沢の螢

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ウオームビズだって?
2005年10月11日(火)

小泉首相が、夏のあいだ、積極的に提唱したとかで、夏のノーネクタイが定着した感のあるクールビズ。
日本の夏の暑さは、格別なものがあるので、最近はことに、気温が上昇したこともあり、あの暑さの中で、いくら冷房があっても、ビジネスマンのスーツにネクタイは、さぞかし、つらいであろうと、以前から同情していた。
戦後の一時期、会社に通う男の人たちは、半ズボンにガーター付きの膝下ソックス、カンカン帽というスタイルで、私の父親なども、出勤していた記憶があるが、冷暖房が完備するにつれ、真夏も、男の人は、英国式に、スーツにネクタイというのが、当たり前になってしまっていた。
日本の風土には、元もと合わないのである。
その分、冷房がきつくなり、私などは、冷房を避けるために、夏は、外出を控えるくらいである。
機械に頼らず、ほどほどの暑さも、少し我慢して、その分、服装を軽快にする方が健康的ではないかと思っていたので、クールビズだか何だか知らないが、首相が率先してノーネクタイにシャツ姿になれば、体制順応型の男性達も、これに倣うわけだから、まあ、いいことではないかと思った。

そして季節が変わったら、今度はウオームビズだそうである。
今朝も、テレビで、ウオームビズを当て込んだデパートの商品開発や、売り上げを増すための戦略などを紹介していたが、こちらは、はっきり言って、ちょっと頷けない。
冬のデパートの不快さ。
客のほうは、冬の様相をし、コートを着て店に入ってくるのに、売り場の人たちは、ブラウス一枚の軽装である。
暖房をがんがんかけ、店の中は、あたたかいと言うより、熱いくらい。
従業員は、ブラウス一枚で、快適かも知れないが、お客は、外を歩いて入ってくるので、コートを着た体は、ほどよく温まっている。
デパートに入って、十分もすると、汗が出てくる。
寒さに対応した客と、春の暖かさにあった従業員の服装には、落差がある。
人が多ければ、暖かいを通り越して、むっとする暑さになり、とても、ゆっくり買い物をしようと言う気にならない。
いつか日本橋のデパートで、「なぜこんなに暖房を高くするのですか。客は、皆、汗をかくくらいで、コートを脱げば、荷物になるし、困っているんですよ」と言ったことがある。
すると若い女性従業員は、「私もそう思うんですけど、お客様から言っていただかないと、上の方は聞いてくれません」という返事であった。
ウオームビズなんて、言う前に、従業人は自ら、店内で、季節に合った暖かい服装をし、客の立場に立って、店内暖房を調節してほしい。
むっとするような暖房の中で、一刻も早く店を出たい気分で、誰が、マフラーやコートを買うだろう。
イヤ、オシャレに熱心な人は、そんなことに頓着なく、暖房の暑さに耐えて、品物を吟味するのだろうか。
そんなことを、テレビを見ながらぼやいたら、連れ合いが言った。
「ごらん。戦略のチーフは、みな若い人たちだろう。我々トシヨリなんて、ターゲットにしてないよ。」
そうかなあ。
私たち、快適なデパートなら、ゆっくりショッピングする気になるけどね。
ウオームビズなんて、ことばだけあったって、そうはいかないよ。
思いやりに欠けた商売なんて、成り立つわけ無いんだから。



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