春になり、野球シーズンにはいると、茶の間のテレビは、亭主に占領される。 大河ドラマや、BS映画が見られなくなるので、野球中継なんか、いい加減にして欲しいと思ったこともあるプロ野球。 夫唱婦随で、一応ジャイアンツのファンとして、他球団にどんな選手がいるかさえ、余り関心もなかったが、この2ヶ月ほどの、パリーグ球団合併問題に始まった、選手会と経営者側の交渉の行方には、無関心ではいられない。 中でも、日々の試合をこなし、得点に繋がるヒットも飛ばしながら、試合後には、選手会会長として、経営者側との交渉に臨んだ古田選手に、エールを送りたい気持ちだ。 話し合いは、決裂して、明日、あさっての試合はストライキという結果になった。 記者会見で、球団経営者側の、文書による味も素っ気もない報告には、血の通ったものが感じられなかった。 それに比べ、「ファンの皆さんには、申し訳ありません」と、土日の試合を楽しみにしていたであろうファン達に向けて、何度も謝っていた古田選手。 決して弁の立つ人ではないが、ストライキという苦渋の選択をする結果になった経緯を語る彼の、とつとつとした言葉に感動した。 野球を愛し、野球人として、身を捨てて、今回の問題に立ち向かっている。 そのあとのテレビで、彼は、キャスターの質問などに答えながら、時に、目に涙を滲ませていた。 朝から10時間という長い間、実りのない話し合いに臨まねばならなかった、彼の悔しさ、無念さがよくわかった。 経営者達は、野球に対して、こころざしというものがあるのだろうか。 赤字経営で、苦しいのはわかるが、この2ヶ月、彼らのとった態度は、プロ野球をこれまで育ててきた、先達や、古くからのファンの気持ちを考えず、選手達を、見下したものではなかったか。 野球選手達は、グランド以外では、不器用な人が多い。 会社の労働組合のような手慣れたことは出来ない。 老獪なレトリックに惑わされたこともあるだろう。 シーズンの終わり近くになって、ストライキという非常手段を打ち出さねばならなかったつらさも、想像できる。 でも、多くのファンは、選手会の決断を支持している。 選手会が、一致団結しているのは立派だ。 屈強な体力を持っていても、さすがに疲労の色を隠せない古田選手。 でも、「希望を持って、これからも闘っていきます」と語っていた。 古田選手よ、負けるな。 日本の野球が、ひとつの転換期に立っている今。 週末は、ゆっくり休んで、また来週から、野球のあるべき道に向かって、新たな闘志を燃やして欲しい。
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