沢の螢

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花冷え
2005年04月04日(月)

「暑さ寒さも彼岸まで」と言うが、春のお彼岸もとっくに終わったのに、まだ朝晩の寒さがあり、暖房が必要なことがある。
世知辛い話で恐縮だが、我が家は15年前の建て替えの時、東京ガスのTESを採用した。
火災の心配のない、給湯式の温熱暖房に切り替えたので、灯油を買ったり、ガスの消し忘れに神経を使うということがなく、快適に過ごせることになった。
当時すでに高齢者の仲間入りをしていた私の親たちが、冬場のストーブの管理に、結構ストレスを感じていたのを、聞いていたので、私たちも、いずれは老年期にはいるし、家は度々建て替えるわけにいかないから、この際将来を見越してと、最先端のやり方を取り入れたのである。
床暖房と、天井からの冷暖房機とで、ストーブのような瞬間的暖かさはないが、直火が出ないので、安全だし、燃料の補給が要らない。
しかし、一つの問題点は、暖房費がかかることで、それは覚悟の上だったが、実際に使い始めて、そのあまりの高さにビックリした。
1月2月の厳寒期は、ガス代だけで月に何万円にもなる。
これではたまらないので、いろいろ工夫して、少し抑えたが、冬は電気代も高いので、合わせると結構な額になり、寒さが続くと、家計に及ぼす暖房費が、気になるところだ。
私は寒さには耐えられる方だが、長年サラリーマン生活をしてきた夫の方は、オフイスの全館暖房に慣れているので、家の中は、寒いと感じるらしい。
暖房を入れるか入れないかで、時々ケンカになる。
しかし、寒さを我慢して風邪を引いても困るので、夫の書斎は暖房フル回転もやむなし、私のいるところはけちけち使うというやり方で、凌いでいる。

家の近くに最近、園芸の店が出来、鉢花などをきれいに並べている。
私は花を眺めるのは好きだが、自分で土いじりをするのが苦手である。
鉢花を見るとほしくなって、買ってきたりするが、面倒見が良くないので、そのうちに枯れてしまう。
そんな空の鉢が庭にごろごろしている。
その園芸の店の前を通るたびに、鉢植えの花を買ってきて、植えようかと思うが、ためらっていた。
先日、その店の若いおかみさんが、店のコーナーに、小さな花壇を作っているところに通りかかった。
色とりどりのパンジーやビオラを、うまく配置して植えている。
つい話し掛けたくなり、「家も、こんな風にしたいんだけど、土いじりがダメで、、、」というと「アラ、植えてあげますよ」という。
材料を決めてくれれば、サービスで植えますという。
1週間ほど考えて、先週頼みに行った。
とにかく家の鉢の状態を見に、来て貰った。
花を植えたい場所を示し、空いたままの鉢を8個ほど集めた。
「わかりました。任せて下さい」と言って、帰っていった。
そして、おとといの土曜日、店の主人が、車に鉢花の苗を積んでやって来た。
その日の午後、おかみさんが来て、鉢にアレンジして植えてくれた。
昨日も、夕方近くにやってきて、今度は庭の2カ所に、花苗を配してくれた。
土をほぐしたり、肥料を混ぜたり、大分手間が掛かったようである。
全部で80個くらいの花苗を植えたらしい。
「最初の約束だから」と手間賃は請求しなかったが、気持ちだけ加えて支払い、南米で買ってきて残っていた銅製のコースターを、一枚プレゼントした。
大きな木ばかりで、彩りのなかった庭と玄関先が、すっかり綺麗になった。
おまかせで、一切手も口も出さなかったので、若いおかみさんも、この家の女主人は、余程こうしたことがダメらしいと、内心あきれたことだろう。

今日は風が強く、やはり少し寒かった。
花冷えである。
プロ野球のシーズンが始まった。



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