月のシズク
mamico



 冬じたく

フローリングの上をはだしで歩くのがつらい時期になってしまった。
電気カーペットを出し、コットンのシーツの代わりに敷毛布をしき、
両親からプレゼントされた羽毛布団にくるまる。
もうしばらくしたら、電気ストーブも必要になるだろう。
今はまだ、ちょっとの辛抱。

私は雪国で生まれたわりには、あきれるくらいの寒がりである。
お風呂からあがっても厚手の靴下を履かなければ、すぐに足がかじかむ。
暖かい部屋から寒い外に出ると、気温差に適応できなくてしばらく歯を
ガタガタと鳴らす。冬はタートルネックしか着ない。手袋も耳あても必需品。
まったく情けない。

だから、冬支度は寒さの度合いに合わせてちょっとずつ進める。
まずは自転車に乗るときの手袋から。それからマフラー。
ウールのコートは12月に入ってから。
寒くて眠れない夜は、ミルクココアを作る。
あたたかくて甘いのみもので、カラダを温める。

ちなみに、寒い日にきちんと防寒してさっそうと歩く男の子の姿はいいですね。
ぐるぐる巻きのマフラーやぽってりした手袋、ニット帽に耳までたくしこんで、
ぽくぽく歩く姿って好きですよ、個人的に。野生の鹿のような精悍さを感じる。

うーん、そろそろ風邪菌の攻撃を受けるころかな。
ちょっと体が熱っぽくてだるいです。
今夜は靴下をはいたままで眠りますか。おやすみん。





2001年11月30日(金)



 匂う配達人

Anne Fontaineに頼んでおいたブラウスを取りに行った。
せっかくだから試着しましょう、と店員さんとわいわいやっていると、
どこからか強いポプリの匂いがただよってくる。このお店ではブラウスに
小さなポプリを付けて飾っているのだが、それにしてもちょっときつすぎる。
香りの方を見やると、店の入り口に帽子をかぶった若い配達人が
困り顔で立っていた。

どうやら納品用のリネン・ウォーター(ポプリの香り)の瓶が搬送中に
トラックの中で割れたらしく、びしょびしょの段ボール箱が数個、足元に
積まれていた。聞くとトラックの荷台にも漏れて、いろんなものに匂いが
ついたらしい。彼が動くたびに、ぷんぷんとポプリの芳しい香りがこぼれる。

まったく弱ったなぁ、という彼の泣きそうな顔つきと、彼の衣服に深く
染みついた匂いを見比べ、そのアンバランスさに、店員さんと私はこっそり
顔を見合わせて笑いあった。「同じトラックで運ばれる品物みんなに、
この香りが付いたなら素敵じゃない」とおもしろそうに言う店員に、
配達人は信じられない、という表情で首を振っていた。




2001年11月29日(木)



 クリスマス・ソングズ

なんと、今年初のクリスマス・ソングを「これでもかっ!」
ってくらい聴いてきました。
でもドコデ?とは聞かないでねん。

「ママがサンタにキスをした」
"Last Christmas"
「サンタが町にやってきた」
"White Christmas" etc, ets...

先週からずっと、平均5.5時間睡眠の日々だったので、酸欠状態のような
体調にもかかわらず、ライブのぐぉんぐぉんした音を聴いちゃうとダメですね。
ビートが、ナマ声が、息の合ったホーン・セクションが、「おらおら、踊れ踊れ」
と言わんばかりに客をあおるあおる。

おまけにオーナーをはじめ、4人ものお誕生日のお客さんがいらしたものだから、
「ハッピーバースディ」の大合唱。こんなパーティもいいもんだ。
ぜひ来年は私をココで祝ってください。




2001年11月28日(水)



 結末を忘れるということ

読書に適した場所。
私の場合、トイレとお風呂。

冬はカラダを温めるために自然と長湯になるので、何度も差し湯をしながら
湯船の中で本を読む。お風呂で読む本の傾向は決まっている。
どっしりとした長編小説か、スナック菓子のような軽めの短編集。
先週までは、渡辺淳一作品にどっぷりと浸っていた。

さておき、私は好きな本を何度も読み直すくせがある。
そろそろあの小説が読みたいわ、と本棚から出しお風呂に入ってページをめくる。
ああ、これこれ、この書き出し、と、たちまちなつかしい気持ちに満たされる。
だが、問題はそのあと。

それで、この物語はどうやって終わるんだっけ、と首をかしげる。
もう何度も読んだはずなのに、どうしても結末が思い出せないのだ。
それはひとつの作品に限ったことじゃなくて、どれもそうなのだ。
記憶力が悪いということでは片づけられないくらい、さっぱりと忘れてしまう。
クライマックスにさしかかっても、私は物語の進行と共に笑い、泣き、
そして結末を知らない。

うーん、もしかしたら、結末なんてどうでもよいのかもしれない。
私が心惹かれるのは、言葉が紡ぎ出す物語の世界、その風景、その感触、
その匂い、その懐かしさなのだ。ページをめくることでその「世界」の中に
入っていけることが嬉しくて楽しいのだ。物語は私のココロの中で生き続ける。
だから、結末なんてむしろそんなに重要じゃないみたいです。
って、これってやっぱり言い訳めいてるかしら。




2001年11月27日(火)



 泣く若者

午前零時近く
家路を急いでいると、ねじれたようなうめき声が聞こえてきた。
闇に眼を凝らすと、Tower Recordの前に設置されたベンチにふたつの影がみえた。
歩くスピードを少し落として、私はなにげないふりをして前を通り過ぎる。
もちろん、耳と眼をしっかりすませながら。

うめき声だと思ったのは、男の子の嗚咽だった。
男の子といっても、高校生か大学生くらいだろう。
そばに恋人らしき女の子がぴったりとよりそって、彼のあたまをなでている。
でも男の子の嗚咽は激しくなるばかりで、押し殺した叫びのような鳴き声が
夜の空気をわずかに震わせていた。

私は、純粋な好奇心と純粋な邪心でふたりをみつめてしまった。
そして、男の子の眼が涙できらきらひかっているのを見た。
流された涙は、きっと彼の心を落ち着かすでしょう。
涙にはそんな心の鎮静作用があるから。

そして、私がいちばん知りたかったのは、そばにいた彼女のこと。
泣きじゃくる彼の髪をなでながら、彼女はなにを考えていたのか。
今はそれが、すごく、気になる。




2001年11月26日(月)



 チェロと旅

バス、電車、バスを乗り継いでひるまの大学に足を踏み入れる。
郊外の国立大学だけあって、キャンパスが広くいろんな建物がある。

正門を入って最初の角を左に曲がると、音楽堂と名付けられた芸術部用の
ホールがある。デッサン用の白く巨大なオブジェがいくつも設置されていた。
見慣れない風景に好奇心がかき立てられ、必要以上にきょろきょろしてしまった。

チェロを連れて移動するときは、ちょっとだけ旅行気分になれる。
自分以外のものを常にケアしなければならない責任感が、目に映る風景を
新鮮にしてくれる。それに、普段足が向かない土地にも行けるので、
それはそれでたのしい気分にさせてくれる。いつもと違う電車の路線も、
都内を縦横無尽に走るバスから見える街も、意外性がたっぷり詰まっている。

で、最近のわたしは毎週のようにチェロと旅にでる。
コイツは、無口で、頑丈で、誠実で、案外いい旅のみちづれである。




2001年11月24日(土)



 夜の密会

余裕のないいちにちだった。
カイシャを一日空けると、ことごとく内情が変わってしまうことが多い。
今朝パソコンの前に座ってから、ついさっきまで、私はとにかく働き続けた。
そして、吉祥寺に着いたら明日から三連休だったことを思い出す。
どうりで街はほろ酔い気分で明るいわけだ。

どっしりとした重量感のある疲労をしょって、自転車で夜道をかえる。
マンションの前に自転車を止めたとき、いきものの、ちいさな鳴き声を
いっぽ、足を引いて辺りを見回すと、私の足元からちょうど1メートル
くらい離れてシッポが丸くなっていた。

ミィヤァ、と、彼女はまた鳴いた。

私がここに住み始めたときから、この界隈で暮らす猫のひとり。
キジトラの模様だけど、ふさふさの毛とぼんぼんの尻尾を持っている。
だから、わたしは勝手にシッポと呼んでいた。

ひっそりと静まり返った住宅街で、私とシッポはふたり並んで夜空を見上げる。
私が少しでも動くと、彼女はぴくりと同じだけ動く。
だから、私たちはいつも一定の距離をたもっている。
ときどき、こうして夜の親密さを分かち合うのだけれど、私はまだ彼女に
触れたことはない。だけど、彼女は私のことを知っている気がするし、
私も彼女のことを知っている気がする。

ずいぶんと長いこと、夜空をみていた。
そして先に歩き出したのは、彼女のほうだった。
ミャァとちいさく鳴いて、彼女は私に背を向けた。

おやすみ
寒くなったから、気をつけるんだよ、と私は彼女の背中に言う。

ガラスの自動ドアの前に立つと、たちまち中の明るさに目がくらんだ。
しかし、シッポは本当に女の子なのだろうか。
確かめてみたことは、もちろん、まだない。




2001年11月23日(金)



 

午後の授業を終えた後、教授の部屋で購入したばかりの液晶フラットテレビで
スマップのDVDを観た。なんでかって?ふふふふ、なんででしょうね

実は腐れ縁のような付き合いをしつつ、レッキとした私の担当教授であるM先生(女性)は目下スマップに毒され中(重度)。正確に言えば、スマップの中居正広に
ぞっこんで、はたで見ていてもその病状は日々悪化する一方。

去年中居くんが出演していたあるドラマ(TBS系)にはまって、当時アメリカの
ニューヘブンに留学中だったにもかかわらず、日本からスマップのライブDVDを
取り寄せ、現地でDVD(本体)を即買いし、彼の姿を追い求める日々。
帰国後「ただいま」よりも先に「中居くんがねぇ〜」と熱烈に口説かれはや3ヶ月。
顔を合わせるたびに中居くん情報、彼に対する自分の症状を切々と訴えられるので、こっちまで感染したみたい。彼が出ているCMとか、やたら過敏に反応しちゃうもん。

で、M先生は本職から専門外である「中居正広分析」に熱を上げて、ばっしばし
原稿を書き上げる始末。ここまでくりゃ、ほんとうにすごいわ。
当然ファンクラブも加入済み。ドームコンサートも体験済み。
過去のDVDや写真集を集め、レコード会社の人ともトモダチになってスマップ
ポスター(非売品)をでかでかと研究室のドアに貼り付けています。
曰く「中居くんをみてるとしあわせなんだもーん(はぁと)」

まぁ、いい。こんな大学教授も世の中にはたくさんいるでしょう(やれやれ)。
で、ほんのお付き合い程度で見始めた去年のドーム・コンサートのDVD、
これがねぇ、よかったんですわ。メディアに露出度の高いスマップの面々ですが、
コンサートではまったくリラックスしている様子。あのクールな木村くんなんて、
テレビでみるより数段にこやかで表情がやわらかい。すっごく意外。

中居くんもねぇ、おもしろくて楽しい中居くんには変わりないんだけど、
彼ってよくみるとかっこいいのね。
M先生曰く「ギリシャ彫刻の少年みたいな横顔でしょ(はぁと)」
え、ええ、まぁ・・・。

それから今まで、ずーっとスマップの曲があたまの中をめぐっています。
永久に回り続けるリピートボタンを押されたみたい。
がんばってクープランのオルガン曲をかけているのですが・・・・
ああ、わたしまで発病しちゃうのかしら(汗汗)



2001年11月22日(木)



 神経の抜かれた歯

また「歯」です(苦笑)

左下の歯茎がずっと膿んでいて放置していたのですが、
詰め物をなおしたときに発見されちゃいました。
ということで覚悟を決めて通院中。今日はその初回の治療が始まりました。
この歯はずっと昔に神経を抜いてしまっていたので、膿んでいようが、
腫れていようが痛くない。神経がないんですもの、痛みの感じようもないのです。

昔の荒治療が今頃キバを向く(あああ、ヤブ医者め)。
ギュイーン、ガッガッガッ、とドリルで歯に穴を開けられ、詰め物をぜんぶ取られる。
そこに薬を入れて、簡易フタをする。その治療を膿が治るまで気長に続ける、
というわけです。はぁぁぁ

しかし、神経を抜かれたら痛みすら感じないって、少しせつないですね。
カラダや脳味噌の神経を抜いたら、おなじように痛みも苦しみも感じないのかしら。
でもそうすると、楽しさや嬉しさも感じられないのね、きっと。



2001年11月21日(水)



 マーケットの苺

メルボルンにいる友からメールが届いた。
南半球だから、向こうは夏の中心へずんずん近づいている頃かしら。

>僕は晴れた日は必ずビクトリアマーケットに行く事にしています。
>呼び込みの大きな声、いろとりどりのフルーツや野菜、
>それらを手にとって品定めする人達。
>その間チャイルドカードに置き去りの子供。
>マーケットには、命がたくさんあって、行くだけで元気になります。

そこで彼は美味しそうな赤い苺を買ったといいます。
向こうのワイルド・ストロベリーは甘くないことで有名というけれど、
思わず買った気持ち、わかるなぁ。
そとで売られる赤く美しい苺は、強烈な生命感をたたえているでことでしょう。
そこに惹かれてしまうんだよね(でも、きっと酸っぱかったはず)。

朝のマーケットには命がたくさんある。
うん、いいフレーズだ。

2001年11月16日(金)



 おとなもいいもんだ

「新宿で70〜80'sロックのいいライブを聞かせてくれるお店があるよ」
と友に誘われ、夜のきわどい喧噪にまみれた東口から歓楽街へ向かう。
ビルの5Fにあるライブハウスは意外に広く、そろいの赤シャツを着た店員が
迎え入れてくれた。

薄暗い店内の正面に大きなステージが設置され、赤いビニルのソファが
いかにもその時代のアメリカっぽい。照明が落とされ"Saturday Night Fever"
のねっちっこいイントロが始まると、客がぞろぞろとステージ前に出てくる。

へっ?と思ったのも束の間、彼(女)らは、軽快にステップを踏み出した。
よく見ると、いい年頃のおじさま、おばさまばかりである。
くねくねと腰をふり、ムーディな曲ではぴったりと体を寄せ合っている。
Wow!と私は口笛を吹きたくなってしまった。

最近ではジャズ喫茶も巷のクラブも、血の気の多い若者でごった返している。
もちろん、若さってのはすごいもんで、彼らのハツラツさは感動に値する。
でも大人はどこで遊んでいるんだろ、と少し不安にもなっていた。
ところがところが、ちゃーんと大人だってこうして楽しんでいるじゃないですか。

これはとても素敵なこと。こういう姿をみると、私は無性に嬉しくなる。
「ほら、大人だっていいもんでしょ」ともっと自慢して欲しいくらいに。

青臭い若造たちをシートに凍りつけさせて、大人たちは本当に楽しそうだった。
(実際、私は彼らの姿に圧倒されてしまい、身動きとれなかったのだよ)
よし、今度来たときには、いっちょおとなぶって踊ってみましょうかね。
実は、Earth Wind and Fireとか、なかなか好きだったりするのです。




2001年11月15日(木)



 おいおい

いっしょにオペラを観に行った友とひさびさに喋りたおす。
学生時代のことやら近況やら恋のハナシやら。

で、サロメの感想ついでに「恋とか愛とかってっさ、生きることの
原動力じゃない?」と言うとにっこりわらって「あー、よかった」と言われた。
んん?なにがよかったの?

「だってさ学生時代のアナタをみてたら、他人をよせつけず
ひとりで生きていけます!みたいな雰囲気あったもん」と言われた。
おいおい、それじゃアタシは鉄のオンナかい!?(がっくし)

まぁ彼女とは卒業してから急接近したので、学生時代はお互い
かすった程度の付き合いだった(頻度は高いが)。
でもそれなりに話たし、仲間うちで遊んだりもした(ハズ)。
へー、そんなふうに見えていたのかと興味深く思った。
「あと、なんかいつもつまんなさそうな顔してたよ」とも(以前だが)言われたっけ。
ちょっとぐさっときたけれど、他人から見るアタシってのも
あながち間違いではない(ハズ)。

他人の中で形成されるイメージって、やっぱりこわいですね(苦笑)





2001年11月11日(日)



 金曜の夜

ひさしぶりに部署の女性たちと飲んできた。
名付けて「ローカリ ふじんの会」(年齢層はぜんぜん20代です!)
たくさん食べて、飲んで、喋って、めずらしく週末っぽい夜を過ごした。

お化粧を落として着替えをしていると、携帯と自宅の電話が同時に鳴った。
「キチジョージで飲んでまーす。今から来ませんかぁ?」
とかわいい後輩くんたちの賑やかな声。
なんだか声を聞いているだけで嬉しくなってしまう。
せっかくだけど外は冷たい雨が降っているので「またこんどね」と電話を切った。

やっぱり夕食はみんなで食べるのがいいですね。
ひとり暮らしが長いと、そのありがたみ(有り難み)がよくわかります。





2001年11月10日(土)



 現実界の侵入劇!?

明け方に、ひどい夢をみた。

テレビの緊急テロップに、とても近しい人の名前が流れた。
ジャンボジェット機と、原爆の燃料を積んだヘリが衝突したという。
乗客名簿に名前があったのだ。

事故の数分前まで、私の携帯電話にその人から立て続けにメールが入った。
太平洋上から電波が届くなんて考えにくいが、たくさんの文字が打ち込まれていた。
嘘だ、と思った。

メールも、事故も、死も、すべてが嘘だと思った。
事実を知るには、落ち着きすぎていた。
でも私はみんなにこう伝えた。
「・・・は、死にました」と。

------------------

白んできた部屋で目を覚ましてからも、私は恐怖で動けなかった。
夢と現実の区別がうまくつかなくて、まず誰に電話をすればいいのかしらと
考えていた。死を、知らせなければ。怒りを、発せねば。涙を、流さなければ、と。

夢でよかった。
でも、夢の中に現実が侵入してくる日が、来ないとは限らない。
それが、生きていることの恐怖




2001年11月08日(木)



 十万円の白い前歯

詰め物が取れたので歯医者へ行った。
レントゲンを撮って、あーんと口を開けて中を見せた。

「この前歯を白い歯にする場合、保険の適用外になるので少しお金が
かかるのですが」とちゃぱつの歯科医はすまなさそうに言った。
「どれくらいでしょうか」と聞いてみると「八万円から十万円くらいですね」
と、ますます申し訳なさそうに言う。

口をぽかんと開いたまま絶句していると「取れた歯、あります?」と聞かれた。
私はポケットの中に手をつっこみ、ガムの包み紙にくるんだ歯を出す。
とりあえずこれが使えるようなので、磨いてはめこんでもらった。
千九百円也(ほっ。捨てなくてよかった)

わたしは子供のときから歯が弱い。
もうこれは遺伝的に致し方ない、とまで言われている。
前歯のない生活か、十万円を支払うか、と聞かれたら・・・
うーん、泣く泣く後者を選ぶかも。





2001年11月07日(水)



 オトコとオンナの習性

突然ですが、歯磨きをしながらテーブルを拭けますか?
わたしはできます。

寝っ転がったままでも、メールを書きながらでも、本を読みながらでも、
歯をみがけます。あのですね、とある統計によると、男性は歯を磨くとき
洗面台から離れず(ときには腰に手をあてて)一心不乱にごっしごしと
歯磨きに専念するそうです。対する女性は、歯を磨きながらテーブルも拭けるし、
(相手には失礼だけど)電話もできる。赤ちゃんのおむつだって替えられる
そうです(ちょっと危険)。

つまり、女性はつねに2、3のことを同時進行できる体質らしいのです
(右脳と左脳のもんだい、ともいう)。だから女性の話はよく飛ぶし
(彼女たちの思考はぽんぽんと吹き出る・・・観察すると実におもしろい)
男性より嘘をつくのがうまい。それは、複数の感情に瞬時に移動できるので、
嘘をつくことで感じる痛みをじょうずにすり替えられるからだそうです。
相手の痛み、じゃなくて自分の痛み、ってのもすごい。
おんなのひとって繊細なくせに・・・。

今夜は空気が澄んでいて(おもいっきり寒いけど)夜の輪郭がきれいです。
そろそろ東京タワーのネオンも消える頃だし、かーえろっと
(I'm still in a lab...)




2001年11月06日(火)



 シンクロナイズド

さっき、ひとの声が入った音楽が聴きたくなってCDをかけてみました。
耳にじゃまにならない人の声、ということで選ばれし者は、中谷美紀(てへっ)

彼女の声は澄みきった水のようなイメージがある。
あるいは、曲を書いている坂本龍一の手腕かもしれないけれど。
大地に雨が染み込んでゆくように、細胞に染みてゆく声、とでもいいましょうか。

そして中谷美紀と同じカテゴリに(勝手に)分類されるのが、
坂本龍一のムスメ、坂本美雨(みう)ちゃん。
あの特徴的な歌い方をする矢野晶子とのムスメだけあって、声質がすごく透明。
彼女も水系の歌声がする。冷たくない雨のような。

で、聴いていて今更ながら気付いてしまったのですが、
中谷美紀が歌う"all this time"と
坂本美雨が歌う"awakening"は、
まったく同じメロディを使っていたのですね。
旋律の美しさに気を取られて、歌詞のことなんてすっかり忘れていました。

どちらの歌もいいのですが、"awakening"の方は押韻しまくっているので、
響きがきれい。最後の一節が素敵なので、ちょっと紹介しちゃいます。

"The sky is smooth The day is wide, A day as safe as a home at night"
(空はしずかで、光はゆるやか。夜のおうちとおなじくらい、ひるまもおだやかでしょう)

・・・だから、安心して目覚めていいんだよ、ということなんでしょうかね。
ほんと、なんだかやっと眼を開けそうな気分です。





2001年11月05日(月)



 赤いポストをさがして

久しぶりにメールではなく手紙を書いた。
さて投函しよう、と白い封筒を手にポストを探す。
が、ぜんぜん見つからない。あれっ、ポストってこんなに少なかったっけ?

きょろきょろしながら、かなりの距離を歩いたところに、小さな郵便局を発見。
そしてもちろん赤いポストも。ほっとして近づくと、なにやら仰々しい張り紙が。
「最近の炭疽菌等の事件を受けて(中略)小麦粉等の白い粉末を郵便物として
差し出される場合〜」えっっ!白い粉の例が小麦粉かい、と思わずのけぞってしまった。

いくらなんでも小麦粉は封書で投函しないだろう。もう少しマシな例は
なかったのか、と考えてみる。砂糖、塩、ベーキングパウダーなど
調味料系は多い。あとは洗剤、粉のファンデーション、こな薬。
うーん、こうしてみると、どれも封書では(常識的な人間なら)送らない
ものばかりだ。とすると、「白い粉」の代表的なものなら何でもよかったのね、
と少しがっかり。

何はともあれ、私が投函した手紙も、何かの事件に巻き込まれることなく
相手に届いて欲しい。まったく、誰かに文句を言ったところで何の解決にも
ならないのが哀しい。



2001年11月04日(日)



 ムシャノコウジサネアツ的日記?

なつかしい旧友から、ぽこっとメールが届いた。
で、ある箇所まで読みすすめて、声をあげて笑ってしまった。

>ところで君の日記、所々シリアスで頭が痛くなる。武者小路実篤のよう。
>もっとラブリーな路線が個人的にはいい。
>例えば、「お天気予報/あなたの街を最初に見ます/今日は暖かくなりそうですね」
>みたいなイメージのが断然いい。

私は武者小路さんには詳しくないので、どれほど近しい文章なのかは不明だが
「お天気予報/あなたの街を最初に見ます/今日は暖かくなりそうですね」
には確かに程遠い。

ごめんね。巷にはラブリー系の日記サイトもいっぱいあるから、
そっちで楽しんでねん(うふっ)なんて言ってみるが、私にはちゃーんとわかっている。
彼は、私がそんなラブラブした文章を敢えて露出しないタチだということを
知っていることも、私は知っている。(えいっ、ややこしい日本語だわ。
つまり入れ子的にわかっている、ってこと)ま、昔なじみと友、ってのは
そこんとこを、よーくわきまえて、理解してるもんなんです。
だよね?

「天気予報、私の住む街をみる、明日の朝晩は雨、日中はやっと晴れるらしい」
さて、洗濯でもしましょうかね。




2001年11月03日(土)



 再生不能性/可能性

髪を切った。
のだが、みごと、誰も気付いてくれなかった(ははは)

鏡の前に座るまでは「首筋が見えるくらい、短く切りそろえよう」
と決意していたのに、結局、長さは変えずに髪の量を少なくしてもらった。
ので、見た目はほとんど変わっていない。
それでも、わずかにアタマが軽くなったようで、気分はいい。

話は変わるが、先日、食後にキシリトールのガム(新しく出たピンク色の
パッケージのやつだ)を噛んでいたら、歯の詰め物がぽろりと取れた。
ガムで虫歯予防は嬉しいが、詰め物くらいそっとしておいて欲しかった。

人体のうちで再生するのは、髪(体毛)、爪、皮膚、若いうちは骨も伸びるという。
しかし、歯はいったん乳歯から永久歯に生えかわると、二度と再生してくれない。
うーん、ぽろりと落ちた歯もにゅるんと何度でも生えかわってくれるといいのに。
まったく、人間のカラダって複雑な上に不便だこと。





2001年11月01日(木)
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