| 2009年09月30日(水) |
東京高裁は、混合診療の原則禁止を適法と判断 |
日経(H21.9.30)1面に、東京高裁が、国が混合診療を禁止していることは適法とし、混合診療の禁止は違法とした1審判決を破棄した。
健康保険法の条文を素直に解釈とすると、混合診療を例外的に認めている規定があることから、原則は禁止しているということになるのだろう。
ただ、混合診療の原則禁止に合理性があるのだろうか。
「混合診療を認めると、所得により受けられる医療に格差が生じる」というが、あまり説得的には思えない。
また、法律でも例外として混合診療を認めているが、例外を定める基準もよく分からない。
1審が原則禁止を違法とした背景には、混合診療の禁止には合理性がないという価値判断があったのだと思う。(但し、判決文では混合診療の是非については判断していない)
これに対し東京高裁は、混合診療の原則禁止に合理性があるかどうかは立法政策の問題であり、裁量の範囲内という価値判断をしたのであろう。
判決としては、いずれの判断も成り立ち得るから、上告しても結論は変わらないと思うが、それでいいのだろうかという気はする。
| 2009年09月29日(火) |
「独立委員」とは何? |
日経(H21.9.29)7面に、東京証券取引所が、上場企業に社外取締役と同様な役目を果たす「独立委員」の設置を義務付ける検討に入ったという記事が載っていた。
企業統治の質を高めることで、海外投資家の資金を国内に呼び込むことが狙いだそうである。
その目的はいいにしても、「独立委員」とは何だろうか。
社外取締役とどこが違うのかよく分からない。
しかも、法律上の根拠がないから、権限があいまいになってしまうのではないか。
そのように制度をいじっても企業統治は向上しないと思う。
重要なことは、適正な判断ができるための十分な情報を取締役にきちんと伝えておくことではないか。
それがなされていないと、社外取締役や「独立委員」なるものを置いても、企業統治の質を高める効果はないだろう。
| 2009年09月28日(月) |
JR脱線事故調査報告の情報漏えい働きかけ事件 |
日経(H21.9.28)社会面で、JR福知山線脱線事故の調査報告を巡り、事故調査委員会のメンバーにJR西日本の幹部が情報漏えいを働きかけた問題の続報を載せていた。
大事故が起こった場合、日本では刑事責任の追及が優先されがちである。
しかし、刑事責任を優先すると、関係者が責任を負うことを恐れて事故原因の究明に協力的でなくなり、再発防止にはマイナスになるという批判がある。
ところが、このように事故調査委員会で情報漏えいが問題になると、やはり警察の捜査によってでなければ真実が明らかにならないという議論になってしまう。
今回の事故調査委員会の情報漏えい問題は、今後の事故調査のあり方に大きな影響を与えると思う。
日経(H21.9.25)社会面に、神戸市の質店経営者が殺害された事件の控訴審判決で、大阪高裁は、無罪とした一審を破棄し、無期懲役を言い渡したと報じていた。
無罪から無期懲役だから、被告人にとっては大変な差である。
被告人は、質店に入ったことは認めている。
そして、質店に入った理由について、「店の前の自動販売機でたばこを買おうとしたところ、被害者に防犯カメラの設置を相談されて、居室に入った」と述べているそうである。
これに対し大阪高裁は、「被害者が、見ず知らずの被告に相談するとは考えがたく、供述は信用できない」と判断した。
法律家からすると、大阪高裁の指摘はもっともだと思う人が多いのではないだろうか。
ただ、裁判員裁判であれば、裁判員はどのように考えるのだろうか。興味深いものがある。
| 2009年09月24日(木) |
アイフルが270店舗削減 |
日経(H21.9.24)1面で、消費者金融のアイフルが270店舗削減と報じていた。
最近の過払い金の返還状況をみると、どこが危ないかが何となく分かるが、特定の銀行のグループに入っていない独立系はなかなか大変のように思われる。
ただ、「金利を下げるとヤミ金が跋扈する」と心配されていたが、いまのところヤミ金の相談は増えていないようである。
| 2009年09月18日(金) |
借金の返済を先送りする制度 |
日経(H21.9.18)社説で、亀井金融担当相が、借金の返済を3年程度先送りする制度をつくると表明したことを論じていた。
社説では、そのような規定は「借りた金を返す」というモラルが崩れるのではないかと指摘していた。(それ以外の問題点も指摘していたが)
その問題もあるが、そもそも、借金の返済の先送りを認めると、得られるべき利息が得られなくなるのだから、規定の仕方いかんでは憲法29条で保障する財産権の侵害になる可能性がある。
あまりいい制度とは思えないのだが。
| 2009年09月17日(木) |
「死刑執行命令は慎重に取り扱いたい。」 |
日経(H21.9.17)社会面で、千葉新法務大臣が、死刑の執行命令について、「人の命ということなので、慎重に取り扱っていきたい。」と述べたと報じていた。
この人は、もと死刑制度には否定的だそうである。
新法務大臣は、死刑執行命令を出さないことによって、事実上終身刑を創設するのか、それとも法に則り、死刑を執行するのか。
「慎重の取り扱う」ことによってどのような結論を出すのか、見守りたい。
| 2009年09月16日(水) |
覚せい剤の初犯の保釈金としては高額である |
日経(H21.9.16)社会面に、酒井法子の夫の�眩衄鏐陲�、500万円の保釈金で保釈が決定という記事が載っていた。
酒井法子はすでに保釈決定されており、保釈金は同額の500万円である。
覚せい剤で初犯の場合、保釈金は200万円以下が普通であるから、500万円というのはかなり高額である。
ただ、検察官が保釈決定に異議を申し立てる可能性がある場合には、裁判官が保釈金を高くすることがあり、それで高額になったのかもしれない。
| 2009年09月15日(火) |
入試問題の過去問出版社に著作権者らが提訴 |
日経(H21.9.15)社会面に、入試問題の過去問を出版している会社に対し、著作者らが、8500万円の損害賠償請求を求めて東京地裁に提訴したという記事が載っていた。
この会社に対しては、すでに他の著作者らが9700万円を求めて提訴しており、合計では1億8200万円となる。
おそらく著作権者の主張は認められるだろう(1億8200万円全額が損害として認められるかどうかは分からないが)。
しかし、多額の賠償額を支払う資力は会社にはないのではないだろうか。
最悪の場合倒産ということもあり得るわけであり、それによって困るのは受験生である。
著作権者が無理を言っているわけではないのであるが、なかなか悩ましい問題である。
| 2009年09月14日(月) |
新型インフルエンザと賃金支払い義務 |
日経(H21.9.14)16面の『リーガル3分間ゼミ』というコラムで、「新型インフルエンザで自宅待機が指示された場合、賃金はどうなる」ということについて書いていた。
新型インフルエンザにかかり国が休業を要請する場合には、会社の責任ではないから、賃金の支払い義務はない。
これに対し、会社の自主的判断による自宅待機の場合には、賃金(休業手当)の支払い義務があるということになる。
ただ、実務上、新型インフルエンザに感染したので自宅待機を命ずる場合に、国の要請なのか、会社の自主的判断なのかがあいまいなまま、会社は自宅待機を命じているように思われる。
もっとも、いずれの場合にも従業員は有給休暇を使うので、両者を区別する意味がないようであるが。
| 2009年09月11日(金) |
司法試験2500人の合格目標が、2000人しか合格せず |
日経(H21.9.11)1面で、「司法試験の発表があり、合格者は2043人、合格率は27.6%」と報じていた。
合格者数は「2010年ごろに3000人にする」という目標があり、今年の目安は2500〜2900人だったそうである。
それなのに2000人しか合格しなかったということは、実務になるための最低限の学力のある人がそれだけしかいなかったということなのであろう。
今年の合格率は過去最低であり、その点も問題にされているようである。
しかしそれよりも、最低限の学力さえも身に着けさせることができない法科大学院の教育体制を問題にすべきではないのだろうか。
| 2009年09月10日(木) |
求刑が懲役10年に対し、懲役5年の判決 |
日経(H21.9.9)社会面に、覚せい剤密輸事件の裁判員裁判で、求刑が懲役10年、罰金500万円に対し、裁判所は、懲役5年、罰金350万円を言い渡したという記事が載っていた。
他にも裁判員裁判の記事があった中で、この記事はとても小さな扱いであった。
しかし、求刑が懲役10年であれば、通常は懲役7年か8年だろう。
判決が求刑の5割というのはあまり聞かない。
しかも、覚せい剤の密輸は重罪であるから、検察官は刑が軽すぎるとして控訴するかもしれない。
もう少し大きく報じてもいい判決だと思うのだが。
| 2009年09月09日(水) |
資金決済法が来年施行 |
日経(H21.9.9)4面に、資金決済法についての記事が載っていた。
この法律が施行されれば、銀行以外でも登録すれば送金サービスを提供することができる。
記事では「これまでは1万円を送金するのに5000円近くの手数料がかかるなど、使い勝手は決して良くない」とあった。
しかし、1万円の送金に5000円も手数料がかかるのでは、使い勝手が「決して良くない」どころか、「極めて悪い」というべきだろう。
ときどき外国に送金する『地下銀行』が摘発されているが、それだけニーズがあるということだろう。
銀行は規制にあぐらをかいて、そのマーケットを放置していたと批判されても仕方ないと思う。
| 2009年09月08日(火) |
政策秘書説明会に応募が80人 |
日経でなく、朝日(H21.9.8)社会面トップに、衆院選で民主党に大量に新人議員が生まれたことを受け、日本弁護士連合会は弁護士や司法修習生を対象に「政策秘書」への就任を勧める説明会を開くことになり、すでに応募が80人を超す盛況となっていると報じていた。
秘書の仕事は泥臭く、果たして弁護士に務まるのかと思うし、小泉チルドレンのように次の選挙で落選したらどうするのだろうかと心配にはなる。
ただ、きちんと法律を学んだ人間が政治の世界に入るのはいいことだと思う。
日経(H21.9.7)社会面に、奈良県「山本病院」の診療報酬詐欺事件で、生活保護制度が悪用されたことについて書いていた。
解説記事によれば、生活保護の不正受給は増えているそうである。
弁護士が関与しているケースで、不正受給かどうかで頭を痛めるのは、生活保護を受けている人を代理して、消費者金融から過払い金を回収したときである。
過払い金は場合によっては100万円を超えることがある。
それは本人が一生懸命法定の利息を超えて弁済していたものを返してもらっただけであるから、そのまま本人に返してあげたい。
しかし、それを行政に申告しないで生活保護をだまって受け続けていると、不正受給に該当することになる。
逆に、行政に過払い金があることを申告した場合、それまで受給していた生活保護費まで返せと言われかねないという心配がある。
結局、行政に正直に申告して、その上で、過払い金を生活費として使いきるまで生活保護の支給をストップし、これまでの生活保護費の返済まではしなくてよいとするケースが多いようである。
穏当な処理だろうと思う。
| 2009年09月04日(金) |
酒井被告 公判日が決まる |
日経(H21.9.4)社会面に、酒井法子の公判日が決まったという記事が載っていた。
追起訴があるようだから保釈はいまは認められないだろう。
しかも、追起訴がすべて終了しても、一度逃げているから保釈は難しいかもしれない。
夫が逮捕されたときに(8月3日)に逃げずに逮捕され、すべてを自白していれば、こんな大騒ぎにはならなかっただろう。
覚せい剤の初犯は、刑事事件では軽い扱いである。
大抵の場合、即決判決(公判1回で、その日に判決を行う)で執行猶予がつくし、保釈もかなりの割合で認められている。
被疑者の中には「どこまで認めたらいいか」と聞いてくる場合があるが、すべてを認めた方が、捜査は早く終わるし、刑も軽くなる。
酒井被告についても、逃げなければすでに保釈されていたのではないだろうか。
| 2009年09月02日(水) |
今年に入って20社が買収防衛策を廃止 |
日経(H21.9.2)16面に、顧客管理のフュージョンパートナーが、買収防衛策を廃止したという記事が載っていた。
今年に入ってすでに20社が買収防衛策を廃止したそうである。
会社は株主のものであると盛んに言われたが、そうであれば買収に対しては基本的に株主の判断に委ねればよい。
それなのにあえて買収防衛策を採用した企業の多くは、現経営者を防衛するためだったように思う。
買収防衛策を廃止した企業は、無駄な経費を法律事務所に支払っただけと言われても仕方ない。
| 2009年09月01日(火) |
消費者問題に詳しい弁護士とは |
日経(H21.9.1)7面で、消費者庁を監視する消費者委員会の委員長になる見通しだった住田裕子弁護士が委員就任を辞退したという記事が載っていた。
住田弁護士に対しては、弁護士会や消費者団体が「消費者問題に詳しくない」として、委員長就任に反対を表明していた。
確かに、消費者問題を中心に弁護活動していた方ではないと思う。
しかし、住田弁護士は「消費者問題に関する講演や訴訟活動にかかわってきた」と反論しているから、消費者問題が未経験というわけではないのだろう。
そもそも「消費者問題に詳しい、詳しくない」の判断基準もよく分からない。
「霞が関を消費者目線で監視する」という役割をきちんと果たす限りは、問題なかったのではないだろうか。
ただ、野田担当大臣の指名で委員長に就任予定であったところ、民主党政権が決まった翌日に委員を辞任したりすると、やはり「政治的指名だったのか」と思われても仕方ない。
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