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2004年01月29日(木) 人間だもの

『あなたのいうことは正しいのかもしれない。博愛家を嘲笑する時、たぶんあなたは正しい。でもね、あなたは思想としての愛他主義を否定することはできても、肉が肉を呼ぶ愛おしみ、優しさ、いたわりの気持ちで微妙に震える魂が、あなたの中にさえ確かにある事実までを否定することは決してできない。これから何億年もして、ようやく出会うことができるかもしれないという神は、もうあなたのなかに棲んでいる。わたしたちの魂には、たとえ砂粒のように小さくても、なにか神的なものの破片が宿っているんだわ』(笠井潔『熾天使の夏』)

観念に支配されすぎて、事実から目を逸らしてはいけない。
だからといって、あまりにも観念が欠如していてもよろしくないのだけど。


2004年01月28日(水) 研究8・考察

最近身体がだるい。
睡眠は不足していないはずだ。
おそらく、パソコンの画面にばかり向かって、
同じような作業を繰り返しているからだと思う。
ただし、ときどき、同じではないこともある。
ディスカッション。
閃き。謎が解けるとき。
それに連鎖するちょっとした新発見。
そういう刺激も、ときどきある。

『面白ければ良いんだ。面白ければ、無駄遣いではない。子供の砂遊びと同じだよ、面白くなかったら、誰が研究なんてするもんか』
(森博嗣『冷たい密室と博士たち』)

(この引用、もうすでに5回目だろうか)


2004年01月27日(火) 太陽

『あたしはね(中略)太陽の下を生きたことなんてないの(中略)あたしの上には太陽なんかなかった。いつも夜。でも暗くはなかった。太陽に代わるものがあったから。太陽ほど明るくはないけれど、あたしには十分だった。あたしはその光によって、夜を昼と思って生きてくることができたの。わかるわね。あたしには最初から太陽なんかなかった。だから失う恐怖もないの』(東野圭吾『白夜行』)

太陽から遮断された生活に慣れるとどうなるのだろう。


2004年01月26日(月) 哲学探偵

『私と他者が、私と世界が親和しえないならば、他者の方に、世界の方に消えてもらわなければならない』
(笠井潔『サマー・アポカリプス』)

『君はなぜ怖いんだ。ほんとうに勇気があるなら認めてしまうんだ。君が、いや僕たちが彼ら以下であるという事実を。彼らが豚なら、僕たちは豚以下だ。彼らが虫けらなら虫けら以下だ。豚以下、虫けら以下だからこそ、どうしようもなく観念で自分を正当化してしまう。それを認めてしまうんだ。その時にこそ、微かな希望が、救済の微光が君を照らすだろう。そう、希望はある。身を捨てて、誇りも自尊心も捨てて、真実を、灼熱の太陽を、バリケードの日々を昏倒するまで生きることだ。太陽を直視する三秒間、バリケードの三日間を最後の一滴の水のようにも深く味わいつくすことだ。僕たちは失明し、僕たちは死ぬだろう。しかし、恐れを知らぬ労働者たちが僕たちの後に続くことだけは信じていい』
(笠井潔『バイバイ、エンジェル』)

引用元である笠井潔の「矢吹駆シリーズ」は推理小説だが、
トリックの部分を忘れてしまった。
印象に残っているのは、哲学談義・思想対決の部分。
とくに第一作『バイバイ、エンジェル』には思想対決に勢いと熱さがあったと思う。
実在の思想家をモデルにしたキャラクターとの思想対決を展開しているので、
その思想家について詳しければ、さらに楽しめるかもしれない。
シリーズの中の作品によっては、
わざわざ読む前に対決相手に関する本を読んで「予習」したこともあったが、
今となってはあまり覚えていない。
そういうお勉強的なその場しのぎでは身に付かないのかも。
単に書かれている内容が心に響かなかった可能性もあるけれど。


2004年01月25日(日) コーヒーでも飲みながら

今の研究課題が終わったら、
会いたい人がたくさんいる。
もはやどこから俺の物語を話せばいいのか、
わからないくらいに会っていない人もいる。
すべてを話す必要はないし、
すべてが伝わるはずもない。

でも、話したいんだ。
そして彼らの物語も聞かせてほしい。


2004年01月23日(金) 人間時計

もうすぐ今週も終わりだな、と思う。
昨日、木曜日なのに水曜日と勘違いしていた。
昨日の日記を書いたときに曜日は確認しているはずなのに、
そのあとしばらくしてから、
人に言われて木曜日だということに気づいた。
どこかで一日時間が飛んだ気分だ。

今の研究課題を片付けるには時間があればあるだけ良いが、
その一方で時計の針を早めたいという思いがある。
別に矛盾はしてはいない。
ちゃんと、両立する。


2004年01月22日(木) LOVE はじめました

優秀に暮らしていこうとするよりも
君らしい不完全さを愛したい
マイナスからプラスへ座標軸を渡って
無限の希望を
愛を 夢を 奪いに行こう 捕らえに行こう
(Mr.Children『Hallelujha』)

僕は、君を、不幸にはしない。


2004年01月21日(水) 神、人間、そして…

十九世紀においては神が死んだことが問題だったが、二十世紀では人間が死んだことが問題なのだ。(エーリッヒ・フロム『正気の社会』)

二十一世紀には誰が死ぬのだろうか。
それともみんな生き残れる?



足りない言葉並べても本当の事は伝わらない
優しいだけじゃ守れない正しいだけじゃ伝わらない

写真には写らない
作り笑顔の下の気持ちなんて絶対に

聞かせないで ずっと 壊さないで そっと
それがあなたたちの望んだ世界さ

昔はよかったなんて言うけど
あのキラめく時の中の何を知ってるっていうのさ

消えないキズがあることも一途な君には判らない

偽りの真実にしがみついて
逃げてそして心さまよって

いやしない きっと そんな人 ずっと
それは あなたたちの作った世界さ
(L'Arc~en~Ciel『bravery』)


2004年01月20日(火) 君が好き

人って迷惑をかけるために生まれてくるんですよ。
どれだけ迷惑を許しあえるかが人と人とのつながりの深さだと思うし…
(山田玲司『ONE ON ONE』より、”グレートジャーニー”関野吉晴の言葉)

そもそも迷惑なんかじゃないよ。


2004年01月19日(月) 世界革命と孤独なレースと僕と君と

「君は、自分のことを無私の革命家だと信じているのだろう。確かに君は殉教の聖女を思わせる。しかし、とんでもない話だ。君の魂は傷ついた自尊心から流れだす血と膿で溢れ返っている。なぜ君は人民を、生活者を、普通の人間たちを憎むのか。真理のために彼らの存在が否定されなければならないのだと君はいう。嘘だ。君はただ、普通に生きられない自分をもてあました果てに、真理の名を借りて、普通以下、人間以下の自分を正当化し始めただけだ。(中略)殉教者は自分の正義、自分の神を舌で舐めまわすのだ。高利貸が、財産を奪うならむしろ火刑にしてくれと騒ぐように、殉教者は生命より自分の財産、自分の所有物である至高の正義の方がよほど大切なんだ。喜んで火刑にでもなるだろう。ギロチンにもかかるだろう。守銭奴が一枚の金貨にしがみつくように、君は正義である自分、勇敢な自分、どんな自己犠牲も怖れない自分という自己像にしがみついているだけなんだ」
(笠井潔『バイバイ、エンジェル』)

社会的な革命にアイデンティティーを託せる時代はとうに終わり、
個人的な革命の時代となった。
勝利も敗北も自分自身の結果だ。
勝利と敗北を定義するかどうかも自分自身だ。



いろんなこと犠牲にして
巻き添えにして
悦に浸って走った自分を
時代のせいにしたんだ
「もっといいことはないか」
って言いながら
卓上の空論を振り回してばかり
そして僕は知ってしまった
小手先でやりくりしたって
道をつかまえられはしない
(Mr.Children『Any』)

勝利も敗北もないまま
孤独なレースは続いてく
(Mr.Children『Tomorrow never knows』)



「革命は、いったい、どこで行われているのでしょう。すくなくとも、私たちの身のまわりに於いては、古い道徳はやっぱりそのまま、みじんも変らず、私たちの行く手をさえぎっています」
(太宰治『斜陽』)

世界が革命できないなら、自分を革命すればいい。


2004年01月17日(土) 明日への詩

自殺なんて私の主義に反するのだけれど。

もし私の体が地面に叩きつけられたら
私は泣いているかしら?
もし私の体が地面に叩きつけられたら
私の瞳は開いている?
私の瞳は何を見ている?
落下のスピードのなかで どんな夢を見ているの?

私の体が砕け散るとき
私の夢も 砕けるのかしら?
私が砕け散るとき
たくさんの夢はどこに飛び散るのかしら。

胸に溢れるこの愛はいったいどこで 壊れるのかしら。

私の体が大地にぶつかるとき
どんな音がするのかしら。
どんな悲鳴が 聞こえるのかしら?

落下のスピードは早く激しく
私の罪を溶かしてくれるの?
このblue skyに私の愛憎は いったいどんな風に広がるの?
罪のない青空に 私が飛べばどうなるの?
叩きつけた 愛や罪の色に
美しく染まるのかしら?
そうしてあなたの体に降り注げば 満足ですわ。
毒の雨となって
降り注げばいい。
美しい霧雨となって 全てを殺せばいい。
至福の夢となって 全ての生き物が
死に絶えればいいわ。

私の無限の愛が広がればいい。
大空に夢となって。

私の体が砕けるとき
私はどんな気分かしら・・・
(仲井杏奈『full sky』)


2004年01月16日(金) 明日への歌

果てしない闇の向こうに oh oh 手を伸ばそう
癒える事ない傷みなら いっそ引き連れて
少しぐらい はみだしたっていいさ oh oh Tomorrow never knows
心のまま僕はゆくのさ 誰も知る事のない明日へ
(Mr.Children『Tomorrow never knows』)


Mr.Childrenの桜井和寿が、ベスト盤を出した頃に、

「次にやるべきことが、明確に見えてる。新しい曲も出来てるし、バンド・セッションの手応えもいいんです。早くそっちにとりかかりたい気分」

と言っていて、そして完成したのが『It’s a wonderful world』というアルバム。
誰も知る事のない明日を歌っていた彼が、次が明確に見えていると言って作ったアルバム。
そこには自由な広がりがある。
退化するために歳を重ねたのではなく、成長するための時間を費やしてきた証。


「十代の頃に『深海』を聴きました」という人が、今、自らも何か表現する仕事に就いていたりして、そんな影響を身近に話してくれたりすると、「だったらもっともっと、いい影響が与えられるような存在にならなくちゃ」って思うし、そのモチベ−ションが、これからも音楽を生んでく気がする。(桜井和寿)

(でも、『深海』などの頃の名曲は今でも名曲であることに変わりはない)


2004年01月15日(木) 研究7・実験終了

実験が終了した。
いくつかのファクターが絡んで打ち切った、
ともいえるかもしれない。
現時点でのデータ量だけでも考察することは可能だ、
という判断も働いている。
データはないよりはあったほうが良いだろうが、
あるからといってそのすべてを解析できるわけでもない。
いま手元にあるデータはそれなりに量があるので、
しばらくはその解析作業に追われそう。
そして考察へ。


2004年01月14日(水) HONEY

永い夢をみていたんだろう
砂漠に横たわる楽園の夢を見た
甘く滴りそうな果実と
柔らかい頬で笑うあなたが居た

ここからはもう届かないのかな
あの幸せな夢には
あの優しい時間には

また懐かしい時夢として
みることがあればと願う

変わらぬあなたと
あるがままの私で…
(仲井杏奈『Sweet Time』)

僕は変わることを選択した。
そして事実、僕は変わったと思う。
俺は今、あの頃よりも充実している。
あなたはいないが、
あなたがいなくなったからこそ、
今の俺がある。
夢の終わり現実のつづき。

次がもしあれば、そのときは現実で会えるはずです。


2004年01月13日(火) LOVE

こんな不調和な生活の中で
たまに情緒不安定になるだろう?

愛はきっと奪うでも与えるでもなくて
気が付けばそこにある物

あるがままの心で生きようと願うから
人はまた傷ついてゆく
知らぬ間に築いていた自分らしさの檻の中で
もがいてるなら誰だってそう
僕だってそうなんだ

Mr.Children『名もなき詩』より。



きっとウルトラマンのそれのように
君の背中にもファスナーがついていて
僕の手の届かない闇の中で
違う顔を見せているんだろう
そんなの知っている

もしもウルトラマンのそれのように
すべてのことにはファスナーが付いていて
僕が背中見せているその隙に
牙を剥くつもりでも
信じてみる値打ちはあると思えるんだ

Mr.Children『ファスナー』より。


2004年01月12日(月) ヒト

あぁもしもこの俺が失敗作なら
もうすでに完全じゃないことを認めたら?
(L'Arc~en~Ciel『Shout at the Devil』)

認めてきたからここにいる。


2004年01月11日(日) sora

どこかの六階から飛び降りた男が地上に打ち付けられるまでに見た夢
ガラスのように透明なBlue Sky
でもそこにいるのは君の神様じゃない
モネの描いたバニラ色の世界で
神無月の雨に打たれて震えながら歩いている子猫
僕はそこであなたと出会った
僕の影は今もそこに留まり
僕は外の世界へ出た
誰しもいつかは降りて来なければならない


2004年01月10日(土) 四季

時間と空間を克服できるのは、
私たちの思想以外にありません。
生きていることは、
すべての価値の根元です。
(森博嗣『四季 秋』)

頭の中でなら、四畳一間からでも宇宙へ飛べる。
四季を同時に描くことも可能だ。
時間と空間すべてを超越した場所に立つことが原理的に可能だ。
しかし、個々の実体験を獲得することもまた大事だ。
何にも裏打ちされていない思想は儚い。

四季咲きの、薔薇のように。


2004年01月09日(金) 花葬

俺が大学で所属している専攻のある教授の訃報を聞いた。
その人とは直接話をしたことは一度もない。
話を聞いたこともない。
一度、話すか聞くかしてみたかった。


「夏の花が好きなひとは、夏に死ぬっていうけれども、本当かしら」
(中略)
「私なら薔薇がいいな。だけど、あれは四季咲きだから、薔薇の好きなひとは、春に死んで、夏に死んで、秋に死んで、冬に死んで、四度も死に直さなければいけないの?」
(太宰治『斜陽』)


2004年01月06日(火) heavenly

Where is my body where is it ?
(L'Arc~en~Ciel『inner core』)


2004年01月04日(日) 世界変革の時

極上の会話を楽しんだ。
その場には完璧な空気が流れていた。
どこかに飛んでいってしまいそうだった。
どこかとはどこだ?

俺が体験したことのない世界、だから言葉には表わせない。

ただ、俺が昔一度、それを目指して辿り着くのに失敗した世界、かもしれない。
今度は上手くやれるだろうか。
あの頃から、そのための準備をしてきたつもりだ。



このweb日記の存在を教えたのは、今日で6人目。
最初の1人は今も読んでくれているかどうかわからない。
そもそも最初の1人は、存在を教えたというより、
その人に勧められてweb上に日記をUPすることにした。
そのしばらく後の破綻から、今まで準備をしてきたのだ
描いた軌跡が何を意味するかは、往々にして後でわかる。


2004年01月01日(木) 延長10回

長い年越し。

昨年に得られたものは大きかったと思う。
今年の飛躍のための準備をすることもできた。

キャストは一部変更されるだろう。
それが一年という時の流れの証だ。

「また、話しましょう」
そして延長戦という名の始まりへ。


「きみともし世界が戦うなら」とカフカは言った
ぼくともし世界が戦うのならそのときは
ぼくはぼくの敵の世界に味方するだろう
(菅野よう子・坂本真綾『ちびっこフォーク』)



あけましておめでとう。


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