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2002年08月31日(土)   メタルバード 2 ≪コズミック・フラワー始末記≫/若木未生


いやぁ、おもしろいんですがね、段々この方の書く文章のノリについていけなくなってきました。(って前にも書いたけど)
某バンドのシリーズものは読めるんですけどね…。年?
って言うか、このシリーズは対象読者層をどのくらいに想定してるんだろ。ハイティーンくらいか…。



「責任の所在ってどこかな」(略)
「――強いて言うなら、みんな星とロマンのせいじゃないかな。(後略)」


若木未生:メタルバード 2 ≪コズミック・フラワー始末記≫,p.23,徳間書店.



2002年08月30日(金)   チグリスとユーフラテス 上下/新井素子


久々にSF読みましたが、これぞSF!大当たりの作品。さすがSF大賞受賞作。文庫化待ってるの忘れてなくてよかったよかった。氏の作品10年以上(年が…)前に読んだっきりだったのですが、相変わらずの体言止めの文章と女の子な雰囲気の文章。懐かし。
ストーリィは、遠い未来。惑星ナインへ移住した人類は、人工子宮を用いて人類を増やし続けた。しかし、ある時から、人類の生殖能力は減退していく。そして"最後の子供"ルナが誕生する。ついにひとりとなってしまったルナは、コールド・スリープで永い眠りについていた人間を起こし始める。上巻は、眠りから覚めさせられた3人の女性によって、ルナが生まれるまでの惑星ナインの歴史が語られる。下巻では、ルナはついに"ナインの女神"とされ4世紀の昔にコールド・スリープについたレイディ・アカリを起こす。ルナは"最後の子供"となる不幸を予想しながら、なぜ母親は自分を生んだのか、レイディ・アカリに問う。
この話、本当におもしろいです。でもすごく怖くもある。"最後の子供"が決して生まれないとは言い切れないということ、人工子宮の存在、生殖能力のある人間が特権階級となる社会。怖いです。私の生きている社会がこんな社会じゃなくてよかった、と思ってしまいました。読み易いだけに、淡々と怖いというか、この世界と膜一枚くらいしか隔たっていないような気すらしました。そういう環境的なものも怖いのですが、覚醒させられてしまった、マリア、ダイアナ、トモミ、アカリ、起こさなければ自分が保てなかったルナの心境を考えると…。絶望ですよね。
生も死も否定しつつ、それでも受容し、生への希望を捨てない。いい本を読みました。(涙)



「悲惨であろうがなかろうが、人生は生きるに値する(後略)」(略)
「所詮人生は"勝ち負け"だから。勝ちの人生をおくらなければ嘘だ。損か得かで言えば、勝ちの人生を求めなければ損だ。(後略)」(下巻p.356-357)


新井素子:チグリスとユーフラテス 上下,集英社.



2002年08月22日(木)   DIVE!!4 コンクリート・ドラゴン/森絵都


シリーズ最終巻です。
飛び込みにかける要一、飛沫、知季。シドニーオリンピックの代表選手の枠はひとつ、選手になるためには、この大会で600点以上の成績を出さなければいけない。そして、彼らの属するMDCを存続させるためにも、3人の誰かが代表選手とならなければならない。それぞれの想いを抱えつつ、彼らは10回のダイブにかける。
ビバ!スポ根!
よいですね、若い方々が何かやりたいことを見つけているというのは。なかなかやりたいこと、夢中になれることなんて見つけられませから。
このシリーズを読むと、ダイビングに興味をもつこと間違いなし。普段簡単に観ることのできない競技だけに、TVでやっていると齧りついてしまいます。美しい競技です。バランスと筋力と集中力、精神力。どれかひとつが欠けていても、演技には出てしまうんでしょうね、きっと。



そう、おれがめざすのは優勝でも、オリンピックでもなかった。
この世界の、この時代の、この毎日の至るところに存在する見えない枠を越えること。
越えて、自分にしか見ることのできない風景をつかむこと。


森絵都:DIVE!!4 コンクリート・ドラゴン,p.215-216,講談社.
 



2002年08月21日(水)   キノの旅�� the Beautiful World/時雨沢恵一


相変わらずシュール。世界も人々も、少し怖くとても美しい。
道理過ぎれば道理ひっこむ、何でもいき過ぎやり過ぎはいけませんね。
�困砲蓮崙�れない国 Reasonable」「中立な話 All Alone」「戦車の話 Life Gos On.」「誓い・b A Kitchen Knife・b」「彼女の旅 Chances」「彼女の旅 Love and Bullets」「花火の国 Fire at Will!」「長のいる国 I Need You.」「忘れない国 Not Again」「安全な国 For His Safety」「旅の途中 Intermission」「祝福のつもり How Much Do I Pay For?」「誓い・a A Kitchen Knife・a」の13の短編が収録。
住んでみたいのは「花火の国」、これって某東アジアの島国のこと?(つまり今住んでる)ってのは「長のいる国」「安全な国」。



「人間は忘れることができるから素晴らしい、って考え方もある」(略)
「どゆこと?」
「つまりね、いやなこと、辛いことを忘れることができるから、絶望しすぎないで前向きに生きていけるって考え方」
「ああ、なるほどね」
「まあ、それも人によりけりだけれど。覚えておいた方がいいこともあると思う」(「忘れない国」 Not Again)


時雨沢恵一:キノの旅�� the Beautiful World,p.104,メディアワークス.



2002年08月20日(火)   黒白の絆 封殺鬼シリーズ24/霜島ケイ


約1年ぶりの新刊です。
自分の想いに決着をつけることのできた人、さらに泥沼に嵌っていってしまった人、悲喜交々。
鬼よりも妖魔よりもヒトの狂気が一番怖いですね。



「狂っている、か?」(略)
「そうかもしれないね。だが私はこうなって初めて、自分が本当に生きていることを実感しているんだよ」


霜島ケイ:黒白の絆 封殺鬼シリーズ24,p.237-238,小学館.



2002年08月18日(日)   コズミック 世紀末探偵神話/清涼院流水


やっと読み終わりました。この忙しいときにこんなのに手をつけて…と自分でも思ってはいたのですが、無駄でした。手をつけたら読了せずにはいられない種類の本でした。つまりおもしろかったってことですけど。
まさにエンタテイメント。これをミステリとか探偵ものとかと分類することはできませんね。それを期待して読むと、ちょっと違うかもしれません。
「今年、1200の密室で、1200人が殺される」という密室卿からの予告を皮切りに、1日最低三人の殺人が日本全国で続く。状況は全て密室、被害者は全て一瞬のうちに首を切断され、背中には"密室"の文字。1億2千万人が被害者にも容疑者にもなりうる。
名探偵集団JDC(日本探偵倶楽部)の探偵たちは、この事件を解決できるのか。
という内容。これだけでも、胡散臭い(ごめんなさい)内容だと思いますよね。でも、エンタテイメントだからOKなのです。様々な密室のパタンに驚き、探偵さんたちの妙な推理方法に驚き、そして結末に素直に驚きましょう。



「(略)――謎などありませんよ、あるのは論理的な解決だけです」


清涼院流水:コズミック 世紀末探偵神話,p.610,講談社.



2002年08月16日(金)   エミリー Emily/獄本野ばら


やはり野ばらさまのお話は乙女必読の書です。
帯にまで、「乙女の魂を持つ者だけが理解できる」なんて書いてありますし、自称ヲトメ志望(笑)の私としては読まないわけにはいきません。
野ばらさまの本を読むと、「世界ってなんて残酷で美しいのでせう」と呟きたくなります。この乙女な口調がポイント。
野ばらさまの普段の生活って、いったいどんなんでしょう。やはりブランド(特にVivienne WestwoodやCOMME des GARCONS)を着てらっしゃるのでしょうか。
この本には「レディメイド readymade」「コルセット corset」「エミリー emily」が収録されていますが、どれもゴシックな乙女話。ちょっとだけでもトリップしたい時によいです。



「(前略)人は誰もが今も昔も、コルセットをつけて生きているんですよね。常識とか倫理とか体裁とかいろんなものに拘束されながら生きているんですよね。何かに拘束されるということが、生きるということなんですよね。(後略)」(「コルセット corset」)


獄本野ばら:エミリー Emily,p.77,集英社.



2002年08月15日(木)   失踪HOLIDAY/乙一


ステキです、乙一氏。
ホラァやミステリだけじゃないんですよね、この魅力は。だけどどの作品にも微かにミステリ風味だったりして、よいです。
この本には、「しあわせは子猫のかたち HAPPINESS IS A WARM KITTY」と「失踪HOLIDAY しっそう×ホリディ」が収録。



わたしは殺されたけど、この世界が好きだよ。どうしようもないくらい、愛している。だからきみに、この世界を嫌いになってほしくない。(略)
際限なく広がるこの美しい世界の、きみだってその一部なんだ。わたしが心から好きになったものの一つじゃないか。(「しあわせは子猫のかたち HAPPINESS IS A WARM KITTY」)


乙一:失踪HOLIDAY,p.84-85,角川文庫.



2002年08月12日(月)   千年王子/長野まゆみ


1年に1回くらい、長野氏の本が読みたくなるんですよね。
たぶんストーリィの1/5も把握しきれていないと思うのですが…。(だって、長野氏の作品って、その独特の世界観を掴むのが難しいんだもん)
長野氏って、少年の曖昧さみたいなのをよく描かれますが、今回のお話はその少年という性別さえも曖昧。輪郭の定まらない不思議なかんじでした。



「……忘れられても、忘れない。本来はそれでいいはずぢゃないか。(中略)生きていてほしいと希むのは、そういうことだろう。(後略)」


長野まゆみ:千年王子,p.159,河出書房新社.



2002年08月09日(金)   天帝妖狐/乙一


私の中で密かにブームをおこしている、乙一氏。やっぱり凄いです。
ホラーかと思いきや、伏線がガンガン張られたミステリ、しかもこの淡々とした文章。癖になります。
この本は、「A MASKED BALL 及びトイレのタバコさんの出現と消失」と、表題作「天帝妖狐」が収録。「A MASKED BALL」は学校のトイレの落書きに始まる事件、「天帝妖狐」素顔を見せない青年・夜木と杏子の交流を描いている。
淡々としているから怖い。なのに、その怖さが哀しくもあったり…。
「A MASKED BALL」、短編も含めた乙一氏の作品の中で、裏ナンバ1かもしれません。
「ラクガキスルベカラズ」というトイレの落書き。自己矛盾なこの落書きから始まる、お互いを知らない五人のトイレ利用者のやりとり。
トイレの落書きというお互いの落書きを書き込むタイムラグ、匿名性が高いことを利用した話題・お互いへの意見。なんだかオンラインの掲示板のような感じ。それよりちょっとレトロで、アナログですが。
結局、"K.E."と"2C金髪"くん××で、"V3"って○○で、カタカナのあいつはあの人だったってことですよね。



私は永遠の命を願い、家族を悲しませ、人を傷つけた愚かな子供でありました。(略)
もし私が人間であったなら、ずっとあなたのそばにいたかった。さようなら、ありがとう、私に触れてくれた人。(「天帝妖狐」)


乙一:天帝妖狐,p.242,集英社.



2002年08月05日(月)   犬神奇談/椹野道流





「おいで、シロ!君の悲しみは、みんな僕が持っていくから!」


椹野道流:犬神奇談,p.288,講談社.



2002年08月03日(土)   奥様はネットワーカ Wife at Network/森博嗣


確かにポエティカルでフーガな世界。
人って、結局、いろいろなことを他者に隠しているし、いろいろなことを自分で勝手に解釈している。しかし、自分と他者が理解し合って生活していると思い込みたい(思い込んでいる)ものなのですね。
それを摩擦、と言うのでしょうか。



「人と人との結びつきなんて、本当に弱いと思う。蜘蛛の糸みたいに細くって、それに気づくのは、糸を切ったとき。だから気づいたときには、必ず手遅れになる。(後略)」


森博嗣:奥様はネットワーカ Wife at Network ,p.219,メディアファクトリー.



2002年08月02日(金)   君の夢 僕の思考 You will dream while I think /森博嗣





(前略)本人の評価が最も重要である。他のものは、すべてゴミだと思っても良い。


森博嗣:君の夢 僕の思考 You will dream while I think ,p.75,PHP研究所.






ゆそか