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2004年03月25日(木)   アリソン3<上> ルトニを車窓から/時雨沢恵一

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巨大な大陸が一つあるだけの世界。その大陸は中央にある山脈と大河で、二つの連邦に分けられている。その東側の連邦に暮らす、学生ヴィルと軍人アリソンは、二人とも17歳。長く続いていた戦争は表面上終わり、二つの連邦をつなぐ大陸横断鉄道が開通する事に――。友人であり、西側軍人であるベネディクトにチケットを貰い、その列車に乗り込んだヴィルとアリソン。ちょっと戸惑いながらも豪華な列車旅行を楽しむヴィルとアリソンだったが、次々に乗務員が殺されて……!?(表紙折り返しより)
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年1発行のアリソンシリーズの完結編。
序章の前・a という章があるんですが、そこがすでに本章のネタバレでは?というような内容。でも、そこまでの過程が知りたくて読んでしますわけですけど。
とにかく下巻が楽しみです。



「”自分たちが不幸だ”とは思ったことがないんです……。(略)」
「わたしもよ。不幸ではなかったし、今も不幸ではないわ」
「”不幸”ってなんでしょう?」
「どうにも……、よく分からないわ」
「僕にもです」


時雨沢恵一:アリソン3<上> ルトニを車窓から,p.97,メディアワークス.












2004年03月19日(金)   ユルユルカ 薬屋探偵妖綺談/高里椎奈

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「その短い命、残らず山百合に奪われて、今すぐここで果てるが良い」。呪いの言葉は、自らの未来を縛る足枷となる。好きなのに好きと言えない。傍に居てほしいのに突き放す。裏切られることに怯えるあまり、かけがえのない人を先に裏切ってしまう。そして、同じ心を持つ少年がここにも一人。(裏表紙より)
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久々の薬屋さん第11弾。
前作で色が入ってなく、次は灰色と予想していたのですが、また色なしでした。
今回はかなり秋、秋、秋、と畳み掛けられるくらいに秋のお話(だと私は感じました)。
彼のマジック、想像して指を鳴らすだけで遠く離れた場所の携帯電話が手元に現れる、にびっくり。
彼のエネルギー源、光(日光ではなく月光)と香り(香り煙草)、に納得。
わざと相手を騙して賭けに負けたふりをするのも、冗談めかして素顔を隠すのも、厳しい言葉の裏のやさしさも、長い長い時間を人間の隣で生きてきた妖の彼だからかなと。
今まで座木さんがすきだったのですが、もう断然秋。
でも、座木さんのとぼけたとこには、にまにましてしまいますが。
次こそ灰色かな。



「過去への依存が、全ての人間にとって完全に無駄だとは言いませんが(略)結果は、未来にある時は目標です。手を抜くなど己への裏切りでしかない。そんな人に『頑張れ』なんて馬鹿げてます」
「使う相手を選べと?」
「いいえ。言葉が使い手を選ぶんです」


高里椎奈:ユルユルカ 薬屋探偵妖綺談,p.106,講談社.












2004年03月01日(月)   零崎双識の人間試験/西尾維新

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「零崎一賊」――それは“殺し名”の第三位に列せられる殺人鬼の一族。
その長兄にして切り込み隊長“二十人目の地獄”にして奇怪な大鋏“自殺志願(マインドレンデル)”の使い手、零崎双識が赴いた行方不明の弟さがしの旅は、未曾有の闘争劇の幕開けだった!(裏表紙より)
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いーちゃんが主人公の戯言シリーズの外伝的お話ですが、本編以上においしいかも。
掛けても割ってもゼロにしかならない、零。だから零崎。くぅ。
早蕨の兄妹もよいです。プライドとかジレンマとかエロスとかね。妄想が膨らみますよ。
これまで以上に戯言にはまりそうです。
作中、かなりサクサクと人が殺されていくのですが、特に残虐だとか凄惨だとかは感じませんでした。文章が軽い(いい意味ですよ)からかな。
私の好きな哀川さんもラストでちょびっとゲスト出演してますし、哀川さんが殺し名を超える請負人だってことがわかってにこにこです。
疑問がひとつ。零崎一賊のになった無桐伊織ちゃん、零崎舞織って改名したんですかね?
えと追加。
このノベルス、300ページないのに¥1300もします。なぜかって…、CD-ROM付き。このノベルスのイラストをカラァで、ご自宅のPCで楽しめます。なので、現在私のPCのデスクトップは兄さまと鋏。



「てめえら、全員――」(略)
「――最悪、だ」

その言葉に、双識が両肩を揺らす。
その言葉に、伊織が両腕を挙げる。
その言葉に、人識が両手を広げる。
そして声を揃えて、笑顔で答えた。
「知ってるよ」


西尾維新:零崎双識の人間試験,p.274,講談社.















ゆそか