猪面冠者日記
今さらだが当分不定期更新

2005年06月29日(水) バットマン・ビギンズ

 信じられないんだけど、私がしょっちゅう行ってるTOHOシネマズ名古屋ベイシティでは「バットマン・ビギンズ」は今週までなのだ。というわけでレディースデーの今日、バイトが終わってから大慌てで行ってきた。はあ、しかし映画館に着いたら着いたで、駐車場が混んでて焦ったのなんのって。

 結論から言えば、ティム・バートン版とはまた違った意味で「一番好み」と言える作品である。バートンが監督した「バットマン」と「バットマン・リターンズ」は言うまでもなく名作であり、また個人的にも大いに好みの作品である。だがクリストファー・ノーランが監督したこのバットマンは、バートン版とは全く正反対である。異形のルサンチマンも、同族殺しの葛藤も「バットマン・ビギンズ」にはない。これはあくまで、悲しく恐ろしい過去を力と理性で乗り越える成長物語なのだ。

 バートン版では主人公のブルース・ウェインは「両親を強盗に殺されたトラウマ」と「ケタ外れの財産」によって二重にズレている人として捉えられていた。ただし、ズレを生み出した二つの因子とブルースの人格との間にどのような図式があったのかは一切説明されていない。それもそのはず、バートンはブルース・ウェインよりもジョーカーやペンギンやキャットウーマンにこだわっていたからだ。

 だがビギンズではブルースがバットマンになっていく図式が実に饒舌に語られる。まあタイトルがそうなのだから描かれて当然といえば当然なのだが、こういう点がこれまでのバットマンの描かれ方とは大きく違うのだ。しかもその饒舌はとても論理的なのである。この場合の論理的とは、安易に「人の心には闇がある」という片付け方をしない、ということである。

 論理的に作られたブルース・ウェイン=バットマンはリアルではあるが、地味でもある。バットマンのスーツやモービルの最初の提示のされ方などはその最たるものだろう。しかしこのシーン、バックにある経済力や味方の存在の有無、その後の力の矛先が犯罪者か世間かという違いこそあれ、リターンズでセリーナ・カイルがキャットウーマンの衣裳を自作するシーンと似ている。そう考えると、己のフリークス性に対する一種の自虐表現であったバートン版でのコウモリの衣裳も、ビギンズでは、セリーナ・カイルにとってのキャットウーマンの衣裳がそうであったように、己の弱さを乗り越えんとする意志の現れであるかのように見えてくる。

 ただこうして主人公の人物設計は丁寧にできているものの、その分敵のキャラがおろそかになってしまっている。ラスボスは歴代の中でも最もキャラ立ちが薄い。渡辺謙に到っては何しに出てきたんだ・・・、と言いたくなるくらいの登場頻度である。リーアム・ニーソンはさすがの存在感だが、肝心の役そのものが弱いために非常にもったいない感じ。もっとバイオレンスに暴れて欲しかった(だってアイルランド人だし。元ボクサーだし。そんでもってダークマンだし)。素晴らしいのはやはりマイケル・ケイン。歴代アルフレッドの中でも最も主人への愛に溢れている様は、脚本や演出から出たものではないだろう。全て彼の力量である。その豊かな表現力はアルフレッドという人物のみならず、画面全体にまで発揮されており、ただ彼がそこにいるだけで名作になっていた。ゲイリー・オールドマンの演技にも驚かされた。役柄はいつもとは逆の、優しくて正義感のある刑事なんだが、何が凄いって、ゲイリー・オールドマンに見えないところが凄かった(なんだそりゃ)。本当に優しくていい人に見える。地はアル中で暴力野郎なのに・・・。

 とまあ以上、珍しく誉め言葉ばっかり書いているが不満もいくつかはある。カット割が多すぎ。アクションが続く場面など、何がどう動いているんだかさっぱり分からないままひたすら続くというパターンが多く、相当のダレを生んでいた(つか寝た。仕事後の脳味噌じゃさあ)。

 でもまあそんなのはまだ許容範囲だろう。ヒロイン、ケイティ・ホームズの不美人っぷりに比べれば(回想で出てくる少女時代をやってた子役はかわいかったのに)。これでせめて演技に魅力があれば救いがあるのだが、まわりが芸達者すぎるせいもあってか、霞んでいる。彼女が前半のある場面でブルースをひっぱたくシーンに「なんだこいつブスのくせに。きいぃー」と異様にむかついてたのはあたしだけだろうか。なんかもう最初っから最後までうざかった。こいつに比べればスパイダーマンのキルスティン・ダンストなんてかわいいもんだよ(※)。まあヒーローものにおける最大の愛の対象は敵のボスキャラなのだから、ヒロインはそもそもどうでもいいといえばいいんだろうけど、それならせめて目障りにならないような風にして欲しいもんだ。はあー、いっそMr.フリーズのバラ女、ユマ・サーマンとトレードして欲しいもんだ。ユマ・サーマンなら主人公をひっぱたこうが、こっちは「そうだ、あんたは正しい! もっと叩け!」とむしろ声援を送るだろう。・・・あ、でもゲイリー・オールドマンがいるんじゃ、絶対出てくんないよな。

 で、これは後で知ったんだけど、この「バットマン・ビギンズ」の路線はキャストもスタッフもほぼそのままで続編が作られることになっているんだそうだ。いやー、嬉しい。さらに嬉しいことにそっちにはケイティ・ホームズはもう出させてもらえないんだそうだ。理由は例のトム・クルーズとの胡散臭い婚約報道っぽいんだけど、詳しくは不明。まあ単に女優として使えねえからだと思うんだが。

※キルスティンはスパイダーマン以外ではかわいいと思う。




2005年06月26日(日) 訃報

 たった今(夜の11時半頃)友人から受信したメールを読んで動揺している(人が死んで動揺するなんて93年にF先生が亡くなって以来だ)。あの奥崎謙三が死んだというのだ。慌ててネットでニュースを検索してみたら、確かにそういう記事があった。毎日新聞の今日三時八分更新分によれば、今月15日に神戸市内の病院で多臓器不全により死去したとのこと。享年85歳。十八年前にシズミ夫人を亡くしてからはずっと独身で、家でも一人暮らしだったらしい(そりゃあそうだろう)。死ぬ直前まで「バカヤロー」と叫んでいたという辺り、つくづく我々酔狂人の心を裏切らない人である。霊となったからには今頃時を遡って、かの人肉事件の真相をその目で見ているかもしれないなあ。真実を知った彼は何を思っただろうか。



2005年06月23日(木) 劇場版機動戦士Zガンダム「星を継ぐ者」

 この映画を見たかったかと聞かれれば「別に」というのが正直な所である。富野信者の私だがZはあんまり好きじゃない。テレビアニメのくせに組織関係がやたら複雑で分かりにくいし、何よりキャラクターがすぐにヒス起こして暴れるタイプの奴ばっかりでうんざりさせられる。ただし物語の後半は好きである。エウーゴにおける自分の立場を自覚し始めたカミーユが、さらに今の時代における己の役割にまで目を向け始めた矢先に現実に敗れていくという諦念溢れるストーリーは、やはり魅力的である。

 だからでこそ、それを総集編なんぞで早送りで見てもなあ、と思うのだ。じゃなくったってあんな枝葉末節だらけの作品、どうやってまとめるんだか。「ハッピーエンド」にするっていう富野の発言も、またいつもの思わせぶりなはったりなんだか本人だけの思い込みなんだかはっきりしないし。しかし私は信者である。信者である以上布施は惜しまぬ。

 というわけでホステージに変わっちまった前回のリベンジも兼ね今日行ってきたのだが、蓋を開けてみれば本当にただの総集編だった。まあ、さすがに多少はかきおろしの作画も入っていたが。新作部分は、メカパートのアクションこそ驚嘆ものの出来であるものの、人間部分に関してはまあ、「プラネテス」ぐらい(まあプラネテスの作画がテレビにしちゃよすぎなんだが)、という感じ。あとやっぱ前半戦なのでカミーユはまだあんまし主人公らしくない。はあ、もうシャアの話なんてどうでもええっちゅうねん(※)。

 他不満点としては、
・ファの声が違っていた。
・ハヤトの声が檜山だった。
・予告で聞こえたフォウの声が明らかに島津冴子じゃなかった。
てとこでしょうか。特に最後に関してはかなりの大不満である。島津冴子以外の声優がフォウの声を当てるなど、あってはならない。あの、ビッチ声でありながら悲劇にすんなり溶け込んでしまう不思議な声あってこそのフォウではないか! 許さん、許さーんっ! うううちきしょう、もう次見るのやめよっかな。

※保育園児の頃からガンダムを繰り返し見ているが、シャアをかっこいいと思ったことは生涯一度もない。あんな感情的で心が狭くて女の扱いも最悪で、コスチュームもヘンな人がなんであんなに人気があるのか、さっぱり分からん。富野も明らかにこいつを立ててるってのが気に食わん(分かるけどさ)。そういう意味では唯一私にとって見たまんまのシャアがいる「逆襲のシャア」は好きである。




2005年06月22日(水) 50回目のファースト・キス

 かなり以前この日記の中で久し振りにちょっとだけだけどダンが出る映画として紹介した“50 First Dates”。「50回目のファースト・キス」としてようよう、地元にも回ってきた。上映館は市内では新しく建った109シネマズのみ。つっても上映が始まったのはもう何週間か前の話。うかうかしている間に映画自体が今週くらいで終わってしまいそうなので、レディースデイの今日に行ってきた。

 しっかし遠いわ、ここ。まあ笹島って辺りがそもそも場所として半端なんだけど。名駅から歩いてどのくらいかかるか分からなかったから、行きは名駅からわざわざあおなみ線に乗って一番最寄駅であるささしまライブで降りたんだけど、そっからポケパークを通って7、8分もかかりやがる。映画が終わって夜帰る時は名駅まで歩いたんだけど、それが大体15分くらい。うーん、せめて地下街通って入れる所だったらなあ。こりゃ夏は勘弁だな。

 感想。正直ちょっと退屈であった。でもダンがアロハ姿でちょこちょこ登場してくれたので満足じゃ(もちろん彼が出てくるたびに『キタ――――!!』でしたよ)。「クリス・ファーレイはトミーボーイ」のパロとおぼわしきセリフもあったりしたのだが(この辺はやっぱ、ダンもアダム・サンドラーもロブ・シュナイダーも元SNLだからな)、トミーボーイを見ていないからよく分かんないや。ああ悔しい。しかしダンが最初に登場した時、カメラがあの後頭部にきていたのは参った。ダン、「あー、そこからはちょっと」とか言わなかったのだろうか。ダンから言ったら変えたと思うぞ。

 アダム・サンドラーの友人として登場するハワイの原住民を演じたロブ・シュナイダーが最高。まるで「花嫁のパパ」におけるマーティン・ショートだ。彼が出てくるだけで画面が締まる(笑)。

 映画とは全然関係ないが、ラスト近くで流れていたハワイアンにアレンジされた「オーバー・ザ・レインボー」ってERVIIIでグリーン先生が旅立つ時に流れていた曲なんだよな。どうしてもあの場面を思い出して気分は思いっきりシリアスな泣きモードになっちまったい。ドリューやらアダム・サンドラーやらが出てくる中でERを思い出すのって、食い合わせ悪すぎ。




2005年06月20日(月) ホステージ

 今日こそはさっさと帰宅してZガンダムを見に行かねば。明日バイトが休みだから明日行った方がいいんだろうけど、明日は原稿に集中したい。ところが仕事がなかなか終わらず帰宅する頃には結構やばいお時間。あわててごはんを食べて支度して車でTOHOシネマズへゴー。ガソリンのメーターがもう赤い所にきていたが、給油している場合ではない。

 なんとか余裕のある感じで到着し、座席指定するためにカウンターでZの前売券を出そうとしたら、あけた封の中身は違う映画の前売券だった(ボカ〜ン)。間違えちゃったんだ、ウワ〜ン! ううむ、これも机の上にいろんな映画の前売りやら半券やらが散乱しまくっているせいだ。

 硬直しつつカウンターから退場し、この後の上映リストを見る。だってこのまんま帰りたくないよ。見れば9時から「バットマン・ビギンズ」があるではないか。うわー、これならむしろZより見たいよ。値段も今の時間ならレイトショー扱いだから1200円で済むだろうし。というわけでもう一回列に並んでカウンターで受付してもらったのだが、受付のお兄さんからは「このバットマンはプレミアスクリーンでの上映となっておりますので、2400円になりますがよろしいですか」とのお答え。う、さすがにそれはちょっと、というわけでバットマンはやめ。ああがっかりだ(てゆうかリストをよく確認しろよ)。それでも何も見ずに帰るのはどうしても嫌なので、結局、当初はレンタルで済ませるつもりだったブルース・ウィリスの「ホステージ」を見ることにした。

 それほど悪い評判もなかった「ホステージ」、前半は評判通りのなかなかのサスペンスである。だが後半はいつものブルース・ウィリス映画だった(笑)。まあ私はブルース・ウィリス好きだからいいけど(もちろん『アルマゲドン』も大好きさ)、そうじゃない普通の映画ファンが見たら呆れそうな内容である。もちろん私は楽しめたが。でもやっぱバットマンの方が見たかったなーとは思ってしまったよ、正直なとこ。

 笑えたのが劇中でブルース・ウィリスの娘を演じていた子で、この子の顔がデミ・ムーアを不細工にしたような感じの顔なのだ。一応、犯人に拉致されて人質にされたりするシリアスな役柄なんだけど、この子が出てくるたびにどうしても笑ってしまった。ところが後で知ってびっくりしたのだが、なんとこの子は現実にデミ・ムーアとブルース・ウィリスの娘だったのだ。うわあ。




2005年06月17日(金) パーフェクトワールド(DVD鑑賞)

 TUTAYAの会員カードの有効期限月日を知らせるハガキが届いたのは二ヶ月前のこと。ハガキを持って更新にいけば旧作・旧譜に限り一本無料でレンタルできる。ちなみに更新できる期間は有効期限月日の前後一ヶ月間のみ。最近クリント・イーストウッドの「パーフェクトワールド」を見たくてしょうがなかったので、更新に行ったら是非これを借りようと思っていたのだが、このハガキをしまった場所を忘れてしまったために先日更新に行った際無料レンタルが使えなかった。ま、それなりにメジャーな作品だから借りようと思えばGEOでも借りられるんだから、「パーフェクトワールド」はそっちで借りることにして、どうせTUTAYAで借りるならここにしかないようなマイナーな映画を借りてこればいいんだけど、今はどうしてもこれが見たいのだ。なのにどこ行っちまったんだか、ハガキ。

 が、二、三日前に運良く見つかったのでバイトがお休みの今日行ってきた。んな暇があったら原稿やれって感じだが、なんせハガキの期限が切れるのは明日なんで、まあ許して下さい。レンタル屋にはビデオとDVDの両方が置いてあったので当然ながらDVDの方をゲット。裏を見ると日本語吹替のキャストはクリント・イーストウッドが山田康雄でケビン・コスナーは津嘉山正種(そいや昨日お昼の1時からテレビ愛知でやっていた『さよならゲーム』のケビン・コスナーもこの人だったな。もしかしてデフォルト?)とのこと。無論、迷わずこっちで再生。

 映像はさすがDVD、ビデオ版では不鮮明もいいとこだった冒頭の刑務所の暗闇もコントラストばっちり。そこから先のストーリーの大半を占める南部の風景の美しさは言わずもがな。この美しくのどかな風景があるからこそ、作中の暗鬱な人間関係が良くも悪くもくっきりと目につくのである。

 ケビン・コスナー演じる脱獄囚ブッチに人質としてとられる少年フィリップは、母親がエホバの証人の信者であるために、近所の子供たちが毎年楽しくやっているクリスマスのパーティーにもハロウィンのお祭りにも行かせてもらえず、同世代の友人たちからは変人扱いされている。父親は大昔に家を出たきり帰ってこない。ブッチは悪知恵に長けたヤクザ者だが、少年時代は娼婦である母親と共に娼館で生活し、父親から日常的に暴力を受けながら育った。ブッチとフィリップは逃走の過程で娑婆の人々から食糧や車を奪いながら旅を続けていく。この辺りで見所となるのは、言うまでもなく、ブッチとフィリップの擬似父子的な掛け合いなのだが、より面白いのは彼らにしてやられる娑婆の人々の俗悪ぶりである。まともな仕事をし、こざっぱりと暮らし、自分の子供たちにもきちんとした格好をさせているが、その子供のことを彼らは小さなことで罵倒し、軽々しく体罰を与える。

 脱獄のはての逃走とはいえ、ブッチには明確な目的地があり、その逃走経路も具体的に決めている。だからあとは余計なことはせずにただ計画を進めるだけなのだが、目の前で子供が親にぶたれるのを見てしまうと、ブッチは冷静さを失ってしまう。そうしてやがて誰もが予想していた末路を辿るのである。

 最初に見たのは学生時代だったので、やりきれない結末も含めて懐かしく鑑賞した。思えば監督としてのクリント・イーストウッドが好きになったのはこれを見てからだったなあ。しかし山田康雄の吹替は最初から最後まで全然元気がなくて映画とは別の意味で悲しかった。




2005年06月14日(火) マンガがすべてだった・トキワ荘の頃

 たまたまCSのヒストリーチャンネルをつけたらそういう番組がやっていたので、すでに始まってから三十分ほどたっていたが、最後まで見た。タイトルはトキワ荘だが、メインとして語られるのは寺田ヒロオ。彼の足跡をコミックボックス等などでもおなじみの梶井純が訪ね歩く。

 テラさんこと寺田ヒロオの寂しい晩年については様々な媒体で見聞きしてそれなりに知ってはいた。結果として彼にとって最も輝いていた時代であったトキワ荘の頃ではあったが、かと言って心の中に何の孤独もなかったわけではなく、年下の仲間たちには明かせない様々な悩みを抱えていた、ということがインタビューに答えたとある元漫画家の口から語られる。彼がそういう悩みを打ち明けられたのは、「一番の親友」と呼んでいたこの元漫画家だけなのであった。この元漫画家という方がトキワ荘の仲間ではない、という所がなんとも切ない。例えその人がその人の人生の中で幸福な時代にいたとしても、その人が幸福であるとは限らないという、いかにもなテラさんの人間としての姿であった。

 筆を折り、酒浸りとなったテラさんのためにかつてのトキワ荘メンバーたちがテラさんを囲んで「はげます会」を開いたVTRが、番組の最後の方で流れる。VTRに表示された時代は1990年。映っているのはテラさん、赤塚不二夫、安孫子素雄、藤本弘、石ノ森章太郎。全員昔に戻ったかのような明るい表情を見ていると泣けてきてしまった。

 CSなのでしばらくの間は再放送をやってくれる。放送予定は以下の通りあと六回。
■6月15日(10時〜、16時〜)
■6月18日(12時〜、20時〜、深夜3時〜)
■6月19日(8時〜)




2005年06月09日(木) 妖怪大戦争

 キャストがどれもユニークかつ期待できそうだし、何より監督が三池崇史ってとこはドンパフものなのだが、加藤保憲(一応説明しとくと帝都物語のあいつね)の訳が豊川悦司というのは激しく納得がいかん。嶋田久作以外の役者が加藤を演るなぞ、アンソニー・パーキンス以外の役者がノーマン・ベイツを演るようなものよ。実際に見たわけでもないのに文句言うのはいかんと思うが、もうこれからトヨエツのことが嫌いになりそうな私だ。ブラウン管で彼の姿を見ただけで「貴様ごときが加藤を!!」とか言いそう。この間の丹下左膳といい、リメイクでミスキャストなパターンが多いな、トヨエツ。そのうち「今なら『炎立つ』すらマシに見える」てな状態に陥ったりして(ボカ〜ン)。

 あともう一個文句を言うと、油すましは竹中直人よりきたろうの方が断然いいと思う。まあこの辺は言い出すときりがないが。しかしなんだかんだと言っても没ゼロにデビルマンを見た私には何か来ようと許せる自信があるぞ(ボカ〜ン)。

 話変わって今日は三時からBS−2でモーガン・フリーマンのアクターズ・スタジオ・インタビューが放送された。以前、町山智浩のブログで「モーガン・フリーマンは今の俳優たちの間で最も敬愛されている俳優」というような内容の文を目にしたことがあるのだが、その時は「へえ、そうなの」と半信半疑だった。しかし今回の番組を見ると本当にそうなんだなあ、と思わざるを得ない。生徒たちの反応がとにかく半端じゃない。最初に舞台に入ってきた時の歓声からして、今まで見たどのゲストよりでかい(まあ、編集の妙でそうなっているだけなのかもしれないが)。生徒たちの歓声は司会のジェームス・リプトンがこれから話題にする作品を言う時にもつきものなのだが、これがもう常にドッカンドッカン。「グローリー」と「ショーシャンクの空に」はとりわけ凄かった。私が今までこの番組を見てきた中で、一番歓声が大きかったのはスコセッシの時の「タクシードライバー」と、デ・ニーロの回のこれまた「タクシードライバー」だったのだが、それを軽く上回っていた。うーん、やはり優れた俳優であるというだけではなく、現役感があるというのがポイントなんでしょうな。

 この回がアメリカで収録されたのは去年のことで、「ミリオンダラー・ベイビー」はまだ公開されていない頃。ジェームス・リプトンはすでに試写か何かですでに鑑賞したと言い、大傑作であるとコメントしていた。映像の方もちらっと流れていた。ああ、早くもう一回見に行きたいなあ。




2005年06月07日(火) 軍曹は林檎使いなんだろうけど

 今日アニメイトに行ったら、K66OSのマークが入ったケロロ軍曹のマウスパッドを発見。うわーい、これ以前再入荷した時に買いそびれちまって、もう二度と買えないと思っていたから嬉しいよ。いやー、うっかりヤフオクで1000円の奴とか買わなくて大正解。なんせ定価は630円の代物だからなあ。一応普段使い用と保存用に二枚購入。

 アニメのキャラグッズなんて高校卒業して以来とんと買わなくなったが、ケロロのグッズは個人的にツボな奴が多くてつい買ってしまう。特にペーパーギフトバッグセットはよかったよなあ。これも確か二つ買ったけか。というわけでこのマウスパッドをいつも原稿書くのに使っているノーパソ用に開封。サイズが小さいおかげで、散らかりすぎてどうしようもなく狭い私の机の上でも支障なく収まった。今までこのノーパソで使っていた星の王子さまのマウスパッドは、ぺらぺらで使いにくいマウスパッドしかついていなかったデスクトップの方に回した。ああやっぱいいなあ、このケロロのマウスパッド。この調子でファスナーアクセサリーも再入荷してこないかなあ。




2005年06月05日(日) ええもんもろた

 さあ今日はバイトが休みなことだし原稿やっぞとお昼頃起床し、台所で朝刊をめくる。テレビ愛知は毎週日曜、お昼の一時か二時五分から「日曜イベントアワー」という枠で、吹替の洋画を放送してくれているので、さて今日はなんだろうとテレビ欄を見ると、今日はショーン・ペン主演の「ステート・オブ・グレース」。て、知らないなあ。監督も知らない人だし、ただでさえ生臭くて嫌いなショーン・ペンの演技なんて休日の昼間に見たくないよう、と思っていたのだが、テレビ欄に載っていた共演者の中にエド・ハリスを発見。さらに地上波デジタルの番組表を参照すると、音楽がエンニオ・モリコーネ。ううむ、ニューヨークのアイリッシュマフィアで、エド・ハリスでエンニオ・モリコーネ。・・・DVD化されていない場合を考えて取り敢えずRAMをセットする。単純だな、おい。ああそうだよ、エド・ハリスと聞けば当然よ。ましてやエンニオ・モリコーネ。

 結局お昼ご飯を食べながら最後までリアルタイムで鑑賞。物語はヘルズ・キッチンで生まれ育ち、刑事となったショーン・ペンが、マフィアの縄張りに潜入捜査して、というもの。ショーン・ペンの幼馴染でお約束通りすぐキレるチンピラがゲーリー・オールドマン、その兄でアイリッシュマフィアのボスがエド・ハリス、この兄弟の末の妹で昔ショーン・ペンと恋人同士だったが今は堅気の女、ってのがロビン・ライト。あとショーン・ペンの相棒の刑事でジョン・タトゥーロ。ま、この配役とこのシチュエーションなら大体どんな話でどんな結末になるか誰でも察しがつくだろうが、本当に何から何までそういう話だった。ちなみにエド・ハリスの声は磯部勉、ショーン・ペンは平田広明だった。はあしかし平田広明はどうもカーター君のイメージが強すぎてショーン・ペンみたいなバイオレンス野郎をやっているとひたすら違和感があるなあ。

 映画は四時には終わったが、その後なんやかやと雑用を片づけている間にあっちゅう間に夜。ああ原稿が。

 夜の九時半頃、新婚旅行でニューヨークに行ってた従兄夫婦がお土産を持ってやってきた。一応出発前に「もしNBCのショップに行ったら何か買ってきて」と頼んでいたのだが、本当にばっちりと買ってきてくれた。いろいろ回ってきた中でNBCの案内ツアーにも行ってきたんだそうだ。もちろん、SNLのあの有名な観客席にも座ったんだそう(無論本放送に入れたわけではなくて、見学時間の中で入ったわけだが)。スタジオの傍にNBCのショップがあったので、そこでいろいろ買えたんだとか。ちなみに従兄が選んでくれたのは、

 ジョンのキラー・ビーのTシャツ
 SNLのロゴが入った薄ピンクのTシャツ
 SNLのロゴ(円を描くようなマークのもの)が入った白のTシャツ
 ラウンジ歌手ニックのマグネット

の以上四点。これ以外にもう一つ、初期SNLメンバー(チェビーじゃなくてビルが入ってからの面子)が全員で写っている写真がプリントされた黒いTシャツもあった。かなりいい感じのものだったがサイズがLサイズ。「探してもらったんだけどSはなかった。要らなければ欲しい」と従兄が言ったので、これは従兄に返した。まあしかし他のTシャツもSサイズとはいえやたらでかいのばっかりで、実際に着られそうなのは薄ピンクのTシャツくらいかも。でもキラー・ビーのは最高だなあ。ああ普段でも着たい。

 というわけでいっかな原稿に頭がいかない一日であった。ちなみに従兄が帰った後アマゾンでビルを検索していたら、なんと「小さな贈りもの」がDVDになって7月22日に出るっちゅうじゃないの。うわーい、予約だ予約。・・・すみません、明日から心を入れ替えます。




2005年06月03日(金) 今日はBS−hiで「ルーキー」を見た

 「ミリオンダラー・ベイビー」を見た後だと、昔の元気なクリント爺が恋しくてね。ま、この映画も90年の作品だから、この頃だってもう大概ジジイだったんではありますが。それにしてもあのチャリ坊もこの映画に限ってはかっこいいなあ。

 メールのお返事とか他にしたためたいものは山ほどあるのですが、どうしても「ミリオンダラー・ベイビー」の感想をアップしたかったので、無理矢理あげました。しかし今日週刊文春の6月9日号の週間映画評を見て驚いた。「ミリオンダラー・ベイビー」、中野翠、おすぎをはじめ評者全員五つ星つけている。中野翠はサン毎5月29日号の感想がとてもよかった。

 あと、いずれサイトで詳しくアップしますが、夏コミは009の新刊出ますんで、お楽しみに。




2005年06月01日(水) ミリオンダラー・ベイビー

 今日と明日、頼んだわけでもないのになぜかバイトはお休み。1日はファーストデー、明日は木曜日の女性サービスデーということで二日連続映画料金が千円。もはや天国のヨドチョー先生が「もっと映画を見なさい」と私に言っているとしか思えない。

 時間帯は朝から二番目の14時からの回にした。実は前に「ベルンの奇蹟」を見にいった時、眠いのに無理して行ったために途中でちょっと寝てしまったので、今回はその反省からたっぷり寝てから行くことにしたのだ。劇場は4番スクリーン。TOHOシネマズ名古屋ベイシティの中では一番目か二番目にでかい上映館である。さすが、アカデミー賞映画はかかるハコもでかい。

 この映画、結末の部分を今よりずっと前にFLixムービーサイトだか、Movie Walker.comだったかで半分ばかしネタバレされてしまったので(個人の感想サイトならともかく、商売でやっているとこがそういうことするかね普通)、そういう意味では今回の鑑賞はベストコンディションとは言えないのだが、うっすらと結末を知っていたとはいえ、見終わってみればネタバレされたことすらそれほどマイナスにはなってなかったかもと思えるほど、最初っから最後まで強烈に打ちのめされる映画だった(ボクシングものなだけに)。まあ、冒頭に出た「字幕 戸田奈津子」ってのにまず打ちのめされたけど(笑)。でもそんなに変な訳はなかった・・と思う(英語が分かるわけじゃないから真相は闇の中だが)。まあそれはそれとしてボクシング繋がりで言えば、当初(今年1月9日の日記参照)女版「ロッキー」だと思っていた本作は、どちらかと言えば「あしたのジョー」だった。

 とにかくヒラリー・スワンク演じるマギーの生き様である。故郷はど田舎、家族は福祉を貪るトレーラー暮らしの白いゴミ。誰一人頼りにせず、もとより頼れる相手もなく、「13歳の頃からウェイトレスをして、その合間に独学でボクシングのトレーニングをしてきた」という以外に何もない彼女。そんなこんなで気がつけば31歳(誕生日に口にする『また一年が過ぎた』というセリフが痛々しい)。相変わらず金もコネもない。年齢からして残された時間はもっとない。マギーは節約に節約を重ね(この時の切り詰め方がリアルかつ泣ける)、「この人こそ最高のトレーナー」と思っているフランキー・ダン(クリント・イーストウッド)に直々の指導を乞いにいき、さらに彼の経営するジムの門戸を叩き、フランキーの相棒であるスクラップ(モーガン・フリーマン)にジムの六か月分の月謝を払う。

 タイトルの「ミリオンダラー・ベイビー」は直訳すれば「百万ドルの秘蔵っ子」なのだが、文字通り、人の値打ちとは何か、そしてそれはどこにあるのかということに終始こだわり続けるマギーは、情熱や執念といったシンプルな言葉がシンプルに似合うヒロインだ。そしてそんなマギーと対比して描かれる彼女の家族のどうしようもない安さが、マギーの奥底に宿る暗い情熱のルーツとして、不愉快な花を添えている。しかし過酷な物語の果てに、フランキーがマギーに与えたことと、それを受けたマギーがフランキーに見せた笑顔はとてつもなく優しい。

 去年の個人的ベストワンは「ミスティック・リバー」だったが、今年もやはりこのクリント・イーストウッド監督作がベストワンとしか今は思えない。「マディソン郡の橋」はアレだったけど、やっぱりイーストウッドにハズレはないなあ。しっかし明日は「コーヒー&シガレッツ」と「バッド・エデュケーション」と「ベルリン、僕らの革命」を見る気だったのに、こんな大感動作を見てしまっては、もう当分何も見たくなくなっちゃったよ(ましてや劇場版Zなんて)。てゆか今年はもう映画見なくてもいいかも、とすら今は思っている(原稿やること考えたらかえって良いことと言えるが)。ま、「コーヒー&シガレッツ」はビルが出てくるからこれだけは明日見にいきますよ。



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