたいだ。

僕にとって君は、近くて遠くて、
いつまでもそこにいるような気がして、
でも一度も手が届いたこともなく、
気が付けばあの街を離れていた。

まさか君が、この広い世界で僕を見つけてくれるなんて。
ずっとずっと探していた、なんて言ったりして。

久しぶりの君の声は、本当にあの時のまま。
まるでつい昨日話したように、当たり前の言葉を交わす。

何もなかったみたいだ。
哀しい別れも、新しい暮らしも、叶わない夢も、
知らずに君だけを見ていたあの日みたいだ。

一度だけ抱き締めた、君の細いからだ。
あの時の湿った空気。
涙。


もう、はっきり僕等は気付いた。
決してお互いを失うことはないと。
それぞれにある自分の場所の中に、
僕は君の、君は僕のための部屋を持っていることに。

このままいつまでも、いつまでも続いていこう。
君の顔を見ることがなくても、
君の声を聞くことができる。
君を抱き締められなくても、
君が生きていることを、僕は、知っている。


2004年05月25日(火) 茜色

新幹線の窓から、見慣れた山の稜線。
いつもと違うのは、その背に見える空の色。

山際に澱のように滞った茜が、
蒼い空の中に溶けていくような。

失われていくことが約束された色。

うまく言えないけれど、目が離せない。
目を逸らしてはいけないような気がした。

網膜が焼き切れそうに感じても、
この茜を放つ塊を視界から外すことができない。

やがてそれは、その姿を山影に隠す。



おやすみ、また明日。

でも、明日僕が出会う君は、本当に今沈んでいった君なのかな?




2004年05月19日(水) 独占欲

君は僕のものじゃない。
僕が君のものじゃないように。

そんなことはとっくに分かっているんだ。

なのに、思い通りにならないことに勝手に苛立つ僕は、
誰も気付かないような卑屈な嫌味を、
おそらくは自分自身に向けて言い放つ。

汚らしいこころ。
穢れた欲望。

やっぱりこういう日も、眠ってしまうに限る。
ずるいと言われようと、時間に身を委ねる。

それ以上に効く薬を、今のところ僕は知らないから。



2004年05月18日(火) 電池が切れた

何も手に付かなくなる。
たまにあるな、こういうこと。

時間は簡単に過ぎていくし、
身体も頭も動かないままで、
どうしようもなく一日が終わる。

焦りが募って、分かるはずのことが分からなくなって、
言葉も届かなくなって、集中できなくて、
それなのに今朝、出勤の車の中で聞いた曲が頭でヘビーローテーション。

こういうときは諦めるに限る。
いつもより早めに会社を出る。
隣の子にも、挨拶もそこそこに立ち去る。

たまにあるな、こういうこと。

誰かに寄りかかれば楽かも知れないけど、何も生まない。
弱っている自分を曝け出すのはちょっと危険だし。

一晩ぐっすり眠れば、大抵のことは解決する。
だから、何も言わずに目を閉じてしまえ。
夢も見ないくらいに、深く潜ってしまえ。


でも本当は、隣に誰かいて欲しいんだ。
たまにあるな、こういうこと。

極々たまにあるんだ、こういう寂しさって。




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