観能雑感
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2002年09月08日(日) 宝生会月並能

宝生会月並能 宝生能楽堂 PM1:00〜

諸事情で感想を書かないまま今に至ってしまった。断片的ではあるが記録しておこう。
当日出かける真際に緊急事態発生。余裕を持って開場に到着するよう心掛けているのだが、今回は約10分の遅刻。いつも見所のマナーをどうこう言っている身としては恥ずかしい事この上ない。反省。

能 「女郎花」
シテ 金井 雄資
シテツレ 小倉 伸二郎
ワキ 野口 敦弘
アイ 善竹 十郎
笛 寺井 久八郎(森) 小鼓 住駒 匡彦(幸) 大鼓 安福 健雄(高) 太鼓 観世 元伯(観)

見所に着いたら既にワキが登場していた。シテが登場してからワキとシテの謡が重なってしまう個所があり、ワキのタイミングが早かったようなのだが、ちっとも慌てた素振りを見せないのはさすがである。
金井師は流儀の中堅としてまず名前が挙がる方。若々しい謡で気持ちがいい。それ以外は既に忘却の彼方。一曲を楽しんだ事は間違いないのだが…。

狂言 「悪坊」(大蔵流)
シテ 大藏 吉次郎
アド 大藏 千太郎、善竹 富太郎
トイレに立ったため観る事を断念。上演中の入退場は避けたかったので(この日は既に前科がある事だし)。

能 「花筐」
シテ 高橋 勇
シテツレ 高橋 亘
子方 前田 尚孝
ワキ 高井 松男
笛 一噌 隆之(噌) 小鼓 亀井 俊一(幸) 大鼓 國川 純(高)
 
曲の冒頭に登場する(そしてすぐ退場する)大跡部皇子の使者として宝生欣哉師が登場。ワキツレは番組に掲載されていないので、思わぬところで楽しませてもらった。
シテツレの亘師、地謡座での姿勢の悪さが以前から気になっていたのだが、立ち役になってもその印象は拭えない。背が丸く顎が上がった状態のせいか、常に面をテラしているように見え、薄笑いを浮かべ続ける侍女になってしまった。両足をほとんどくっつけたカマエにも安定感がない。
場面展開が早く、二段グセも面白く聴けた。それ以外の記憶は朧…。

能 「天鼓」 呼出
シテ 三川 泉
ワキ 宝生 閑
アイ 大藏 彌太郎
笛 藤田 大五郎(噌) 小鼓 住駒 昭弘(幸) 大鼓 亀井 忠雄(葛)

これが目的で今回観に来た。そういう人は多かったようだ。見所の空席も埋まって行った。
「呼出」の小書が着くとワキの廷臣が橋掛りからシテを呼び出し、一声、サシ、上ゲ歌、下ゲ歌が省略される。子を殺された老父の嘆きの部分が抜け落ちるので、曲趣を踏まえつつ充実した空間を作り上げるには相当の技量が要求されると思われる。
鳴らない鼓を打つようにとの皇帝の命令に恐れおののきつつも、ここで殺されるのも仕方がないと半ば諦観を滲ませて宮廷に向かう老父。鳴るはずがないと信じ込んでいた鼓が思いかげず音を立てた時の驚き。僅かな動きの中にも老人の心の動きを汲み取る事ができる。
後シテが幕から表れた瞬間、心の中で「可愛い!」と呟いてしまった。弔いの管弦に喜んで姿を見せた少年は殺された恨みや哀しみなどという地上の感情とは無縁のよう。「楽」に乗せて舞う姿は無心であり、そこに音楽が流れているから体を動かさずにはいられないといった様子。天から降ってきた鼓を打つ事ができた少年はそもそも、天界の住人だったのかもしれない。
 藤田大五郎師の音色が非常に冴えていて、曲趣を盛り上げた。楽の一クサリは長めなので身体を前に折り曲げるようにして息を吹き込むその姿は少し痛々しくもあるが、50年以上の長きに渡って舞台を勤めてきた今だからこそ出せる音色なのかもしれない。舞台は一期一会。この場に居合わせることができた我が身の幸福を思った。

 これで観能記録を始めてから観た全ての舞台について書き終わった。それ以前についても書き残したいとは思うのだが、さてどうなるやら。


2002年09月04日(水) 国立能楽堂定例公演

国立能楽堂定例公演 13:00〜

狂言 「鏡男」
シテ 大島 寛治
アド 山本 則俊

能 「阿漕」
シテ 関根 祥六
ワキ 森 常好
ワキツレ 舘田 善博 御厨 誠悟
アイ 遠藤 博義

笛 中谷 明 小鼓 福井 啓次郎 大鼓 安福 健雄 太鼓 金春 惣右衛門

実はこの公演観ていない。さすがにこれ以上仕事を休めないと断念。まったく予測のつかない体調が恨めしい。


こぎつね丸