沢の螢

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「イースト/ウエスト 遙かなる祖国」
2004年07月11日(日)

昨日表題の映画を見た。
1998年のフランス映画。舞台は旧ソビエトが主である。
第2次大戦後の冷戦時代、スターリン体制下にあったソビエトは、ロシア革命後にヨーロッパに亡命したロシア人達を、故国に迎えると発表した。
その呼びかけに応じて、帰国した人々を待っていたのは、過酷な現実であった・・。
鉄のカーテンの向こうにあって、西側にはほとんど報道されなかった歴史的事実を、一人のロシア人医師と、その妻であるフランス人女性の姿を通して、語っている。
妻と息子を守るために、体制に順応していく夫、フランスへの帰国を願い自由を求める妻、それを縦糸に、監視社会の中でのソビエトでの人々の生活や、命がけで脱出を計る若者の姿などが横糸になって、見応えのあるドラマに仕上がっていた。
カトリーヌ・ドヌーブが、一家を助けるフランスの大物女優役で出ている。
妻と息子をフランス大使館に逃がした夫は、ひとり島に流されて生き延びるが、家族に再会したのは、ゴルバチョフ政権になってからであった・・・。
監督は、現在ベラルーシに住む、フランス人女性の証言から、この映画を作ったらしい。
ちょうど北朝鮮拉致事件や、曾我さん一家の現実とオーバラップして、感慨深かった。
昭和20年代終わり頃、自由な夢の世界があると言われて、日本から北朝鮮に帰った人たちも、似たような現実に直面したのではないだろうか。
平和で自由な国に住み、思想の制約もなく、家族が離散する心配もなく暮らしていることが、どんなに貴重なことかを、しみじみ考えさせられた。



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