-殻-
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忘れないために君は、
思い出さないことを選んだ。
言葉を失う僕等の会話は、つまるところ平和な日常と呼ばれる。
そいつに名前を付けるなら、そう、「幸せ」だろうか。 あなたもこれを、そう呼びますか?
「真実は、誰も傷付けないと思ってますからね」
あの人は笑いながらそう言った。 僕は思う。 あなたはまだ、本当の意味での哀しい真実を知らないのだ。 真実とは、どんな現実ですら切り裂いてしまう、 この上なく鋭利な刃物なのだ。 ただ、あなたがまだそれを知らずに済んでいるのなら、 このまま知らずに生きていけるに越したことはないよ、と。 INDEX| PAST| NEXT | NEWEST |