山荘の軒下に、蜂が巣を作ってしまったことは前に書いた。 管理事務所に相談したら、表には見えない屋根の中に巣があるため、駆除するには、手間とお金がかかる。 そこで、そのままにして、秋に巣立つのを待つことにした。 幼虫が巣立ってしまえば、あとは空の巣が残り、蝋になるだけで、同じ場所には、巣が作られることはないと言う。 先週来たとき、蜂の巣のある場所を確かめ、そこにはなるべく近づかないようにし、家から出るときは、白い長袖シャツと白い帽子をかぶり、洗濯物は、離れたところに干した。 いったん東京に帰り、九日からまた来ている。 ところが、もう一つ、玄関下の近くの高床の下に、また一つ、蜂の巣が出来ているのを夫が見つけた。 今年はなぜか、蜂の巣が多いらしい。 みると、新しい巣は握り拳くらいの大きさである。 気を付けてみなければ見えない位置ではあるが、剥き出しである。 「これなら、退治できないことはないなあ、殺虫剤を買ってきて、暗くなったらやってみるか」と夫が言ったが、「刺されたら大変じゃないの。管理事務所に相談したほうがいいんじゃない?」と言うことになって、今朝夫が電話を掛けた。 やがて、管理事務所から、Sさんがやってきた。 山荘の水抜きやら、下草を刈ったり、雪折れの樹の始末など、何かと頼んでいる。 最近の大きな仕事は、雪で倒れかかった樹木の伐採で、家の屋根に倒れかかってきた数本の樹木を伐って貰った。 蜂の様子を見たSさんは、「まだ出来たてだから、すぐやっつけましょう。これはスズメバチだから危ないですよ」と言って、殺虫剤と、木の棒で、退治してくれた。 頭からすっぽりビニールのコートを被っての作業である。 巣は一日一日大きくなるので、見つけたら、早く処理した方がいいらしい。 「女王蜂を退治したから、もう大丈夫ですよ」と言う。 「仮面ライダーって知ってるでしょう。アレとそっくりの顔ですよ」と言いながら、なおも、殺虫剤をふりかけ、「暫く戻り蜂が来るけど、女王がいなけりゃ、そのうちに来なくなりますから」と言った。 「奥さん、今日一日は、近くに寄らないようにして下さいよ」と、家の中からこわごわ覗いている私に声を掛けた。 今年は蜂が多く、Sさんは、作業中に一度刺され、あとが大変だったらしい。 毒が体に残るので、2度、3度と重なるといけないという。 そんな中での作業なのに、「今日の分は、サービスだから良いですよ」と笑顔で、帰っていった。 たった一匹の女王蜂を中心に独特の社会を形成している蜂の世界。 「研究したいから、駆除しないでくれ」というひともいるらしい。 インターネットで調べてみた。 女王蜂と働き蜂の違い これはミツバチの生態について書かれているが、スズメバチその他も、基本の社会構造は同じであろう。 「女王蜂は成虫となった2週間前後で多数の雄と交尾飛行を行った後、雄蜂から受けた精子を体内に蓄えておき、巣からほとんど出ることもなく産卵を続けます。 1日に約2500個を生むことができるのです。」と言うところは、なかなか興味深い。
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