今日の日経を題材に法律問題をコメント

2015年12月28日(月)

 日経(H27.12.28)社会面で、全国の小中学校で、組み体操による児童生徒の都道府県別負傷率についての記事が載っていた。


 その調査によると、2012年度と2013年度に組体操のケガで医療費の給付があった全国の件数は1万6711件、うち骨折は4334件であったそうである。


 とくに都市部での事故数が多い結果になっており、この点について調査した大阪経済大の西山教授は「大型ピラミッドなどに取り組むマンモス校が多いのではないか」と述べている。


 都市部で事故が目立つことと大型ピラミッドとの関係はもう少し精査する必要があると思うが、大型ピラミッドが危険であることは周知の事実である。


 学校事故では、大型ピラミッドの問題だけでなく、プールの飛び込み事故など、注意すれば防げるケースも多いのに、危険性に対する教員の認識が不十分なために事故を招いていることが多いように思われる。


 学校側には、「できる限り生徒の安全にかかわる事故の危険性を具体的に予見し、その予見に基づいて当該事故の発生を未然に防止する措置を執り、生徒を保護すべき注意義務を負う」のであるから(最高裁H18.3.13判決)、少なくとも、大型ピラミッドについては直ちに中止すべきであろうと思う。



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弁護士 土居範行




2015年12月25日(金) 高浜原発 異議審で差し止め取り消し

 日経(H27.12.25)1面で、関西電力高浜原子力発電所をめぐり、福井地裁は、再稼働の差し止めを命じた同地裁の4月の仮処分決定を取り消したと報じていた。


 4月の仮処分決定では、裁判所は「新規制基準は緩やかすぎ合理性を欠く」として差し止めを命じていた。


 確かに、最高裁は伊方原発訴訟において「現在の科学技術水準に照らして、安全基準に不合理な点がある場合には行政庁の判断は違法になる」という基準を示している。


 しかし、科学技術の知識がない裁判官が、にわか勉強で、「現在の科学技術水準に照らして、安全基準に不合理」と判断することはなかなか難しい。


 現に、差止を命じた仮処分決定について、科学的知識の誤解を指摘されている。


 それゆえ、異議審で「新規制基準は合理性がある」と判断したとしても、それはやむを得ないことであると思う。



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弁護士 土居範行




2015年12月24日(木) 国立市のマンション問題で国立市元市長に3100万円の賠償命令

 日経(H27.12.24)社会面で、東京都国立市が、マンション建設をめぐる過去の訴訟で敗訴したのは上原元市長の責任だとして約3100万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京高裁は、請求を認めなかった一審判決を取り消し、元市長に全額の支払いを命じたと報じていた。


 記事は簡単な内容であるが、この訴訟はかなり複雑な経緯をたどっている。


 もともとは、明和地所が国立市にマンション建設を計画し、工事を開始した後に、国立市が高さ制限をする地区計画を制定したことが問題になった。


 そのため、明和地所が、国立市に対し、営業を妨害されたとして損害賠償と地区計画の無効を求めた訴訟を提起し、東京高裁は、条例は有効としたが、国立市の行為は営業妨害にあたるとして、2500万円の請求を命じた。


 判決を受けて、国立市は、2500万円に遅延損害金を付加した約3100万円を明和地所に支払ったが、明和地所は、同額を国立市に寄付したため、国立市の損害は計算上はないことになった。


 ところが、国立市民4人が、明和地所に支払った損害賠償金と同額を、国立市が上原元市長個人に対して請求するよう住民訴訟を起こし、東京地裁はこれを認め、判決は確定した。


 この判決を受け、国立市は、上原元市長に対して支払いを請求したが、上原元市長が支払いを拒否したことから、上原元市長に対し3100万円の請求を求める訴訟を東京地方裁判所に起こした。


 なお、国立市の議会は、国立市の上原元市長に対する請求権を放棄する旨の議決をした。

 
 上記訴訟で、東京地裁は、明和地所の国立市に対する寄附によって国立市の財政における計算上は損失がないともいえること、国立市議会が上原元市長への請求権を放棄する旨の決議をしていることなどを理由に、国立市が上原元市長に対して請求することは信義則に反して許されないとした。


 上記の理由に加え、個人に対し3100万円もの請求を認めるのは酷であるとの判断があったものと思われる。


 ただ、法理論的には東京地裁の結論はなかなか難しく、本来であれば国立市の請求は認められるべきであろう。


 それゆえ、東京高裁が、一審判決を破棄して、請求を全額認めたことはやむを得ない。


 上原元市長は上告するとのことであるが、結論が変わることはないと思われる。


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弁護士 土居範行




2015年12月22日(火) 起訴猶予と嫌疑不十分

 日経(H27.12.22)社会面で、京都地検が、出会い系サイトの掲示板で売春に関する言葉を伏せ字にして買春客の勧誘を助けたとして、売春防止法違反のほう助容疑で逮捕された掲示板の運営会社の元社長ら3人を起訴猶予処分にしたという記事が載っていた。


 地検は「ほう助の犯意が強くなく、反省していることも考慮した」としているそうである。


 起訴猶予とは、犯罪の疑いが十分にあるが、被疑者の反省などの特別な事情に配慮して検察が起訴しない場合になされる処分である。


 しかし、もともとほう助行為は非常に広い概念で、犯罪の成立範囲があいまいになりがちであるのに、その犯意が強くなかったというのであれば、起訴しても公判維持ができなかったのではないか(有罪にならない)と思われる。


 地検も、そのような判断をしたから起訴しなかったのであろう。


 そうであれば、起訴猶予ではなく、証拠が不十分なときに適用される、「嫌疑不十分」とすべきではなかったか。


 検察庁は、本来は嫌疑不十分であるのに、安易に起訴猶予処分する傾向があると言われている。


 不起訴という結論は同じであるが、被疑者とされた側にとっては迷惑な話かもしれない。



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2015年12月21日(月) ドライブレコーダーの有用性とプライバシー保護

 日経(H27.12.21)社会面で、ドライブレコーダーを事件や事故の捜査に活用する動きが広がっているという記事が載っていた。


 ドライブレコーダーは、タクシーやトラックなどを中心に年々普及しており、交通事故の瞬間も記録するので、過失の有無や、過失割合の判断に極めて有用である。


 それだけでなく、刑事事件の容疑者などが映っていたりして有力な証拠になることもある。


 そのため、警視庁は東京都トラック協会など4団体と協定を結び、都内の約8万台から映像の提供を受けられる体制を整えているようである。


 確かに、ドライブレコーダーは事故の調査や犯罪捜査に極めて有用であり、今後も大いに活用すべきと思う。

 
 ただ、レコーダーには事件と関係のない映像も含まれている。


 それゆえ、プライバシーの保護の視点も常に持ち続け、映像提供の要件を明確化しておく必要があると思う。



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2015年12月18日(金) 産経新聞前ソウル支局長に無罪判決

 日経(H27.12.18)社会面で、韓国の朴槿恵大統領の名誉を傷つける記事を書いたとして在宅起訴された産経新聞の前ソウル支局長について、ソウル中央地裁は無罪を言い渡したと報じていた。


 ところで、この判決の冒頭、裁判長は、韓国外務省から提出されたという「日韓関係改善の流れを鑑み、日本側の意向に配慮してほしい」という要請文を読み上げたそうである。


 韓国の刑事訴訟制度は知らないので、推測になるが、裁判官が読み上げた行為は、訴訟法上は、何の意味もない行為になると思われる。


 そのような訴訟法上無意味な行為を裁判官がなぜしたのかは不明であり、よく分からないというしかない。



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2015年12月17日(木) 再婚禁止規定についての最高裁判決の問題

 日経(H27.12.17)1面で、女性の再婚禁止期間を定める民法の規定が憲法違反か否かが争われた訴訟で、最高裁大法廷は、「6か月の再婚禁止期間を定めた規定は100日を超える限度で違憲」と判断したと報じていた。(なお、同日、初夫婦別姓を認めない規定は合憲とした。)


 民法772条1項2項により、婚姻成立の日から200日後、または離婚から300日以内に生まれた子は、夫の子と推定される。


 この規定により、離婚直後に再婚し、例えば250日後に子どもが生まれた場合、「前夫との婚姻の解消の日から300日以内」の生まれた子なので前夫の子と推定されると同時に、「婚姻成立の日から200日後」に生まれた子どもなので後夫の子とも推定され、いずれの子か不明になってしまう。


 そのため、一定期間の再婚禁止を定め、いずれの子かが不明になることを避けているというのが再婚禁止期間を設けている趣旨である。


 しかし、100日間だけ再婚を禁止すれば推定の重複は起こらないので、6か月間も再婚を禁止する必要はない。


 このような理由から、最高裁は、「再婚禁止期間について100日を超える部分は違憲」とするとともに、100日までの再婚禁止期間は「父子関係を早く確定して、子の法的な身分を安定することは必要であり合憲」と判断した。


 確かに、100日間の再婚禁止期間を設ければ、推定の重複は解消され、いずれの夫の子どもかが分からなくなるという事態はなくなる。


 しかしこの場合、女性が離婚し、100日間の再婚禁止期間後に結婚して、それから200日以内に生まれた場合には、前の夫の子と推定されるのである。


 しかし、これは事実と合致しているのだろうか。


 生まれてきた子は、後夫の子であることがほとんどではないだろうか。


 つまり、再婚禁止期間を設けて推定の重複を避け、父子関係を早く確定させたとしても、それは前夫の子と推定されるのであるから、子の利益にはなっていない。


 最高裁の判決(多数意見)は、かかる視点が一切抜けているように思われる。



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2015年12月16日(水) 「爆発物」とは

 日経(H27.12.16)社会面で、靖国神社内の公衆トイレで爆発音がした事件で、トイレで見つかった金属製パイプから黒色火薬の成分が検出され、警視庁は、建造物侵入容疑で逮捕した容疑者が時限式発火装置を仕掛けたとみて、火薬類取締法違反容疑を視野に捜査していると報じていた。


 「爆発音」「金属製パイプ」ということからすれば、爆発物取締罰則の適用も考えられるところである。
(爆発物取締罰則は、死刑または無期懲役、若しくは7年以上の懲役または禁錮となっており、非常に罪が重い。)


 しかし、爆発物取締罰則を適用するためには「爆発物」を使用した場合でなければならない。


 「爆発物」の意義について最高裁は、「理化学上の爆発現象を惹起するような不安定な平衡状態において、薬品その他の資材が結合する物体であって、その爆発作用そのものによって公共の安全をみだし又は人の身体財産を害するに足りる破壊力を有するものをいう」としている。


 何だかよくわかないが、例えば、密閉した容器に火薬を入れて爆発させ、容器内で急速に高圧を生じさせて容器を破裂させるような現象を起こさせるものが「爆発物」にあたる。


 逆に言えば、爆発性能がかなり弱く、その爆発作用そのものによって、公共の安全をみだすには足りず、また、人の身体財産に対し極めて軽徴な損傷を与える程度に過ぎない場合には、『爆発物』とはいえない。


 例えば、ラムネ瓶にカーバイドを詰めこれに水数十グラムを注入し、これを倒して投擲する、いわゆるラムネ弾について、最高裁は「爆発物に該当しない」と判断している。(その事案限りの判断ではあるが)

 
 カーバイドと水を化合させるとアセチレンガスが急激かつ多量に発生する。一方、ラムネ瓶を倒すことによりラムネ玉が瓶の口に詰まって密閉され、瓶内で噴出が続けるガスの圧力が急上昇する。そして、ラムネ瓶が爆音を伴なって破り、破片を飛散させるものである。


 しかし、威力としてはかなり弱く、これを「爆発物」と認定することはできないであろう。


 冒頭の靖国神社の爆発事件で、警視庁が爆発物取締罰則の適用を考えていないのは、その威力は相当程度低く、到底「爆発物」と言えるものではなかったためと思われる。


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2015年12月15日(火) セーラー万年筆代表取締役を解任

 日経(H27.12.15)企業総合面で、セーラー万年筆の中島義雄代表取締役が解職されたことに関し、中島氏は決議は無効であると主張し、東京地方裁判所に決議無効の仮処分を申し立てたと報じていた。


 中島氏は大蔵省主計局次長を務めたエリートであったが、過剰接待を受けたことが問題となり辞任し、京セラの幹部や船井電機の副社長を務めた後、業績不振のセーラーに入社したという異色の経歴を持っている。


 セーラーの業績は07年12月期から8期連続の赤字だったが、今期は8000万円の黒字を見込んでいる。


 また、文具市場は縮小することが予想される中で、中島氏は新規事業を推進しており、不合理な経営をしているとは思えない。


 しかし、代表取締役の選任、解任は取締役会の決議事項である。


 それゆえ、どれだけ業績を上げたとしても、取締役会で解任されれば、それは法的には有効である。


 もちろん、手続きに瑕疵があれば無効になることはあるが、それは考えられないだろう。


 記事では、「今後法廷闘争に移る可能性が高いが、中島氏側も現経営陣側も強気の姿勢を崩しておらず、争いが長期化する懸念もある。」としていた。


 しかし、裁判では、さほどの時間を置かず中島氏の言い分が却下され、あっさり決着がつくのではないだろうか。



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2015年12月10日(木) 考査委員は法科大学院の現役教員から選任すべきでない

 日経(H27.12.10)夕刊で、司法試験の問題を教え子に漏らしたとして、国家公務員法(守秘義務)違反の罪に問われた明治大法科大学院の元教授、青柳被告の初公判があり、同被告は起訴内容を認めたと報じていた。


 この事件を受け、法務省は再発防止策を検討中であり、取りあえず法科大学院の現役教員を考査委員から外している。


 しかし、17年度以降も委員から外すかどうかについて賛否が分かれているそうである。


 理由は、「憲法など学術的に専門性の高い分野は、検事や弁護士など実務家だけでは問題作成が難しい」との声が強いからだそうである。


 しかし、どのような問題であっても受験する側の実力の差は出るものである。


 それゆえ、学術的な問題に拘ることなく、実務家が作成して、基本的な問題を出題すればいいのではないだろうか。


 そうでなければ、東京の受験生は考査委員から直接指導してもらってという事実だけで、地方の受験生にとって何ともいえない気持ちになると思う。



2015年12月09日(水) 手続きの適正さを重視すべき

 日経(H27.12.9)社会面で、真宗大谷派(本山・東本願寺)が、対立する本願寺文化興隆財団に対し、財団の財産に関する定款変更の無効確認を求めた訴訟で、最高裁は、変更を無効とした大阪高裁判決を破棄し、変更は有効と判断したという記事が載っていた。


 大阪高裁は「財団法人の本質は設立者の意思の実現であるから、財団法人の寄附行為の変更においては,当該法人の同一性を失わせるような根本的事項の変更は許されない。」という理由で、定款変更を無効とした。


 これに対し、最高裁は、定款変更は法律上当然に予定されているから、「同一性を失わせるような根本的事項の変更に当たるか否かにかかわらず、その定款を変更することができる」としたものである。


 この訴訟は、「お東紛争」と呼ばれる40年以上続く対立の中での訴訟である。


 最高裁は、本願寺文化興隆財団の言い分を認めたわけだが、当然のことながら、本願寺文化興隆財団に正義がありとまで認めたわけではない。


 本件のような、いわば団体内部の紛争では、いずれの考え方が正しいかが判断されることは少なく、手続きが適正であったかどうかなどで決着がつくことがほとんどである。


 本件訴訟も、定款変更ができるかどうかという手続面で判断されているので、その一事例ということが言える。


 言い換えれば、団体内部の紛争(会社内での紛争を含む)では、自分側にいかに正義があるかを強調する以上に、手続きを適正にすることに気を使うべきということになる。



2015年12月08日(火) 彫り師が無罪を訴えて法廷闘争

 日経でなく、朝日(H27.12.8)社会面で、医師法違反の罪で略式起訴されたタトゥーの彫り師が無罪を訴えて法廷闘争に踏み切るという記事が載っていた。


 検察側は、「針先に色素を付けながら皮膚の表面に色素を入れる行為は、保健衛生上、危害が生じる恐れがあり、医師しかできず、彫り師の行為は医師法に違反する」という主張である。


 これに対し、弁護側は、「タトゥーは長い歴史をへて技術が改善され安全性も高まり、社会に浸透してきている。これを違法とすれば、彫り師という職業自体が成り立たない。」として、「刑罰を科すほどの違法性はない。憲法が保障する職業選択の自由にも反する」などと主張するようである。


 確かに、サッカーのベッカム選手や、歌手のレディー・ガガなどタトゥーを入れた外国人は多い。


 また、タトゥー業者は米国の多くの州でライセンス制、英国では登録制をとり、医業とは異なる枠組みで規制しているようである。


 そうはいっても、日本でタトゥーのある人を見て「怖い・不快」と感じた人が87・7%もいることを考えると、彫り師が社会に容認された職業とは言えないであろう。


 判決でも、憲法論に踏み込むことなく、あっさり有罪判決が出ると思われる。



2015年12月07日(月) 検索結果に対する削除命令

 日経でなく朝日ネットニュース(H27.12.7)で、「グーグル」を使うと逮捕歴がわかるとして、札幌市の男性が検索結果の削除を求めた仮処分申請に対し、札幌地裁は、検索結果が表示されないようグーグルに命じる仮処分決定を出した。


 男性は2003年に逮捕され、罰金20万円の略式命令を受けたが、それがいまでも検索されるとのことであり、そうなると、社会復帰は厳しいものがある。


 裁判官は「男性の犯罪経歴をネット上で明らかにする利益が、これを公表されない法的利益を上回っているとはいえない」としたが、その判断は極めて真っ当である。


 今後も、裁判所が、検索結果を表示しないように命じる流れは続くように思われる。



2015年12月04日(金) 「責任のなすりあい」との指摘はいかがなものか

 日経(H27.12.4)11面で、横浜市の傾斜マンションについての記事が載っていた。


 記事では、原因とされる杭の不具合について、三井住友建設はデータを改ざんした旭化成の施工ミスと主張しているのに対し、旭化成は三井住友建設の設計ミスとしており、国会で「責任のなすりつけ合い」と指摘されたとしていた。


 しかし、費用負担を決めるに際し、相手に過失があるのであれば、それを指摘して費用負担の軽減を図ろうとするのは当然ではないだろうか。


 しかも、販売会社の三井不動産は、居住者に対し、立て替えなどの費用負担を申し入れているから、販売会社、建築会社、下請会社間で費用負担で紛争が生じても、居住者に直接迷惑がかかるわけではない。


 「責任のなすりつけ合い」という指摘はおかしいのではないか。



2015年12月02日(水) 少額訴訟のメリット

 日経(H27.12.2)生活面の「もしものホーム法務」というコラムで、少額訴訟について書いていた。


 少額訴訟とは、60万円以下の金銭の支払いを求めるときに利用できる制度で、原則として審理は1回で終わり、ただちに判決を言い渡されという特徴がある。


 手続きが簡易で、スピーディーなので、弁護士を就けずに訴訟する場合には、この手続きは一応検討すべきなのかもしれない


 ただ、審理を原則一回で終わらせるために、証拠はその場で調べることができることという制限がある。


 しかし、審理が一回で終了できる事案であれば、通常の訴訟でも短期間で審理は終了するはずである。


 しかも、少額訴訟では、相手方の住所地を管轄する簡易裁判所に訴えを起こさないといけないというデメリットがある。


 このようなことを考えると、少額訴訟にはさほど大きなメリットはないように思う。


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