ぴよの映画めった斬りコーナー
ぴよが見た新作映画・ビデオ・DVDを個人的趣味でぶった斬るコーナー
ぴよと意見が合わないからっていじめないでぇ〜ん!(^_^;)
【ネタバレも含んでますので注意してねん♪】

2009年03月27日(金) リリィ、はちみつ色の秘密

監督:ジーナ・プリンス=バイスウッド
出演:ダコタ・ファニング
    ジェニファー・ハドソン
    クヒーン・ラティファ、他
オススメ度:☆☆☆☆


【あらすじ】
1960年代、黒人差別を失くす「公民権法」が制定されたばかりのアメリカ南部。母親を幼い頃に自分のせいで亡くしている事がトラウマになっている14歳のリリィは「自分は誰からも愛される資格がない」と思い悩んでいた。粗暴な父に心無い事を言われたリリィは母親の愛を確かめるべく、白人に虐待されていた家政婦の黒人女性と2人で逃げるように「母親の痕跡」を求めて旅に出た。あるヒントを得て黒人女性「オーガスト」が経営する養蜂農場を訪ねたリリィだったが・・・


【感想】
アメリカ人作家、スー・モンク・キッド氏著の大ヒット同名タイトル小説(邦題)を映画化。
タイトルだけを見て「うっわー。なんじゃこりゃ。児童小説か?かったるそうだなぁ〜」と思ったんだけど(こら)、キャストを調べたらムダに豪華過ぎるので「キャスト見るだけでも価値アリ?」と妙に興味が沸いて鑑賞。

上記のキャストだけでも「ひえぇぇぇ」って感じなんですが、他にも「養蜂家三姉妹」の1人をアリシア・キーズ、そして主人公リリィの父親(粗暴なブルーワーカー系)をポール・ベタニーが演じています。
ポール・ベタニー、最近見てないなーと思ったら・・・実は今回リリィのパパを見て「どっかで見た顔だな?」と思っていたんだけど誰だったかどうしても判らず、ラストのスタッフテロップ見て「え!ポール・ベタニー!?ウソッ・・・てか、言われて見ればそうかも(ひえー)」という感じ。正直最後の最後までポール・ベタニーだとは気付かなかった(^-^;

簡単に言っちゃうと「少女の成長物語を黒人差別問題を絡めながら見せる」という感じ。
こんな書き方するとすごくつまんなそうで申し訳ないんだけど・・・いやぁ。本作なかなかの良作だと思いますよ♪

舞台は1960年代の公民権法制定直後のアメリカ南部。法律では「白人も黒人も平等。黒人にも選挙権を持たせます」という事にはなったものの、末端の市民感情としてはまだまだ「黒人は蔑むもの」というのが定着している。
リリィの家政婦・ロザリンに対する口振りもなんとなーく横柄な感じがするし(これは使用人だからと割り切るべき?)、ロザリンの方も最初の頃は卑屈になってやたらリリィに突っ掛かる。

そんな中、リリィとロザリンの「共にワケありな2人」が半ば逃げるように家を飛び出して、リリィの母親の手掛かりがありそうなある南部の街にやって来る訳ですが、当時では数少なかったであろう「成功した女性黒人実業家」の家に転がり込んで、リリィもロザリンもそれぞれが今まではと微妙〜に違う立場で生活するようになる事で、少しずつ各々が抱えていた心の問題が解消していく、といった感じ。
リリィにとっては「愛すること・愛されること」、ロザリンにとっては「黒人として胸を張って社会で生きて行くこと」

この、リリィの成長物語とロザリン含む周囲の黒人のみなさんの差別問題ネタの絡ませ方が実に上手い。
どちらも浮かず、どちらも中途半端にならず、どちらも過度に主張し過ぎず、そして両方のネタが上手く絡んでいる。

リリィとロザリンを保護する「養蜂家三姉妹」がそれぞれ全く違う・でもありがちなタイプを網羅してるのも面白い。長女のオーガストは見た目通りの大らかなおっかさんタイプ、次女のジューンはプライドの高い進歩的な女性(ややツンデレ)、そして三女のメイは純粋で心優しい人柄ではあるものの、トラウマ持ちで涙脆い「病んでる系」
それぞれ違ったタイプの黒人女性と交流する事で、リリィもまた癒され・悩み・葛藤するというのも上手い作り。

黒人差別をする下卑た白人中年男性の(女性ではなく必ず男性という所には何か意図を感じるけど)描き方も上手く、観客に自然にこの主人公達に感情移入させるように仕向けられているし、リリィの父親の心の事情までもきっちり描き込んだ上で誰もが涙せずにはいられない王道ヒューマンオチに持って行く手腕は素晴らしい!の一言に尽きますね。

でも少し腑に落ちないなーと思ったのは ←ココまで絶賛して今更吠えるのかよ(^-^;
リリィは母親の若い頃にウリ二つだったらしいのですが、だったらオーガストは最初にリリィが尋ねて来た段階で、既に彼女が何故この家にやって来たのかという意図は充分に判っていただろうと思う訳ですよ。
どうして彼女は何も言わなかったんだろう?いや言わなくてもいい、せめてオーガストが何を思っていたのか?という心情をどこかで描いてくれていたらもっと感動出来たかもしれないのになーと。そこがちょっと残念な感じがしましたね。

まあ、重箱の隅を突くような無粋な事を書いてしまいましたが、本作は地味ながらなかなかの良作です。
最近では涙腺がドコにあるのか判らなくなるくらい映画を観ても泣けなくなってしまったぴよですが(苦笑)、本作を見て久し振りに自然に涙が溢れて来ましたよ。どうぞお暇があったら見てやって下さい!








 ↑
クリックすると文字が変わる投票ボタン
姑息な手ですが、映画感想が気に入ってもらえたら
ポチ☆と押してやってください(^_^;)


My追加






2009年03月19日(木) ウォッチメン

監督:ザック・スナイダー
出演:ジャッキー・アール・へイリー
    パトリック・ウィルソン
    ビリー・クラダップ、他
オススメ度:☆☆☆−


【あらすじ】
ケネディ暗殺事件、ベトナム戦争、キューバ危機等、かつて世界を震撼させた様々な事件の陰には「ウォッチメン」と呼ばれる監視者達が常に寄り添い、人々を見守り続けていた。1977年政府より施行されたヒーロー廃止法によりバラバラになったウォッチメン達・・・時は流れ1985年ニクソン政権下の米ソ緊張状態の中、かつてウォッチメンとして活躍した1人の男が暗殺された。危機感を覚えたメンバーの1人・ロールシャッハはかつての仲間を訪ねて事件の真相を追うが・・・


【感想】
アラン・ムーア原作、デイブ・ボギンズ作画による同名タイトルアメリカン・コミックの映画化。
後にグラフィックノベルとしてまとめられ、アメリカでは「コミックのアカデミー賞」と呼ばれるカービー賞とアイズナー賞を受賞、更に1988年にはSF業界で最も歴史と権威を誇るヒューゴー賞の特別賞受賞(コミックでの受賞は本作だけ)という快挙を成し遂げたという、正に伝説のSFアメコミだそうだ。

す、すみません・・・本作のタイトルすら知りませんでした(涙)、勿論原作未読ですぅ〜。

そんな伝説の作品なので、アメコミの映画化に血道を上げるハリウッドが手を出さないハズがない。
ところが余りにも複雑且つ衝撃的なプロットとオチ、そして壮大過ぎる世界観に幾人もの映画人がトライするものの頓挫し、ハリウッドでは長い間「本作を映画化(映像化)する事は不可能だ」と言われていたそうだ。
それを今回「300(スリーハンドレッド)」でその映像技術に世界的に非常に高い評価を受けたザック・スナイダー氏がメガホンを取る事で、20年もの歳月を経てようやく映像化に至ったという次第。

まー長い前振りでしたー。既に感想の半分は書き終えた気分ですー(笑)
・・・そんなこんなで本作ですが。

「300」でその映像の素晴らしさはお墨付きのザック・スナイダー監督、確かに映像は本作でも溜息モノ!
映画冒頭の「コメディアン暗殺シーン」から飛ばす、飛ばす!スナイダー監督お得意の「スローモーション+ハイスピード」な映像処理は本作でも如何なく発揮され、スタイリッシュ且つスリリング+ダイナミックにスクリーンを彩ります。
また、本作の舞台が1985年(更に遡る事半世紀前からの話も見せる)という事もあって、今も尚あらゆる音楽シーンで利用されリードし続けている70年代80年代の名曲を劇中挿入曲にバンバン使用。
いきなりボブ・ディランのあの名曲とかもう、ちくしょー!カッコ良すぎて死ぬわあああああ!!←1人興奮モード

ところで本作、長い。上映時間2時間43分。
でも最近はアメコミ映画でも2時間超の作品は普通〜にありますしね。要するに「面白くて時間が経つのがあっと言う間」なら上映時間が2時間半だろうが3時間半だろーが、観客は「長い」とは感じない訳でしょ。
ところが本作は本当に長かった。要するに「長かった」と感じたと言う事はー・・・(^-^;

なんて言うのか、伏線とか登場人物の横顔(過去)を見せるシーンが長過ぎなんだなー。
勿論その過去を見せない事には後のオチに続かないというのは判るんだけど、それにしても冗長過ぎる。Dr.マンハッタンとローリーの恋愛なんぞは結果的に本筋には絡まない訳だから、もう少しタイトにエピソードも見せてもらった方がいい。ナイトオウル2世とローリーのグダグダSEXシーンに至っては「まー好きにやれよ、お前ら」な感が盛り沢山(苦笑)
ついでに言うとロールシャッハのエピソードは、いっそ全部すっぱり切ってもいいくらい。彼が狂気に走ったきっかけのエピソードがダラダラと語られるんですが、「そんな事件、世界中探せば星の数程あるでしょー(溜息)」程度だし。

そんなこんなで実言うと、映画中盤まで眠たくて眠たくて・・・正直1/3とは言わないけど1/4くらいは居眠ってたかも。

とは言うものの、本作が数々の名誉ある賞を受賞したというのはさもありなん・・・とにかくオチが凄い。
凄いというか、非常に考えさせられるというか、とにかく「勧善懲悪な判り易さが魅力のアメコミヒーロー界」において、よくもこのオチを持って来れたな〜と。少なくとも子供に見せていい作品ではないですわね。
あ、よく見たら本作「R-15」ですね。ちゃんとレイティング付いてました。まあそーだよね(^-^;

今この作品が映画化されるというのが、何かの因縁を感じさせる・・・と言うかアメリカ政府を挑発してる?
原作コミックは80年代後半に発表されたそうですが、このオチはまるで今のアメリカを予見しているかのようです。とにかく事の真相がつまびらかになったトコロで「えええええ。マジでかよー!」と思いつつも、「現代のアメリカの世相を丸々反映してるじゃないか」と唸ってしまった。
・・・いかん。あんまり書くとオチバレしそうだ(既にオチバレ状態になってるかも。すんません)

そんな訳で、非常によく練られたプロットの作品だとは思うんですが・・・
映画としてはちょっと冗長過ぎるし、途中まで話を把握し難いのはキツイです。ぴよがバカなだけかもしれません(涙)
でも「オチさえ良ければ全て良し」とは言えない作品だったなぁ〜。うーん。面白い話だけに何か残念な気分(^-^;








 ↑
クリックすると文字が変わる投票ボタン
姑息な手ですが、映画感想が気に入ってもらえたら
ポチ☆と押してやってください(^_^;)


My追加






2009年03月13日(金) イエスマン “YES”は人生のパスワード

監督:ペイトン・リード
出演:ジム・キャリー
    ズーイー・デシャネル
    ブラッドレイ・クーパー、他
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
銀行の融資業務で働くカール・アレンは仕事もプライベートも「NO」としか言わない男。人付き合いも悪く、親友の婚約パーティーまですっぽかしてしまう始末。「生き方を変えない限り、お前はひとりぼっちになる」と脅されたカールは一念発起し、あるセミナーに参加した。そのセミナーで「意味のある人生を送るための唯一のルールはYESと言うこと」と諭され、今後何を言われても絶対に「YES」と答えて実行すると約束させられてしまう。


【感想】
英国の作家・司会者等マルチな才能で知られるダニー・ウォレス氏が実体験を元に書いた著書「Yes Man」を映画化。
セミナーに行って成り行きで「今後“YES”しか言わない」と約束させられた男・カールを、コメディからシリアスまで幅広い演技でファンを魅了し続ける俳優「ジム・キャリー」が演じています。まあいかにも彼にぴったりの役(笑)

日本人は逆に「NO」が言えない国民性だと思うのですが、欧米の皆様は自己主張がはっきりしてますからね。
そんなこんなでとりあえず何でもかんでも「NO」しか言わない超閉鎖的な男が、ある日から誰に何を言われても必ず「YES」と答えて、YESと言ったからには必ず実行しなければならないという生活を送ったらどうなるか・・・というのをシュミレーションして見せてくれるお話です。

相変わらずジム・キャリーの顔筋は柔軟によく動く。
・・・いきなりなんじゃこれ、な事書いちゃいましたが(苦笑)、ジム・キャリーの演技ってオーバーアクションなんだけどツボにハマると最強ですよねっ!本作でもジムの顔筋の動きを見るだけでも満足感MAX、相変わらずのオーバーアクションに萌え萌えです。そんな私は実はジム・キャリー大好きっ子♪←「子」じゃねーだろ、ババアだろ(^-^;

セミナーの会場で「今後は絶対にYESと言う」と約束させられて、会場を出た途端に試練が待ち受けている訳ですが、災い転じて福となすと言わんばかりの展開が起こり、それまでオ○ニーすらやる気も起こらなかった(こらー)カールは、いきなりカワイコちゃんといい感じになれてホクホク♪
「なるほど。YESと言うと物事何もかも上手く回って行くんだー♪」と味を占めたカールは、今まで目も向けなかった色んな事に積極的にチャレンジするようになって行くんだがー・・・はーい、どんでん返しネ!な展開。

ま〜想像通りの予定調和な展開なんですが、見ていて気持ちいいです♪
ポジティブになる事で人生の歯車がどんどんいい方向に回って行く、という展開を見て「感じ悪ぅ〜」と思う人はほとんどいないだろうと思いますよ。いたとしたらよっぽどひねくれてるのか、または心療内科の受診をオススメしますわ(笑)
最初は「YES」と言う事で何もかもが上手く行く事ばかりが続くんだけど、当然だけど「YES」と言う事で巻き起こる弊害だってあって当然だと誰もが思いますよね?そんな「弊害」をカールがどうやって乗り越えていくのか、という部分がー・・・まあオチなので、コレ以上言っちゃうと丸々ネタバレなのでやめておきますね(^-^;

何でもかんでも手当たり次第に「YES」と言っている内に、何か自分の中で変化は起こっていなかっただろうか?
・・・セミナーのオヤジがクライマックスでカールに語る言葉はとてもステキです。
そんなこんなで、「NO」と言えないから仕方なく「YES」と言ってしまうという「ネガティブYES」な日本人の私達も、本作を見て考え方を変えて「力いっぱいYESと言って実行」してみるのもいいかもしれません。

映画館を後にする頃には、誰かに難題を吹っかけてもらえないだろーか(YESと言うのに)・・・と思ってしまうかも?(笑)








 ↑
クリックすると文字が変わる投票ボタン
姑息な手ですが、映画感想が気に入ってもらえたら
ポチ☆と押してやってください(^_^;)


My追加






2009年03月12日(木) ワルキューレ

監督:ブライアン・シンガー
出演:トム・クルーズ
    ケネス・ブラナー
    ビル・ナイ、他
オススメ度:☆☆☆−


【あらすじ】
第二次世界大戦下のドイツ。チュニジア戦線で負傷し、右手・左手指・左目を失ったシュタウヘンベルク大佐は、祖国を守る為にはヒトラーを暗殺するしかないと考えるようになる。当時ドイツ軍は戦争捕虜達が国内で叛乱を起こした際に鎮圧する為の計画「ワルキューレ」を用意してあったが、シュタウヘンベルクはこの「ワルキューレ」を逆手に取ってヒトラー暗殺とその後の軍制圧・政府転覆を完遂させるという作戦を思い付く。


【感想】
「ユージュアル・サスペクツ」「X-メン」のブライアン・シンガー監督×トム・クルーズ主演の話題作。
トム・クルーズ演じるシュタウヘンベルク大佐以下、本作の登場人物は全て実在人物。そしてシュタウヘンベルクがヒトラー暗殺と政府転覆を目論んで利用しようとした「ワルキューレ」という計画も実在。当然だけど本作で描かれているヒトラー暗殺計画も実際に起こった有名な話です。

いきなり書きますが・・・
本作で描かれている「1944年7月20日暗殺未遂事件」を元々知っているか・知らないかで評価が分かれそうな予感です。
ちなみにぴよは本作の事件の事は元々知っていました。第二次世界大戦のナチス・ドイツに興味を持った事があり、尚且つ文献等で調べた事のある人なら、「知ってて当たり前過ぎる程有名な事件」でしょう。
ヨーロッパ諸国の方ならほとんど知ってるであろうと。日本人にはもしかしたら馴染みが薄いかもしれません。

当時のドイツは独裁者ヒトラーの下で国が一枚岩になっていた・・・訳でもなく、ヒトラーのやり方に異を唱える人物は軍部内にも国民の中にも多数存在し、「ヒトラー暗殺未遂事件」というのは実に40回以上も起こっている。
その暗殺計画の中でも最も大規模で最も熾烈を極めたのが本作の「7月20日暗殺未遂事件」、本作ではこの事件の前に未遂に終わった暗殺計画「閃光作戦」から描いています。

で、本作なんですが。
要するに「7月20日暗殺未遂事件」に至るまでの経緯、そして暗殺計画の実行、終焉までを再現ドラマ化したものです。
だから本作の事件を全く知らない人にとっては非常に勉強になるだろうし、一見の価値は充分にあると思います。もしかしたら第二次世界大戦に興味のない多くの若者は、当時のドイツは国民総出でヒトラーを祀り上げていたと勘違いしている人も多いかもしれませんしね。

だけど本事件を元々知っていた人が見ると・・・正直「平坦で退屈」だと感じてしまうんじゃなかろうかと。

本当に「再現ドラマ」でしかなく、そこにシュタウヘンベルク以下、この事件に関わった多くの人々の心の内や葛藤等、主要登場人物の心理描写がほとんど描かれていない。
そもそも何故彼らは国を守る事がすなわち「ヒトラー暗殺」という考えに至ったのか、その結論に達するまでに・達した後に感じていた彼らの思いをほとんど伝える事はなく、淡々と「起こった事」を時系列順に羅列しているだけでした。
まるで観客を彼らの心情に触れさせてはいけない、とでも画策されたかのように。

人間ドラマ部分をそぎ落とす事で、息詰まるサスペンス色の濃い作りになっています。
だけど「サスペンス」と考えると・・・結末は誰もが知っている訳ですしね。本事件を知らない人だって、ヒトラーは暗殺された訳ではなく敗戦時に自殺したという事位は知っているでしょ?
オチが最初から判っているサスペンスなんて、いくら緊迫感のある作りに腐心していても盛り上がりませんよ(涙)

トムちん以下、脇役まで非常にゴージャスなキャスティングをしていて、彼らの演技だけでも見せ場は充分♪
でもトムちんはやはりトムちんだった。いや当たり前なんだけど(^-^;
何て言うのかー・・・ハリウッド映画だな、トムちんのヒーロー映画だな、豪華だな、金掛かってるな、やっぱり英語しか話さないんだな(このツッコミはそもそもしちゃダメぇ〜)、という感想が頭の中を駆け巡って行ったという次第で(薄涙)

コレは本作が取り上げた事件を元々ぴよが知っていたから、という事だろうと思います。
事の展開を全て知ってる話をただ再現されても面白くない。だから更にもう一歩踏み込んだ人間ドラマ部分にスポットを当てた作りだったり、はたまたどうせ本国ドイツではなくハリウッド映画として作るんだから、ここは大胆な脚色を加えて「事実とは異なるが、実はこの事件にはこんな裏があったりしてナ♪」みたいな「IFネタ」にしちゃっても面白かったかもしれない。
・・・まあ、史実の映画化で「IFネタ」やると、世間からぶっ叩かれるのが常ではありますけどネ(苦笑)

そんなこんなで、本作の事件をご存じない方には少なくとも強く鑑賞をオススメしますよ。
「史実を知る」という側面を鑑みると、本作は非常に意味のある作品だと思いますから。








 ↑
クリックすると文字が変わる投票ボタン
姑息な手ですが、映画感想が気に入ってもらえたら
ポチ☆と押してやってください(^_^;)


My追加






2009年03月11日(水) ジェネラル・ルージュの凱旋

監督:中村義洋
出演:竹内結子
    阿部寛
    堺雅人、他
オススメ度:☆☆☆


【あらすじ】
バチスタ・スキャンダルから1年。東城大学付属病院の万年講師・田口医師は、先のバチスタ事件の功績を認められて院内の倫理委員会委員長に抜擢された。そんな田口の元にある日、救急救命センター長「速水」が業者と癒着しているという内容の告発文が届いた。速水は「ジェネラル・ルージュ(血まみれ将軍)」の異名を持ち、若いながらもやり手の実力派だが院内に敵も多い。院長の特命で事実関係の捜査に乗り出す田口だったが・・・


【感想】
海堂尊氏著の同名タイトル小説(白鳥・田口コンビシリーズ)の映画化・第2弾。
昨年公開されて大ヒットした「チーム・バチスタの栄光」の続編です。前作と同じスタッフ・キャストが再集結して製作。

前作の時は「ミステリー」だと聞いていたので公開前に原作を読むのをグッと我慢していたのですが、映画を見終った後に原作を読んでみたら・・・コレが原作の方が数倍面白くてすっかりハマり、その後海堂氏の同シリーズ「ナイチンゲールの沈黙」そして本作の原作も相次いで読ませて頂きました。(ついでに言うと他社から発刊の【螺鈿迷宮】も読了)
原作では本作は「白鳥・田口コンビの第3弾」になるのですが(ナイチンゲールの方が先に発刊されている)、本作の方が映像的に派手に出来るし観客にアピールもし易いだろうな、とは原作を読んだ際に思いましたね。

そんな訳で、原作にかーなーりー思い入れが強い人間の感想なのだよ、という事を前置きしたトコロで本作。

まずジェネラルを堺雅人さんが演じるという段階で「えええええ〜」と思ったのですが、コレはまあいいです。
原作を読んだ時に勝手に想像していたジェネラルの姿と余りに掛け離れていたので最初は面食らいましたが、それ言っちゃったらそもそも田口も白鳥も原作の風貌とは似ても似つかないドコロか、田口に至っては性別まで違いますもんね。
堺さんが演じたジェネラルも、とても魅力的なワガママKINGとして描かれています。充分合格点でしょう。

映画用に設定を変えたりエピソードを差し込んだりしていますが、大筋は当然原作をなぞっているので問題ないです。
前作では意味不明な竹内結子さんの「足見せソフトボールシーン」に「このサービスショットはムリあり過ぎでしょ」と心の中でツッコミ満載だったんですが(苦笑)、本作では一見意味のなさそうなソフトボールシーンが後に重要な役割を果たすので、前作に比べて「横ネタ」の処理も上手くなっている感じがしましたね。
ただ、「自殺ネタ」のオチが余りにもあっけないと言うかそっけないのはちょっと頂けない気がしますが(^-^;

本作、原作者は現役医師という事もあるので「こだわりドコロ」なのか?医療処置シーン等は多数のオブザーバーを用意して入念に取材をされている模様。現場の医療専門用語をそのまま利用して、かなりリアルに救急救命センターの様子を再現しています。コレは見ている観客に臨場感が伝わってなかなかいい感じ♪

ネタは「救急救命医療現場の実情と営利追求型病院経営の温度差」という、今正に旬な話題。
救命救急医療というのは経費もスタッフの労力・体力の負担も大きい割りにまるで儲からない、病院経営側にとってはお荷物でしかない部署だというのは、案外市井の人々には知られていない。
最近ニュースで「救急車が病院をたらい回しされている内に患者死亡」という報道をよく耳にしますが、現実問題としてどこの病院も経営はギリギリの状態。全く儲からないどころか赤字垂れ流しの救急救命医療部門に、病院はこれ以上受け入れ幅を増やす事が出来ない訳です。

そういう「案外知られていない医療現場の深刻な問題」にスポットを当てている点は大いに評価出来ます。
ジェネラルが倫理委員会で気炎を吐くシーンは圧巻。どんなに志高くとも、所詮「金」がなければ何も出来ないのです。

と、コレらは「原作」の内容が素晴らしいのであって、映画の評価ではありませんよね。

個人的に非常に不満だったのは、速水が「ジェネラル」と呼ばれる由縁となった、誰もが平伏すしかない圧倒的カリスマで院内を取仕切るというシーンが、余りにも薄っぺらく平坦だった事でしょう。
まず10年前の百貨店火災での速水の仕切りシーンからして迫力がなさ過ぎる。更にクライマックスのタンカー炎上事故の処置シーンに至っては、速水よりも佐藤ちゃんの方がよっぽど観客の視線を集めてしまう始末。

それから、本作の白鳥は「キレ者」と言うよりも単なる「嫌味なおっさん」でしかない。
田口に至ってはオドオドしたりボーッとしてるだけで存在価値ゼロ。キャラクターに魅力的な肉付けが全くされていない。
個人的には原作を読んだ際に「倫理委員会」での黒崎教授のセリフには痺れまくったんだけど、あんなにステキングなセリフがバッサリ切られていたのには大ショック(涙)
あの原作の黒崎教授のセリフがあるからこそ、ジェネラルのカリスマ性がより強烈に印象付けられたと言うのに・・・

そんなこんなで、原作に思い入れのある作品ってどうしても映像化されたモノを見るとガッカリしちゃいますよね。
もし原作を読んでなければ、本作は充分満足出来たんだろうと思いますよ。もうこれは致し方ない。
んな訳で、原作未読の方・原作既読でもそれ程思い入れのない方なら充分楽しめますし、内容も是非多くの方に本作を鑑賞してもらって大いに考えて欲しい素晴らしい作品です。掛け値なしにオススメしたいです。

ただねー。原作が良過ぎるんだよ・・・うん。








 ↑
クリックすると文字が変わる投票ボタン
姑息な手ですが、映画感想が気に入ってもらえたら
ポチ☆と押してやってください(^_^;)


My追加






2009年03月05日(木) マダガスカル2(日本語吹替版)

監督:エリック・ダーネル、トム・マクグラス
声の出演:玉木宏(アレックス)
      柳沢慎吾(マーティ)
      岡田義徳(メルマン)、他
オススメ度:☆☆


【あらすじ】
NYセントラルパーク動物園で人気者のライオンのアレックス、シマウマのマーティ、キリンのメルマン、カバのグロリア、そしてペンギンズ達がマダガスカルに着いてから数年後。NYにいよいよ帰る事になり、オンボロ飛行機に乗って飛び立った・・・ハズが、途中で燃料切れしてあえなく飛行機は不時着する。不時着した場所はアフリカ、アレックス達の故郷だったのだ。両親と再会したアレックス、それぞれの群れに合流した仲間達だったが・・・


【感想】
ドリームワークスの大ヒットアニメ「マダガスカル」の第2弾。
Part.2の本作は全米公開するや記録的ヒットを飛ばし、公開3日間の興行収入はあの「WALL・E」を抜いて08年度のアニメーション映画最高を記録したという鳴り物入りの続編。
実は一作目を見てないんですよねー。絵柄見てあんまり興味出なかったし。本作は試写会が当たったので鑑賞。

そんな訳で大ヒットした前作の内容を全く知らないんですが、この手のお子向けアニメは、前作を知らないと全く話に着いていけないなんて事は間違ってもなかろう・・・と思って安心して鑑賞。
思った通り、前作を知らなくてもちゃんと本作の話は判るように作られていました。

映画冒頭、アレックスの生い立ちから入る。
どういう経緯で彼がセントラルパーク動物園の人気者になったのかという過去を見せるのですが、前作ではどうやら最初から既に動物園の人気者になっている状態からスタートした模様?
この生い立ち部分は後にアレックスが両親と再会した以降に繋がっていくという趣向。

とりあえずドタバタ劇の末にアフリカに不時着したアレックス達は、初めて自分の故郷を地を踏み、初めて群れで暮らす自分達の仲間と出会ってそれぞれが「本来あるべき自分達の立場」に戻るのだが・・・という話。
アレだね、都会っ子が生まれて初めてとんでもないド田舎に連れて来られて、ポットン便所や五右衛門風呂見てびっくりたまげたり、飯ごうで米炊いて「電気釜がなくてもお米って炊けるんだー」みたいな感動をする的話ですよ・・・って、この説明だと余計判り難くなったじゃないか!(苦笑)

まーこの手のアニメって感想が書き難いですわ。
要するに「愛と勇気と友情と絆」をコミカル先行で楽しくお子様にお見せしましょう!という主旨ですから。それこそ手を替え品を替えて年がら年中製作されてる「情操教育系お子向けアニメ」ですわ。
大人の(つーかいい歳コイたおばちゃんの)このアタクシに、一体どんな感想を求めると言うのか。←誰に言ってる(^-^;

脇キャラは魅力的ですよね。
間違いなく前作にも登場しているんでしょう、やたら強いサバイバルなババアがいい味出してます。本作では飛行機を修理する為にペンギンズのアイディアで、「サファリツアー」にやって来た人間の車をかっぱらうんですが、どうやら前作でもアレックスと対決したらしいババアがちゃっかりこのツアーに参加していて、このババアの機知と叡智のお陰で後々サファリは大混乱に陥るというオマケ付き。全くババア、いい仕事してくれます(笑)

まあ〜後は個人的にはどーでもよかったですわ(こら)
最近のアニメは何観ても本当にクオリティ高いです。本作も非常に手の込んだアニメーションだとは思うけど、でもまあどう頑張ってもピクサーの足元にも及びませんしね。
いい話ですよ。でもとりたてて記憶に残るとか感動で震えるとか、そーいう作品でもないですし。

大人は金払って見るまでもないですね。ファミリーでお楽しみ♪というのにうってつけの作品でしょう。








 ↑
クリックすると文字が変わる投票ボタン
姑息な手ですが、映画感想が気に入ってもらえたら
ポチ☆と押してやってください(^_^;)


My追加





 < 前の作品  INDEX  あいうえお順INDEX  次の作品 >


ぴよ [MAIL] [HOMEPAGE]

My追加